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パパとわたしと錬金術 ③

 パパを綺麗にしたい、とその思いでいっぱいになっているわたしは、早速パパと一緒に街に出ていた。というのも、屋敷の書庫にはパパが言っていたように美容品に関する書物がほぼなかったのである。



 パパと一緒にやってきたのは、とある国の王都。わたしがベルラとして暮らしていた国とは別の国だ。

 王都と呼ばれるだけあって、栄えている場所だ。それでいてわたしがベルラとして生きていた国の人たちとは着ている服などが異なったりするのだ。



 パパの娘になってから、わたしは沢山の場所に連れて行ってもらっている。新しく向かう場所は、全てわたしにとって新しい発見に満ち溢れている。





「パパ、何だかすごいね! 何だか本来の目的を忘れて、普通に観光したくなっちゃう!」

「それでもいいぞ」

「観光もするけど、本も買うの! ね、パパ、わたしの作ったものも売れてるんだよね?」

「ああ。ニコラド経由で売ってもらってる」

「ふふ、なんか自分でお金を稼げるって面白いね」

「ベルレナは俺のお金を使えばいい。娘なんだからな」

「今回はわたしのお金を使うの!」




 わたしが錬金術で作ったもののいくつかは、ニコラドさん経由で売れているらしい。パパが言うには、錬金術で作ったものを下手な経由で持ち込むとややこしいことになるんだとか。

 ニコラドさんはパパよりも人と関わりながら生きている。

 ニコラドさんは時々、わたしたちの屋敷にやってくるけれどもわたしはニコラドさんのことをあまり知らないなと思った。今度、ニコラドさんに色々聞いてみようかな。




 パパの手をひいて、わたしはどんどん歩いていく。パパは仕方がないといった様子だけど、わたしにされるままである。

 パパは嫌だったらわたしの手を振り払うだろうから、ただパパがされるがままでいてくれることに笑ってしまう。




「パパ! パパの洋服も見よう!」

「いや、俺はいい」

「だーめ! パパはかっこよくて、綺麗なんだもん。わたし、パパをおしゃれにしたいんだもん」




 わたしがそう言い切ったら、パパはされるがままである。パパと一緒に洋服屋さんにいった。そこで店員さんに「パパをおしゃれにしたい!」と言ったら、「それはいいですね!」とキラキラした目を向けられた。



 その店員さんは、綺麗な人を着飾るのが好きらしい。

 パパの洋服を、店員さんと二人でせっせと選ぶ。パパは嫌そうな顔をしているが、わたしが楽しそうな顔をしているからだろうか、何だかんだ着せ替え人形になってくれた。

 パパはどんな服を着ていても似合う。元が良いからだろう。わたしはパパが色んな服を着るだけで、かっこよくて綺麗だなってそんな気持ちでいっぱいになる。





「わぁああ! パパ、やっぱりどんな服を着ても似合うね。わたし、パパのいつもの服装も似合っているし素敵だなって思うけど、色んな恰好しているパパいいなぁ。ね、パパの服買おうよ。家でもこういうのきてくれたらわたし、凄い嬉しい!」

「あー……まぁ、ベルレナがそうしたいなら買うか」

「パパが面倒だっていうなら、わたしがパパの着る服、毎朝選ぶから」




 わたしがそう言えばパパは頷いてくれた。これで色んな服を着たパパを見れると思って、嬉しくて仕方がなくなった。その後、わたしの服も選んだ。パパとそろえたような洋服を選んだ。なんだろう、パパと同じ色の服とか一緒に身に纏えたら楽しそうって思ったから。





「パパ、いっぱい買っちゃったね。次は本屋行こう!」

「ああ」





 パパと一緒にその後、本屋に向かった。



 本屋で美容品関係の錬金術の本を探す。だけどあんまりなかった。パパが言うには、錬金術はそもそも使える人が少なく、実戦のための錬金術の品の方が需要があるみたい。だから美容品の本は少ないんだとか。




「んー。あんまりないね」

「そういうものだろう」

「そっかー」

「まぁ、此処になかっただけで、そういうものを錬金術で作ろうとしているものはいないわけじゃない。だからもっと違う街に行ったらそういう本もあるかもな」




 パパにそんな風に言われる。



 美容品を錬金術で作ろうとする人は少ないのか。魔物との戦いなどのために錬金術で作ったものを使うことの方が多いらしい。



 わたしは欲しい本が見つからなかったことを残念に思いながらも、パパと一緒に数日その王都で過ごした。



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[一言] 店員さん、やるな
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