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お誕生日は、楽しく過ごす ⑤

「ふんふんふ~ん」



 わたしは鼻歌を歌いながら、山の中を歩き回る。

 こうして歩いているだけで、とても楽しくて仕方がない気持ち。


 わたしは一人で屋敷の周りの山を動きまわることも多い。楽しいからね。毎年、色んな景色が見られるんだよ。新しい発見もあったりして、幸せな気持ちでいっぱいになるの。

 何かを見つけたり、何かに気づいたその瞬間はわたしは大好き。パパやママは案外、小さい発見はしなかったりするんだよ。わたしがね、「これ、凄く綺麗だよ」とそんな風に口にすると、気づかなかったと言われることもある。



 子供と、大人の目線って色々と違うらしい。

 わたしも大人になったら、今は気になる小さな発見にも気づかなくなったりするのかな。



 できれば、大人になっても沢山のことに視線を向けられるような人ではありたいかも。だってそうやって何かに気づくことが出来たほうが魔法の研究にも役立ちそうだしね。

 わたしはこれから大人になる。

 学園に入学して、パパとママの元から離れたら……所謂独り立ちみたいな感じなのかな。卒業した後にどういう道を選ぶかとか全く分からない。というか、想像さえもつかない。




「ねぇ、パパ、ママ。ずっと先の話にはなるけれど、わたしは学園を卒業した後は此処に戻ってきてもいいよね?」

「もちろんだ」

「ええ。だってここはベルレナの家だもの」



 パパとママは子供であるわたしに凄く甘い。でもわたしが大人になったらどうなんだろう? と少し思って問いかけた言葉に笑って答えられる。

 大人になったとしても、きっとパパとママにとってはいつまでもわたしは子供のままなのかもしれない。



 でもそれって幸せなことだよね。



 親子関係って人によってはおそらく違うだろうけれど、大人になったらそのまま疎遠になったりとか、大人まで育てたらその後は知らないとか、そういうことってあるらしい。人によっては親からずっと構われることを嫌がるらしいけれど、わたしはパパとママにならば幾らでもいつまでも子供扱いしてほしいなと思う。



 わたしがこの先の未来、魔導師になるかならないかは分からない。

 でも魔導師になって長生きをするとしたら――その分、甘えられる人もきっと居なくなってしまう。長生きをするならば、パパとママと一緒がいいな。




「来年は学園に通っているんだと思うと不思議だなぁ。学園の近くってここみたいな山ってあるのかな」

「課外学習用の山はある。学園で管理しているから、魔物が必要以上に増えないようにしているらしいが」

「へぇ。そこもちょっと覗きにいってみたいかも? あ、でも学園に入学してから色んなことを知る方が新鮮味があって楽しいかな?」



 学園に関する情報は、ニコラドさんから学んでいるから必要最低限のものは知っている。でも実際に学園の中に入ったことなどは当然ない。



 先に見に行ってもいいかもだけど、入学してから色々知る方がいいかな?

 一緒に入学をする人たちはわたしと同じように全てをはじめてなはずだしね。それでわたしだけ先に色々聞いているというのも面白くないかもしれない。




「どちらでもいいぞ。ニコラドに言えば学園の見学ぐらいはさせてくれるはずだ」

「そうだけど、ちょっと入学してからの楽しみにしておこうかな? 私は魔導師の娘だってことは隠して入学するつもりだし、あんまり悪目立ちはしすぎないようにしたいしね」

「ベルレナは可愛いから目立つだろう。それに魔法の実力を知れば確実に注目はされる」




 パパに言われて、それはそうかもと思った。わたしって、パパとママに魔法を習っているのもあって、同年代の子に比べると魔法が上手く使える方だろうし。

 そうなると逆に目立ちまくった方が良かったりする?



 可愛いわたしに構ってくる人たちって多いかも。わたしはベルレナになる前は公爵令嬢だったし、今は魔導師の娘だから何か強要されてもどうにかなったけれど学園に通ったらそうではないもんね。

 ニコラドさんの弟子が学園長をしているからある程度は問題ないと思うけれど、学園長に構われ過ぎても贔屓だとか言い出す人多そう。



 でもそっかぁ。

 ベルラだったころは、公爵令嬢。今は、魔導師の娘。

 そういう肩書の元でわたしは見られていたけれど、学園に入ったらなんというか……完全にただの家名もない“ベルレナ”という一人の女の子として見られるんだろうな。




「確かに、目立ちはするかも? その時の対処法も今のうちから考えておかないと! 学園には貴族も沢山通うだろうし、対応間違えないようにしないとなぁ」



 わたしが貴族として生きていたのは、幼い頃だけだけど……その頃に学んでいたことももしかしたら役に立つかもしれないね。



「ベルレナ、しつこい男が居たらすぐに相談するのよ? 世の中には女性は全て自分に惚れると勘違いしている男もいるのだから」

「凄い、自信だね?」

「ええ。私もそう思うわ。ディオノレぐらいかっこいいならともかく、そうじゃないのになのよ? 驚きよね」



 ママの言葉にわたしはびっくりする。



 うん、パパはね、わたしが今まで見てきた中で一番きれいだなってぐらい見た目が美しい。だからこそ少しぐらい「女性が全て自分に惚れている」と思う時期があっても当然だなとは思ったりする。

 というか他の人だって、「これだけ綺麗だったら……」っておそらく納得する。



 でもそうじゃなくても、自信満々な人っているみたい。自分に自信があることって悪いことじゃないけれど、人に迷惑をかけるのは駄目だよね。


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