春の日、学園に向かうための準備を色々進めている ⑨
1/29 二話目
きっと最初から凄い人だって思える人でもそうやって見習いの時期があるんだろうなと思った。パパやママ、それにニコラドさんは凄い魔導師で最初から完璧なように見えてしまう。だけれどもきっとそうではなくて、きっと三人とも最初から出来ないこともきっとあったんだろう。
……そう言う時のパパたちって、今よりも余裕がなかったりするのかな。でもきっとパパは余裕がなかった頃でも、わたしという魂に出会ったら利用できそうとかそんな風に思ったかもね?
魔法具は一つだけ購入してみた。見習いさんの作ったもの! だって頑張っている人のことは応援したいと思うもん。ただ本当に欲しいもの以外は流石に買わないけれどね。
その後も沢山お店を巡った。わたしの買い物、結構長い。それでもパパたちは嫌がる素振りなど全くなしにわたしが買い物をするのを付き合っていてくれた。
「そろそろ暗くなってきたから、家に向かうぞ」
ニコラドさんからそう言われる。
確かに気づけば、夕暮れ時になっている。あまりにも遅くまで出かけるのはしない方がいいもんね。それにニコラドさんの家で、夕食も準備してくれているみたい。
そういうわけでニコラドさんの家へと向かう。
ニコラドさんが所有しているという家は、王都の郊外にあった。だけれどもかろうじて貴族街の方にあったよ。お金持ちが購入するエリアだね。
ニコラドさんは魔導師という立場なのもあって、こういう屋敷を長い間所有するのも問題ないんだろうなぁ。
ニコラドさんが魔導師だって知っている人、王国にどのくらいいるんだろうね。魔法師組合の人達は知っているだろうし、おそらくライジャ王国のお偉いさんも知ってそう?
魔導師が人の営みの中で過ごしていると問題とか起きそうなイメージ。でもそういうことが起こらずに過ごせているだけで十分凄い事だと思う。それだけニコラドさんが人に合わせている部分が沢山あるんだろうな。
「お帰りなさいませ、ニコラド様。そしてようこそおいでくださいました、魔導師様方」
そう言って頭を下げる屋敷に仕える侍女の女性。
ニコラドさんが魔導師だと知った上で、つかえている人。パパたちのことも聞いているのか、目を輝かせてみている。
わたしのことも同じような目で見ているけれど……わたしはパパ達と違って魔導師ではないよ? と思ってしまう。
「こんにちは。わたしはベルレナ。ニコラドさんとは付き合いが長いの?」
わたしはにっこりと笑って問いかけた。
そうしたらその女性は、にこにこしながら返事をする。なんというか、人当たりのよい笑みで、向けられるだけで嬉しい気持ちになる。
おばあちゃんがいたらこんな感じなのかな?
ベルラだったころは、祖母や祖父が居たはずだけどあまり会ったことはなかった。うんと幼いころに会った記憶ぐらい。パパやママは長生きしている魔導師だから、その両親というともう生きてもいない。
勝手に心の中で、おばあちゃん認定してしまいそうだ。
「そうですね。私の家系は代々ニコラド様に仕えているのですよ。私の祖父母がニコラド様に助けられた縁で、この家を管理する役割を承っているのです」
先祖が助けられた縁で、こうしてずっとニコラドさんに仕えているらしい。ニコラドさんって本当に何だかんだ人助けとかかなりしているんだろうなって思った。
そういう繋がりが、今へと繋がっているって本当に凄い話だ。
「そうなんだね。ニコラドさんは昔から変わらないんだね」
ニコラドさんは、きっと昔からこういう性格で、それでいてだからこそ今もこの女性の一族はずっと慕ってくれているのだと思う。だって恩があったとしても、何代にもわたって仕えているのってよっぽどだ。きっとニコラドさんは良い雇用主なんだろう。
なんだかこうしてニコラドさんのことを知れるのもとても楽しい。
「ベルレナ、お喋りはそのくらいにしておけ。中を案内するぞ」
「あらあら、ニコラド様、そう照れなくてもいいじゃないですか」
どうやらニコラドさんは自分の話をされるのを少し恥ずかしくなったらしい。女性はにこにこしながらそう告げる。
それにしてもニコラドさんが魔導師だと知った上で、こんな態度出来る人ってなかなかいないと思う。仲良しさんだなぁって自然と笑顔になった。
ニコラドさんはその後、家の中を案内してくれた。元々定住用ではなくて、たまに泊まりにきたり、知り合いを泊まらせるようの拠点らしい。それにしてもこういう拠点をいくつも持っているのも人と関わりながら生きているニコラドさんらしい。
「この部屋を使え」
そう言って案内してくれたのは、大部屋だ。
三人で泊まれるぐらいベッドが大きい。ニコラドさんはママとはそんなに仲良しではないけれど、パパがママともっと仲良くしになるのは楽しいと思ってそうだから敢えてベッド一つの部屋なんだろう。うん、いいと思う。
わたしも一緒で仲良し親子三人で休めるのは良いことだよ。
それにしても出先で泊まりとなると、何だか楽しいよね。普段とは違う場所でゆっくり出来るとなんだか冒険気分だよね。
ちなみに夕食は用意してくれているという話なので、それまで少しのんびりすることにした。
わたし、ふかふかのベッドの上で寝転がるのも大好き。ちょっと横になると眠ってしまいそう。結構長時間歩いていたからね。
ベッドの上って凄く眠くなる。
「ベルレナ、ちょっと寝ててもいいぞ」
「んー、じゃあ、ちょっと寝る!」
わたしはお言葉に甘えて、少しだけひと眠りすることにした。




