学園の入学試験 ⑤
これから実技の試験に挑むことになっている。人前で魔法を使うことってなかなかないので、楽しみな気持ちでいっぱいだ。
なんというか、わたしは思ったよりも全く緊張していなかった。もっと緊張してもおかしくないのにな。それでもわたしは緊張とか全然していない。
わたしってもしかしたらどんなことが起こったとしても、こんな調子でいられるんだろうか? それってある意味強みだよね。そう思うと、何だか楽しい気持ちが更に増えていく。
わたしが魔法を堂々と使う様子、パパとママにも見ていて欲しかったな。とはいえ、試験に親同行はしないんだけど。ああ、でもパパとママのことだからやろうと思えばわたしの試験の様子を覗き見ることもきっと出来るよね。実はこっそり心配して覗いていたりするかも? なんて考える。
パパもママもわたしに対して凄く過保護だから、わたしに何かあったらどうしようって心配はしていると思うんだよね。
わたしは過保護にされることを全然嫌だとは思っていないけれど、おそらく人によっては親からそうやって干渉されることって嫌だったりするのかな。
わたしは正直いつまでも、パパとママから構われたいって思っているけれどそれってわたしが中々親離れ出来ないってことなのかなぁ。でもまぁ、パパとママはわたしがいつまでも二人に甘えるのを特に嫌がらないだろうし、問題ないだろうけれど。
実技の試験は魔法使用を許可されている鍛錬場で行うみたいなの。学生はこの場を借りて魔法を使えるんだって。ちなみに許可なく魔法を使うことは基本的に駄目だとされているらしいよ。特に学園の敷地内ではね。ただ使用許可されているエリアもあるみたいだけどね。
それにしても緊張した様子の受験生たちの姿を見て、大丈夫かな? とそんな気持ちになった。
ただ今は、試験の説明をしている状況でいきなり他の受験生に話しかけまくるなんてしない方がいいだろう。そのくらい空気を読むことぐらいはわたしも出来るの!
次々と魔法が披露されていて、何だか凄く楽しい気分。
同年代の子の魔法なんてほとんど見ないから、それだけでも楽しいよね。想像通りと言ったらあれだけど、やっぱりわたしより魔法を使える人はあんまりいないみたい。
ただわたしが見たことのないような魔法もあって、いいなぁって思った。学園に入学して見かけたら魔法の話も聞いてみたいな。
まだまだ魔法を上手に使えない人も沢山だけど、これから魔法を学ぼうとしている人達なのだからそれも当然だよね。
この子達が学園に入学したら、一生懸命魔法を学んで素敵な魔法使いになっていくのかな。
入学当時はあまり魔法を使えないような人も、卒業するころにはきっと立派になっているんだろうなぁ。此処は、学びの場。それでいて学生たちの将来が決まる場所でもある。
入学したら、沢山の経験をわたしも出来るかな。素敵な友人達と出会えて、今よりも魔法を学ぶことが出来て……うん、楽しみ。
そうやって未来のことへと思いをはせていると、私の番がやってきた。
的に向かって魔法を向けるタイプのものだった。ちなみにあの的、自動修復機能がついているみたい。流石、魔法学科もある学園だよね。
どんな魔力回路が組み込まれているか解明したいなぁ。ちょっと頼んだら見させてもらえないかな?
「ベルレナが命ずる。火の神の加護を持って、火球を形成せよ。《ファイヤーボール》」
わたしが使った魔法自体は、決して難しくないもの。そこまで複雑なものを使う気はなかった。
わたしが一番適性が高いのが、火属性。
ベルラ・クイシュインだった頃から、そう。わたしの魂はそうなんだって、パパが言っていた。
その通り、わたしは年を重ねてもずっと火属性の魔法が得意だ。
炎の玉が複数浮かび上がる。それだけでも驚いた顔になった。まぁ、他の子達は複数の魔法を披露してなかったもの。でも的を全て狙いたかった。
魔法だけは、他の誰にも引けを取らないとそう思わせたかったんだもん。
わたしの魔法が的を射抜く。燃やし尽くしたというのが正しいかも。すぐに的は復活していたけれどね。
ああいう復活式の魔法が組み込まれているものだと、わたしの魔法でもどうしようもないのかな? あれをどうにかするための工夫もしたいなぁ。今ももっと違う風にしたら復活しないようにもするかもだけど、流石に壊したら周りに迷惑をかけてしまうもんね。
魔法学科の先生たちの反応は良かったよ!
わたしのことを将来有望だと思ってくれたみたい。凄く嬉しいよね。
わたしはパパとママに教わって、今、魔法をこれだけ使えるようになっている。周りに聞かれたら、両親に習ったんですって自慢できるだろうなぁ。
ちなみにわたしの魔法を見て嫌そうな顔をした子もいたよ。その子は他の受験生に比べて、魔法が上手だった。だから一番、自分が魔法が得意と思っていたのかも。
それなのにわたしが魔法が得意だから、もやもやしちゃったのかな。
入学したら同じようにわたしのことを気に食わないと思う人も出てくるのかもしれない。その時はその時でちゃんと対応しないとなぁ。
わたしはそんなことを思った。
ちなみに魔法の披露は一つだけだったので、それで終わったよ!




