春の日、学園に向かうための準備を色々進めている ⑥
「ちぇ、別にちょっとぐらい撫でたっていいじゃねぇか」
「駄目だ」
パパはそう言いながら代わりに、わたしの頭を撫でる。パパは過保護で、心配性な部分もあるから、ニコラドさんに撫でさせる気はないみたい。ただママがわたしのことを撫でるのは許しているからやっぱり何だかんだママのことは家族として認めている感じだよね。
「ちぇ、やっぱりディオノレは心が狭いなぁ。学園に行ったら、ベルレナにべたべたするような人間も出てくるかもしれないんだぞ? そういう時にいちいち文句言うなんてすごい迷惑な親だぞ?」
「……流石にそこまではしない」
「本当かぁ? ベルレナに知られないうちに行動出来ればいいとか思ってないだろうな?」
そんなことを言って、ニコラドさんは揶揄うようにパパを見ている。
本当にパパとニコラドさんは仲良しだなぁ。こんな風にパパのことを揶揄えるのなんてニコラドさんぐらいだ。
「いつまでたっても男は子供ね」
そしてママはそう言って笑っている。
子供……確かにそうなのかも? 本とか読んでいても男の人の方が女の人よりもそう言う傾向にあるって読んだことあるかも。
そんな会話を交わしていると、注文していた食事をお店の人が持ってくる。
美味しそうなお肉の匂いがして、ぐぅっとお腹が鳴った。わたしが頼んだのはね、お肉料理。ソースが珍しいものを使っていると書いてあったの。お肉自体は食糧庫に入っていたから食べたことがあるけれど、ソースは流石にない。
お肉を口にすると、美味しくて自然と笑顔になる。このソース、何が含まれているんだろうか。なんとなくしか分からない。
流石にレストランに、「ソースの作り方教えてください」なんて言うのは違う気がする。だってどこででもソースを作れるようになったらこのレストランに訪れる人も居なくなってしまうもんね。
そう思うので、わたしは味わいつつ、家で再現してみようと考える。
ふかふかのパンも食べる。ジャムのふんだんに使われたパンもとても美味しい。パンとお肉の料理と……あとは魚のスープなど、沢山頼んだの。
「美味しい!!」
わたし自身も料理をするから余計にこういった美味しい料理を作れる人のことを尊敬する。
わたしもね、パパたちに喜んでもらえるようにもっと沢山料理を作れるようになりたいなと思う。
あとはそう、学園だと昼ご飯は食堂で食べたり、自分で用意したり、購買で購入したりとかそんな感じみたい。
少し節約をするならやっぱりお弁当を自分で作る方がいいのかな。お弁当って全然作ったことがないかも。魔法を使えば痛まないように保存することは出来るけれど痛まないようなおかずなどを考えないとね。
それに基本的に魔法を使うから問題はないけれど、魔法が使えない時の場合を考えて日持ちがするようなお弁当も作れるようになった方がいいかもしれない。
「パパたちが食べているものはどう? 美味しい?」
わたしはパパたちにそう言って問いかける。三人が食べているものは、わたしの食べているものとは異なる。
「美味しいぞ」
「美味しいわよ」
「ベルレナ、食べてみるか?」
パパ、ママ、ニコラドさんがそう言って微笑む。
ニコラドさんに関してはわたしに向かって、フォークに刺した魚を差し出してくる。
所謂あーんというものだね。こういう格式ばったところで、あーんなんてしてもいいのかな? と思ったけれど、ここは個室だし問題がないかもしれない。
わたしはそう判断をして、ニコラドさんの差し出したものをそのまま食べる。
うん、美味しい!!
ニコラドさんは気を良くしたのが次々と、食べ物をわたしに食べさせてくれる。
「ベルレナ、ニコラドからじゃなくて俺かジャクロナから食べろ」
そうしていると少しだけ不機嫌そうなパパにそう言われる。
パパは娘であるわたしをニコラドさんに取られてしまったとでも思ったのかもしれない。パパのそういうところはちょっと可愛いかもって思ったりする。
「うん!! 分かった。ニコラドさん、ごめんね? パパとママから食べさせてもらうことにする」
わたしがそう言うと、ニコラドさんは呆れた笑みを浮かべながらも頷いた。
それからわたしはパパとママの食べているものを沢山食べさせてもらった。そうしていると流石にお腹いっぱいになって、自分の頼んだものを少しだけ残してしまった。
余った料理に関してはパパとママが食べてくれた。わたしもあーんってしてあげたの!!
なんだかパパとママに餌付けをしているみたいで凄く楽しかった。なんだろう、好きな人にはこうやってなんでも食べさせたくなるよね。
それで嬉しそうにしているのを見るのも好き!!
そんなことを考えながら、レストランでの食事を終わった。お腹いっぱいになると少しだけ眠くなってくる。
でもこの後もまだ王都を見て回る予定だから、眠るのはもったいないよねと寝ないように気を付ける。




