春の日、学園に向かうための準備を色々進めている ⑦
レストランを後にして、わたし達四人は王都を歩く。これだけ多くの人々が居る中でもわたしたちは凄く目立っていた。
皆、綺麗で、かっこよかったり可愛かったりするもんね。それにわたしも凄く可愛いし!
一人で歩いていてもきっとすごく注目を浴びるだろうから、四人で歩いていると注目度が余計に凄い気がする。
「ベルレナ、どこ行きたい?」
「お店巡りしたいかもー! 王都にあるお店だと色んなものが置いてそうなんだもん」
わたしはお買い物が大好きだ。欲しいものがあるといつもどんどん買ってしまう。
パパとママが買ってくれたり、わたしが自分で稼いだお金で買ったり……うん、わたしは昔から……それこそベルラだった頃から変わらず欲しいものはなんでも買ってしまう方だと思う。
売り上げが出たお店は嬉しいし、わたしは欲しいものが手に入って嬉しいから買い物って誰にとっても幸せなことだよねって思っている。
「ねぇねぇ、ニコラドさん。寮生活だと必要なものって少なかったりするの?」
わたしは寮生活などしたことがない。だから来年から学園に入学するとして、寮生活をどうしようか? などとそんなことを思う。
実際問題、何が必要なんだろうね。
「んー、特にねぇな。必要なものは行った後に買えばいいし。最低限の家具などはちゃんと完備されているからなぁ」
「へぇ。凄いね!! それだったらあんまりお金がない家だって入学しやすいもん」
お金を持っている家だったら、何も気にせずに家具とかも用意できるだろう。でも余裕がない家だってきっとあるもんね。
そう言う家にとっては家具などが完備されていたり、身一つでやってきても問題ない環境が出来ているのって凄くいいことだよ。
そうやって学園が整えられているのってニコラドさんの影響もあるのかな? だって学園長はニコラドさんの弟子だって言ってたし。もしお金のない人は要らないみたいな思想の人だったらきっとお金のない人は学生として過ごす選択を選べなかった気がする。
「豊かな生活のために色々持ち込む奴もいるけれど、大抵は持っていけないからそのまま置いていったりも多いな」
「へぇ、そうなんだ」
「あと寮にもグレードがあるから、学生寮の費用は寮によって異なるぞ。安ければ安いほど、質素なものだったりするな」
「なるほど!」
わたしはニコラドさんの話を聞きながら何だか楽しくなっていた。
そうやって贅沢をしたい人は一番上の寮に入れて、お金が惜しい人は安い寮に入って、それで同じ学園に通えるんだなぁ。
それはそれで凄いことだよね。わたしはそんな風に思った。
「ベルレナは一番高い寮に入っていい」
「そうね。お金はいくらでもあるから構わないわ」
パパとママはそう言って笑っている。やっぱりパパとママは、わたしに甘いよね。愛されているのが分かって、そのことを実感するといつも嬉しい。
「ありがとう。なら、ちょっと考えるね? 一回、学園入学前に各寮について調べてからにするよ」
だって一番高い寮だと貴族が多いよね? わたしって、魔導師の娘ではあるけれど今は貴族ってわけじゃない。平民ではあるのだから、貴族だらけの寮にいても面倒事が起こるかもなんて考えた。
だってね、貴族の中には平民を気に食わないっていう人もきっといるんだ。
そう言う人たちと生活をするよりも、同じ平民の人達と同じ寮の方が楽しかったりするかも。本とかで読んだ学園が出てくる物語だと、隣の部屋の人とお友達になったりとかあるんだよ。わたし、そういうお友達欲しいもん。
「そうだな。ちゃんと調べてからがいい。最高級の生活が出来ても、同じ寮生と上手くやれなかったら大変だからな」
「うん! そうする。個室も出来る?」
「お金払えばな。安いやつだと、同室者居るぞ」
ニコラドさんからそう言われる。わたしはしょっちゅうパパとママの元へと帰る予定だ。やっぱり個室で移動した方がいいと思うんだよね。
ちゃんとニコラドさん経由で学園長に許可をもらってから魔道具は使うつもりだけど、同室者が居ると万が一の可能性がある。
それにわたしは錬金術とかも部屋でやりたいし、ユキアやシミーレとお喋りもしたかったりする。だから、一人部屋の方がいい。
ただ同室者が居るのも楽しそうって気持ちはあるけれど、やっぱり一人の方が落ち着きそう。
「ねぇ、パパ、ママ。わたし、一人部屋にはしたいなぁ」
「ああ。するといい」
「あなたの希望は全て叶えるわ」
わたしの言葉を聞いて、パパとママはそう言ってにっこりと笑った。
「ありがとう。ね、ニコラドさん。ちなみに食堂って結構大きいの? メニュー、沢山ある??」
わたしは気になってニコラドさんに続けて質問をする。学生の人達の多くが昼食を食べる食堂ってきっと大きいんだろうな。席とかも、貴族とそうでない人で分かれていたりとかするんだろうか。
わたしが食べたことのない料理とかも沢山あったら、きっと楽しいよね。
「そうだな。メニューは沢山あるはずだ。俺も食堂でご飯を食べたのなんて随分前だが。メニューが気になるなら、あいつに聞いておく」
ニコラドさんはそう言って楽しそうな表情を浮かべていた。




