わたしは精霊に屋敷を案内する ⑤
「ねぇねぇ、シミーレはパパとママがもっと仲良くなるにはどうしたらいいと思う?」
わたしはシミーレに向かって聞いてみる。もしかしたら精霊のシミーレなら、何かしらわたしが思いつかないようなことも言ってくれるんじゃないかなって思ったから。
ママがやってくるまでは、パパに良い人が出来ればいいってニコラドさんと一緒に話していた。今、わたしとニコラドさんが望んでいるようにパパには奥さんが出来た。
とはいえ、ラブラブってわけじゃない。
うん、パパとママは仲良しだけれども恋愛関係があるかどうかはそうじゃないもんね。
そういう気持ちって結局他人がどうこうできるものじゃない。わたしがママともっと仲良くしてほしいとそう言ったところでどうしようもないもん。
それにパパとママに無理をしてほしいわけじゃないしね。
「あの二人は夫婦なのだろう? なら、十分仲が良いのではないか?」
「そうなんだけれど! でもパパってママのことをそういう意味で好きなわけじゃなくて、わたしに母親が居た方がいいし丁度良いからって受け入れているんだもん。パパもママも魔導師で、凄く時間があるからその分恋愛ものんびりかもだけど、わたしは自分が寿命を迎える前には仲良しな二人を見たいなって」
わたしはこの先、どうするか決めてない。本格的に魔導師を目指すかどうかも分からない。
だからこそ、早めに仲良くなってくれた方が嬉しいなってそう思う。
それに時間がかかって、関係がどんどん拗れていくのなんて見たくないし。
「そう。……やっぱり共同作業をするなどが一番だとは思う。それかライバルでも用意して焦らせるなどもありかと思うが」
「ライバル?」
「特別な相手が奪われるかもしれないと、そう実感すれば焦って恋愛感情を自覚するらしいと聞いたことがある」
「へぇ……。でもそれって、そのライバルになる相手を用意しても靡かないと焦ったりしないよね? パパは女性に関心なんてないし、ママはパパ以外見ていないからそう言う相手がいても関係ない気がするなぁ」
パパとママは異性からとてももてるタイプなのだ。だから周りから騒がれたとしてもそれはいつものことってなるだけな気がする。
そもそもママが居るのに、パパが他の女の人にデレデレしてたりしたら嫌だなとは思う。だってわたしのパパだもん。わたしはパパのことをちゃんと任せられる人じゃないと嫌だなってそう思う。
そんな思いはわたしの我儘かもしれないけれど……。
「そうなの?」
「うん。そう。それにパパとママのことを騙すみたいで、わたしがそういう相手を紹介するのは違うから嫌かな」
「そうか。というか、もうしばらくしたら学園に行くのならばその間に距離を縮めるんじゃない?」
「それはそうかも……? でもどうなんだろう?」
わたしがこの屋敷からしばらくいなくなったら、パパとママの距離は縮まるのかな。それとももっと機械的な感じになる? わたしはもっと仲良くなって欲しいなってそればかり思っている。
パパとママに仲良くしてねって言うぐらいならいいだろうけれど、無理強いはしたくないもんな。
「結局君が何かやったところで、本人達次第だろう」
「んー、そうだけどぉ……」
「君が恋人でも作ればよい影響が出るんじゃないか?」
そんなことを言われて、わたしは驚く。
だってこんなことを言われるなんて全く思っていなかった。わたしに恋人……。うん、確かにわたしが恋でもしたら、パパとママは影響を受けるのかも。パパだって、そういう仲が良い恋人が出来たらいいかもみたいに羨ましくなるかもしれないもんね。
「うーん、恋かぁ。いつかしてみたいなって思うけれどわたしはまだ分からないかも。それに恋ってするものじゃなくて落ちるものって小説とかで読んだよ」
恋って、そういうものなんだろうなとそう思った。
わたしは恋をしたことがないし、誰かを異性として好きになったことなどは一度もない。そういう気持ちってどういうときに沸くものなんだろうか?
恋をして、それから結婚するまで至るのって、凄く好きだってことだよね。
学園に行ったら、わたしも好きな人が出来るのかなっていうのも分からない。
「わたしね、学園にいってもちょくちょく帰ってくるつもりなの。パパとママが過保護だから、帰ってこらえれるようにしてくれるって言ってた。でも二人の仲を縮めさせるためにはもっと、色々と考えておくべきなのかもなって」
毎週のように帰ってくていたら、パパとママの仲の良さが深まらないのかも……!! そのあたりは学園に入学してから考えればいいことだろうけれど、悩むね。
いつかはわたしももっと大人になって、親離れをしなくてはならなくなってしまうのかな。
……それは嫌かも。というか、大人になってもパパとママに甘えてもいいよね? そう思うけれどどうなんだろう??
恋人を作るのならばわたしがパパとママと仲良しでも許してくれる人がいいなぁとも思った。
「それは君次第だね」
「うん。とりあえず入学してから決める。でも私が学園に行くまでの間も、パパとママがもっと仲良くなるように頑張るから手伝ってね」
わたしがそう言ったらシミーレは頷いてくれるのだった。




