ニコラドさんがやってきた ③
ニコラドさんが持ってきてくれた学園の情報を色々と読む。ニコラドさんは色んな国のあらゆる情報をわたしのために持ってきてくれたらしい。
なんだかわたしはよく知らなかったけれど、沢山の学園がこの世界にはあるのだなぁと思った。
ニコラドさんの弟子が学園長をしていて、元々のベルラ・クイシュインが通う予定だった学園はこの大陸でも有数の学園であると言えるだろう。他国から通いに来る人も多くて、沢山の生徒がいる。あと学科も多くて、貴族は貴族ばかりのいる教養学科や、騎士などといった武器で戦う職を目指す戦闘学科や、魔法職を目指す魔法学科、あとは物を作る学科もいくつかあったり、少人数制だけど魔法と武器を両方学ぶ魔法剣士学科とかもあるらしい。ちなみに剣士とついているけれど、最初に魔法も武器も学んだ人が剣を使っていたからそういう名前をしているだけで、槍だったり刀だったり他の武器を使う人もいるのだとか。
「そこだと俺とディオノレが通ってた場所でもあるぞ」
「そうなの!?」
ベルラだった頃のわたしが通う予定だった学園は、パパとニコラドさんが通ってた学園であるらしい。パパがこの前学園の話になった時にわたしにそれを言わなかったのは、わたしの身体を奪ったあの子がいるからだろうか。
それにしてもベルラだった頃のわたしは当たり前にあの国の貴族として学園に通う予定だったけれど、そういう才能がある人が通う学園でもあるんだなぁ。
他の学園にも目を通す。
本当に魔法に関することだけを学ぶような学園だったり、研究をするための学園だったり、湖の中央にうかぶ島自体が学園の場所だったり――本当にたくさんの学園がある。こういう学ぶ場所は、誰にでも開かれている場所ではないらしい。平民とかだとそもそも文字さえも読めない人も多くて、学ぼうとしても学べなかったりもするって。そう考えると……わたしはパパに見つけてもらえて本当に幸せだと思う。
それにしてももっと色んな場所に行ってみたいな。わたしは本は結構読んでいるけれども、知らない場所が沢山ある。あとパパが転移で連れていってくれているから、地理関係などがよくわかっていない。
学園に通うとしたら、もっと地図など読めるようになりたいなぁ。
それにしても学園同士で交流も結構しているみたい。色々と面白そうな学園が沢山ある。こういう学園にいったら同年代のお友達も出来るのだろうか? わたしはこの山の上の屋敷で暮らしているから、同年代の人たちと話って合うんだろうか?
出かけた先では友人は出来たけれど、学園生活だと毎日のように一緒に過ごす友達だとまた違う関係になるのかな。
「んー、此処だと結構色んな種族と交流をしていくみたいなのがあるのね。でもわたし、パパに連れていってもらってもう色んな種族と知り合いだしなぁ」
異種族との交流を深めることが出来る学園というのは、人によっては凄く行きたい! ってなる場所だと思う。でもわたしはパパが色んな人と知り合いだからこそ、既に色んな種族を知っている。
それにしても世の中、色んな学園があるんだなぁと思うと何だかワクワクしてくる。
「わたし、パパみたいに色んなことを知っている人になりたい! 知らないこと沢山しりたいもん」
「ベルレナは魔導師向きの性格をしているよなぁ」
「そうなの?」
「ああ。魔導師は好奇心旺盛な奴がなりやすいっていうか、知りたいという気持ちが強いからこそ魔法を追求し、魔導師になるんだよ」
ニコラドさんの言葉に、自分が魔導師向きと言われたことが何だか嬉しかった。
パパのことが大好きだからパパのようになれたらってそういう気持ちは強いから。
「ベルレナ、魔導師になるということは寿命の短い相手を置いて行くことになる。俺はそういう相手がいないから気にしてないが、ベルレナが気にするなら魔導師は目指さない方がいい」
パパがわたしとニコラドさんの会話を聞いて、そんなことをいう。寿命の差があるからこそ、仲良くなった人が先に亡くなっていくということなのだろう。それを考えると寂しい気持ちにはなる。だけどパパやニコラドさんは魔導師で、このままだとわたしがパパをおいて逝くことになる。うーん、それは嫌だなぁ。
でもわたしのこれから続いていく人生の中でどうしたいか考えてからの方がきっといい。
「パパ、わたし、よく考える!」
わたしはまだ子供だから、ゆっくり考えて行こうと思う。でも一先ず魔法に関しては一生懸命学びたい。パパみたいに魔法を使えるようになれたらきっとかっこいいもん。
学園に関しても何処に通いたいかちゃんと考えないと。
一番の候補はやっぱりパパも通っていて、ニコラドさんのお弟子さんが学園長をやってる学園かなぁ。でも色んな学園を調べてからにしよう。




