ニコラドさんの弟子に会いに行こう ②
「ははは、初めまして」
「どもりすぎだろ。シェワンド、もう少し楽にしろ」
「師匠! そうはいっても、魔導師が三人も揃っているなど……!!」
ニコラドさん、本当にずっと楽しそうだな。そして学園長の緊張は留まることを知らないらしい。
その様子を見ていると、不思議な感覚になる。でもまぁ、それだけ魔導師に囲まれているというのが落ち着かないんだろうな。
「お前がベルレナにおかしなことをしなければ何もしない」
「その通りよ。だからその態度はやめなさい」
パパとママからそう言われて、学園長はこくこくと頷いていた。
「パパ、ママ、そんな風に威圧したら駄目だよ? 学園長はパパとママのことを恐れているみたいだから、わたしになにかすることなんてないんだよー?」
わたしは思わずそう言って笑った。
基本的に恐怖心を感じているのだったら、怒らせるようなことってしないと思うんだけどな。でもその人の性格によってはそう言う行動をしたりするのかな。あとはそうか、怒ると思わずに余計なことをする人とかは居るかもしれない。
わたしはそんなことを思考思いながら、学園長のことを見る。
「ふぅ……落ち着け。大丈夫だ。師匠もいる……」
学園長はブツブツ何かを言ったかと思えば、わたしに笑いかける。
「ベルレナ様」
「ベルレナでいいですよ!」
「ベルレナ……さん」
魔導師の娘であるわたしに呼び捨てをすることが難しかったみたい! でも様付けよりはいいかなと思った。
「我が学園に魔導師の娘であるベルレナさんが入学してくださることを心から喜ばしく思います。あなたがこの学園で健やかな生活を過ごせるように学園長として全力を尽くします」
そう言われて、わたしはおかしくなって笑ってしまう。わたしはまだ学園に入学できるかどうかわからないのにな。それでも学園長もニコラドさん達と一緒でわたしが学園に入学することを確信しているのだろうな。
「わたしはまだ学園入学できるか分からないよ?」
「ベルレナさんが入学できないなんていうことはあり得ないと思うので大丈夫です。ベルレナさん以上に魔法を使える受験生は居ないでしょうから」
学園長はわたしのことを異様に持ち上げているように見えた。でも実際は違うんだろうな。あくまで学園長は魔導師という存在のことを特別に思っていて、その存在がどれだけ凄い存在なのか知っている。だからこそ、こういった態度なんだろうな。
「学園に入学出来たらよろしくお願いします! でもわたしのことをパパとママの娘だからといって、特別扱いはしすぎないでください! そういうのは求めてないので」
わたしがそう言ったら、学園長は頷いた。
「かしこまりました。ただ何かあった際は必ず相談をしてください。ベルレナさんの身に何かあるのが一番まずいので」
学園長はそう口にして、わたしの目をまっすぐにみている。
学園長はわたしに何かあって、それでパパとママが行動を起こすのを心配しているのだろうな。わたしは学園長の心労のことも考えて、ちゃんと考えて行動をしないといけないなとは思った。
「もちろん。わたし、ニコラドさんの話も聞きたいから時々、学園長室に遊びにいってもいいです?」
「構わない。学園長という立場は案外、そこまで忙しくないからね。それに私もディオノレさん達のことやベルレナさんがこれまでどんな暮らしをしていたかを知りたい」
そう学園長に言われる。
学園長ってパパとママのことを恐れていたりするわけだけど、それを抜きにしても魔導師という存在へかなり興味を持っているんだと思う。
魔法を嗜む存在として、魔導師に対して尊敬とかの感情も抱いているんだろうな。
魔法使いたちにとっては、魔導師ってそれだけ特別で憧れるべき存在なのだから。
わたしはその娘なので、二人の娘として誇れるようにはしておきたい。わたしが魔導師の娘だって知られた時にあの程度かなんて思われたら嫌だもん。
「幾らでも話せるよ! わたしはパパとママのことが大好きだから」
わたしがそう言うとパパとママが少しだけ照れた様子を見せていた。やっぱりパパとママはこういうところ可愛いよね? あんまり人と関わってこなかったからこそ、照れたりもするし、慕われなれていないっていうか。
そういうところがパパとママだよね! わたしは学園生活でお友達が沢山出来たらパパとママのことを自慢するんだ。
ただ魔導師のことを伝えた上の自慢ってなかなか出来ないから学園長に沢山自慢をしにいきたいなぁ。
パパとママと離れて暮らすとなると、やっぱりパパとママの話を誰かにしたくなっちゃうからね。
わたしはそんなことを考えながら、学園長と沢山話すのだった。
そうしているうちに少しずつ学園長も緊張をといてくれていた。学園生活中に学園長とももっと仲良くなれたらいいな。




