春の日、学園に向かうための準備を色々進めている ②
というわけで、王都に到着した。やはり国で一番栄えているところというだけあって、人が沢山いる。こんなにたくさんの人がいることにわたしは驚いてしまう。
やっぱりわたしの故郷のライジャ王国って、他の国と比べてみても大国なんだよね。
その国の中でもわたしの元の家であるクイシュイン公爵家はとても有名な家だったりする。王都に居ても、クイシュイン公爵家に関わりのあるお店とかあったりするの。
どうやら今、ベルラ・クイシュインとして生きているあの子は色んな事情に手を出しているらしく、その方面でもそれなりに有名らしかった。奇抜な商品を作ったりだとか、わたしでは考えもつかないようなことをものを生み出したりしているらしく、凄いなと素直に思う。
思えばわたしが身体を奪われてすぐの時、わたしはしばらくあの子の傍にいた。あの子は他とは違うような行動をよく起こしていた。ブツブツ言っていた言葉は全然意味は分からなかったけれども、普通とは違う感じはしていた。
ただたまに悪い噂もあるみたい。人によってはそれがベルラ・クイシュインの妬みと認識しているみたいだった。……それで放置していて大丈夫なのかなとはちょっと驚いたけれどわたしには関係がない話だ。
「ねぇ、ベルラ・クイシュインの噂、王都でも色々広まっていて凄いね?」
わたしはパパとママに向かって、そう告げる。
二人は眉をしかめる。わたしの元の身体が彼女だと知っているからこそだとは思う。なんで当事者であるわたし以上にパパとママの方があの子に思う所があったりするのかな。
わたしのことを大事に思っているからこそだろうけれど。
「そうだな」
「そうね……」
「パパ、ママ、何もしないでね? わたしは今、パパとママの子供になれて凄く嬉しいんだから」
わたしがそう言って笑えば、二人は頷く。
ニコラドさんはそんな会話を交わすわたしたちを見て、にこにこしている。
「さて、先に洋服店行くぞー」
「はーい」
ニコラドさんの言葉にわたしは元気よく返事をする。パパとママと、それにニコラドさんも一緒に王都をぶらぶらできるのって楽しいよね!
大好きな人と一緒だからこその楽しさがあるというか……!
先に制服を買いに行くのは、その後にゆっくりするためみたい。先に時間がかかることは終わらせておこうとしているんだって。
ちなみにね、今日、サイズの調整とか予約をして、実際に制服を受け取るのは時間かかるみたい。その時に実際に私がとりにいくか、ニコラドさんが持ってきてくれるかどちらでもいいみたい。
わたしの通う予定の学園って、六年も通うものだから途中で調整を更に入れることも時たまあるらしい。
わたしのホムンクルスの身体は普通の人間の子供と同じように成長している。こんな身体を作ったパパってやっぱり凄いよね? 魔導師だからこそ、こんな風に成長する身体が作れたんだもの。
わたしは改めてパパの凄さを実感した。
わたしの身長、どのくらい高くなるかな。今の所、わたしは平均より低めの身長だからもしかしたらあんまり伸びないのかもしれないなとかそんなことは思う。
でも小さいままのわたしも可愛いよね。背が高くなって、すらっとした美人さんになってもありだとは思うけれど!
どちらにしても、わたしは自分が可愛いままで居られるように沢山努力はするつもり!
ニコラドさんに連れられて向かったお店は、王都の中でも奥まった路地にあった。何だか隠された名店みたいな雰囲気。
お店の中には年配の女性が居た。その女性はニコラドさんの昔からの知り合いらしい。そういうわけでニコラドさんが魔導師だと知っている数少ない人でもあるみたい。
「ニコラド様の御友人の娘様が我がお店を利用してくださるなんて嬉しいですわ。ぜひ、機会があれば今後もごひいきを」
彼女はニコラドさんのことをとても尊敬している様子だった。それだけのことがきっと何かあったんだろうね。
とはいっても何をしたらこんなに慕われることになるんだろうって気になって聞いてみたら「助けだけだ」と軽く答えられた。
ニコラドさんはなんでもないことのように言っているけれど、きっと店主さんにとっては大きな出来事だったんだろうなとは思う。
さらっと凄いことを実はやっていたりするのもニコラドさんって感じ!
そんな会話を交わしつつ、わたしは制服を試着してみる。水色のブレザーに赤チェックのスカートが特徴的。うん、とても可愛い。
それにわたしによく似合っている! わたしの身体、とても可愛いからどういう服でも似合うけれど、こういうのも似合うんだなぁと嬉しい気持ちになった。
「パパ、ママ、ニコラドさん! どう? 似合うでしょ??」
わたしがそう言って三人の前に立てば、三人ともが可愛いと褒めてくれる。あとは店主の女性もにこにこしていた。
サイズの調整などをしてもらう。
こうして制服の準備を進めていると、学園生活が迫ってきている感があって凄くワクワクした。




