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パパとわたしと精霊と ③

「あら、久しぶりですね。ディオノレ」




 そこにいたのは、何だか神秘的な雰囲気を纏った美しい人だった。




 黄緑色の髪と瞳を持つ、美しい女性。何だか今まで見た事もない雰囲気の人で、わたしは思わず「わぁ……」と声をあげてしまった。




 そんな声に、その人はパパと手を繋いでいるわたしに気づいた。




「あらあら、ディオノレ。このかわいらしいお嬢さんはどなたかしら?」

「……えっと、わたし、ベルレナです!!」

「シルヴィー、俺の娘だ」




 かがんで、わたしと目を合わせて優しく微笑んでくれるその人が、シルヴィーさんらしい。

 優しい笑顔を向けられて挨拶をすれば、パパがわたしのことを娘だと紹介してくれる。そのことが何だか嬉しかった。



「娘? 貴方に娘? この子、普通の子ではないわよね?」

「身体は俺が作ったホムンクルスだ。中身は神の悪戯の被害者だ」

「まぁ……なんにせよ、あなたがこうして誰かを娘という日が来るなんて思ってもいなかったわ。びっくりしているわ。ベルレナ、私はシルヴィー。よろしくね」

「は、はい!」




 綺麗な人。思わず見惚れてしまう。パパと仲がよさそう。というか二人ともとても綺麗で、お似合いかもしれない。


 そう思うと余計にキラキラした目で見てしまった。






「パパとシルヴィーさん、仲良しだね! お似合い!」

「おい、ベルレナ、何を言っている?」

「あらあら、ベルレナは女の子ね。そういう話が好きなのね。でもごめんね、私、ディオノレをそういう風には見れないわ」

「パパがフラれた!?」

「いや、何で俺がフラれたみたいになってんだよ。ベルレナも、俺とシルヴィーはただの知人だ」





 知人だと口にするパパの事を、シルヴィーさんは優しい目で見ている。




 知人と言うほどに薄い関係には見えないんだけどなあ。というか、パパとシルヴィーさんは互いに呼び捨てにしていて、砕けた話し方をしていて、これって……。




「パパ! お友達を知人なんて言い方しちゃ駄目でしょ! パパとシルヴィーさんは仲良しで、お友達でしょ!?」

「……そういうほど仲良くは」

「お友達でしょ! パパ、お友達のことはちゃんと大切にしないと駄目だよ! 外から見たらお友達ならもうすっかりお友達だよ!」

「あーうん……。ベルレナがそういうならそうだな」





 わたしから見て、パパとシルヴィーさんはお友達だった。それをパパは否定していたが、わたしの言葉にパパは頷いた。パパがお友達って認めてくれて満足!

 それにしてもパパってお友達があまりいないって雰囲気出しているけれど、知人っていっているだけでシルヴィーさんみたいな存在が結構いるんだろうか? パパはお友達をお友達だって言えないタイプなのかもしれない。







「あはは、面白いわ! ディオノレ、貴方、娘には勝てないのね。こんなディオノレが見れるなんて思ってなかったわ。子供ってのは、人を変えるものなのね」

「……煩い」

「あらあら、照れてるの? お父さんは大変ね」

「……それより! ベルレナは俺の娘になって一年経ってるんだ。ベルレナも友達を欲しがっているから、此処に連れてきた」

「まぁ、娘のことを思いやるなんて良いお父さんやっているじゃない。ベルレナ、ディオノレはいいお父さん?」




 パパはシルヴィーさんの言葉に照れてるらしい。パパ、可愛い。それにやっぱりシルヴィーさんとも仲良しで、わたしは思わずにこにこしてしまう。

 目線を合わせてシルヴィーさんに問いかけられた言葉。





 わたしはそれに、



「うん! わたしはパパが大好き!」



 そう言って頷いた。



 そうすれば、パパがわたしの頭を撫でてくれた。パパに頭を撫でられるととても幸せだった。その様子をシルヴィーさんは優しい瞳で見つめていた。







 シルヴィーさんは、この場所をおさめている存在らしい。すごい!

 そのシルヴィーさんの許可を得て、わたしは精霊たちと仲よくすることになった。






「ベルレナ、遊ぼう~」

「うん!」





 わたしは精霊たちと追いかけっこをしたり、かくれんぼをしたりして楽しんだ。魔法もありの遊びだ。だって精霊たちって魔法が得意で、逃げる時も魔法を使うんだもの。

 こちらも魔法を使わないと遊びにならなかった。パパに魔法を習っていて良かった。こうして思いっきり精霊と遊べて、わたしは楽しかった。





「ベルレナはいい子だね」

「ベルレナ、こっちおいで」



 精霊たちは皆、優しかった。





 それはわたしがパパの娘だからというのも一つの理由であるらしい。パパは精霊たちが困った時に助けた時があったんだって。その時からの付き合いで、此処の精霊たちはパパのことを慕っているんだって。

 わたしの知らないパパの姿を沢山精霊たちは教えてくれてわたしはそれも嬉しかった。




 パパは昔の話をされるのは恥ずかしかったみたいだけど、わたしが聞きたいって言ったら聞かせてくれた。




 そうやって思いっきり遊んだ後、わたしと契約を結んでくれる人いるって聞いたら沢山立候補されて一旦保留になった。




 精霊たちの元からの帰り道、




「あんなに沢山立候補されると思わなかった。びっくりした」

「ベルレナはいい子だからな。皆、契約をして一緒に遊びたかったんだろう。ゆっくり選べばいい」

「うん!!」




 パパとわたしはそんな会話を交わした。




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