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パパの友達 ③

「それで結局ベルレナは何処からきたんだ? 本当にディオノレが無理やり攫ってきたわけではないんだよな?」

「うん。パパはわたしを助けてくれたの!!」



 パパが無理やりわたしを攫ったのではないかと心配しているみたいだけど、そんなことがあるわけない。パパはわたしと出会う前がどうだったかは分からないけれど、わたしにとっては自慢で優しいパパなのだ。



 わたしはパパの隣に座っている。パパをちらりと見て見上げれば、パパが小さく笑ってくれた。

 やっぱりパパの笑った顔は綺麗だ。その綺麗な笑みを見るだけで、わたしは嬉しくなってにこにこと笑ってしまう。




「助けてくれたねぇ……。こいつが何の理由もなしに助けるようには見えないが、最初はどうだったんだ?」

「最初はパパがわたしを使うっていったの!」

「やっぱり利用する気満々じゃねーか!!」

「……最初だけだ。今はそういう気はない」

「うわ、最初はベルレナのことを利用する気だったのかよ。そもそも攫ってきたんじゃないならどっから拾ってきたんだ?」



 ちなみにニコラドさんはわたしとパパの向こう側に座っている。向かいの席から楽しそうにこちらを見ている。



「こいつは神の悪戯の被害者だ。それで彷徨ってた。そこを俺が見つけたんだ。そのまま消えかけていたんだよ」

「……あれかぁ。俺も噂は知っているが、実物は見たことなかったな。本来の魂を追い出して、違う魂を入れられるっていう神の如き所業だからそう呼ばれているけど、実際はどうなのかっていうのも分かっていないしな」



 ニコラドさんも神の悪戯についてのことを知っているらしい。


 それにしてもニコラドさんももしかしたらパパと同じく魔導師なのだろうか? となると、ニコラドさんも凄い人なのかな? トバイのような使い魔が居る時点でよく考えたら凄い人なのか。

 でも一番凄いのはわたしのパパだけどね!!






「消えかけてたってことは、ベルレナはディオノレに見つけられなきゃ今ここにいなかったってことか」

「うん!! わたし、パパに出会えたからこそこうして物も食べれるし、何かに触れれるし、誰かと喋れるもん」




 わたしが食事を出来るのも、何かに触れられるのも、誰かと喋れるのも――全部全部、パパのおかげなのだ。そう思うとやっぱりパパにありがとうって気持ちでいっぱいになる。




「そうか。よかったなぁ」



 そう言いながらニコラドさんは、柔らかく笑った。




「それにしても神の悪戯か……。ディオノレがはっきりと魂を感じられるから見つけられたんだろうな。俺じゃ気づけなかったかもしれないな。案外、俺達が把握していないだけで同じような現象は度々起こっているのかもしれないな」




 ニコラドさんはそんなことを呟いていた。……知らない所で神の悪戯が起こっていると思うと、わたしはちょっと怖くなった。気づけば、知り合いが違う人になっている可能性があると思うと怖いと思った。

 わたしにはもう一度同じ状況になることはないし、なってもパパがすぐに見つけてくれると言っていたけれど、やっぱりあの二年間はわたしにとって衝撃的な二年間だったのだなと思う。





「こいつがさ、ホムンクルスの子供と生活をし始めただとか、子供が喜ぶにはどうしたらいいかとか手紙をよこすから何かと思ったんだ。それで興味が出て此処にきたけど、来て良かったよ。ベルレナに会えたし」




 ニコラドさんはそう言って笑ってくれる。わたしはその明るい笑みに、笑みを返した。





「可愛いなぁ、ベルレナ。俺の子供はとっくに大きいからな」

「ニコラドさん、子供いるの?」

「いるぞ。もう五十も超えているけどな。小さい頃はそれはもう可愛かったんだぞ」




 五十を超えている子供がいるようには全く見えないけれど、ニコラドさんにはそんなに大きな子供がいるらしい。やっぱりニコラドさんも魔導師なのだろう。ニコラドさんの子供たちも魔導師なのかな?





「ディオノレ、この年頃の子供は可愛いからな。年頃になると女の子だとアレだな、パパと一緒に過ごしたくない!! とか、パパなんて嫌い!! とか言い出すぞ」




 からかうような笑みでニコラドさんがそう言えば、パパが固まった。そして私の方を見る。何だかショックを受けたような表情で、わたしはびっくりした。



「はははは、めっちゃおもしれー!! ベルレナ、こいつ、大きくなったベルレナにそういう態度取られたらどうしようって不安がってるんだぞ」

「え? パパ、大丈夫だよ!! わたし、パパのこと、大好きだもん。わたしを助けてくれた大好きなパパにそんな態度取らないよ!!」




 わたしが慌ててそう言えば、パパは少しだけ口元を緩めた。そしてまた私の頭を撫でる。

 そんなわたしとパパの様子を見て、ニコラドさんは笑っていたのだった。



 それからニコラドさんは泊っていくことになった。パパとお話があるとのことで、わたしは一人で本を読んで過ごした。



 ニコラドさんが泊まると、なんだか屋敷の様子もいつもと違って楽しかった。翌日になってニコラドさんは「また来るから」といって去っていった。



一旦ここで連続投稿はおしまいです。また書き溜めして予約投稿しますので、しばらくお待ちください。

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― 新着の感想 ―
[一言] とても面白かったです(゜∇^d)!! 続きが待ち遠しいです( ・`ω・´)
[良い点] 楽しく読ませていただいております。 連続投稿は今回で終わりとのことですが、 ブックマークとーろくしてるので更新を楽しみにお待ちしております♪
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