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わたしは精霊に屋敷を案内する ④

「ほら、見て。此処はね、書庫!!」



 次にわたしがシミーレを連れてきたのは書庫。パパやママの集めた本が沢山集められている場所だ。

 わたし専用のエリアはね、最初の頃よりずっと本が沢山増えたの。どこかに出かけるとこう……なんていうか知らない本に出会えたりするから。

 そうするとすぐに欲しくなってしまうの。パパもママもわたしに対して凄く甘いから、欲しいものってすぐに買ってくれる。自分で稼いだお金もなるべく使っているけれど、「子供のものは親が買うべきだ」なんていってあんまり使わせてくれなかったりするの!


 本当にわたしのことを甘やかしすぎだよね? 可愛がってくれているんだなって分かるから嬉しいけれど。

 学園に入学したらパパとママは傍にいないんだよね。そうなると今まで通りの暮らしをするわけにもいかない。あと一年と少しでそんな日々がやってくる。

 うん、やっぱり何だか不思議な気持ち。





「……こんなに沢山の本を所蔵しているのか。驚いた」

「ふふっ、びっくりだよね。パパとママって、本を読むのも好きなんだよ。ほら、魔導師っていうのは魔術に関する探究者でしょう。幾らでも学びたくて、研究したくて、そう言う人なんだもん。本ってね、沢山の情報満載なんだもん」



 ママが一緒に暮らすようになって、余計に本の数が増えたと思う。



 パパは研究熱心だけれども、あんまり興味ないこともやっぱりある。女性だからこそ興味津々なものってあるからね。わたしとママはおしゃれなこととかは興味があるけれどね。

 パパはそういうのはあまり関心ないんだもん。同じ魔導師でもこうして違う部分があるんだなってそういうのを実感すると楽しい。



 一般的な人達って、魔術師って存在を知らなかったりする。でもその存在のことを想像すると、同じような人達ばかりって勘違いする人もいるかもしれない。

 それか人とは違う存在だから、感情とかを高ぶらせることはないとかそんな風に思っていたりするのかも。

 わたしは魔導師と沢山関わっているから、それぞれが違うって知っているけれどね。

 ……パパやママ、それにニコラドさんも面倒な関わり合いが嫌いだってことは知っている。わたしだってパパとママが嫌がることはしてほしくないなって思う。




 けれど魔導師だから恐ろしい存在だって誤解されているのはそれはそれで嫌かもしれないなんてそんなことも思ったりする。

 でもパパとママが魔導師でも優しいとか、そう言う風に広まったら変に利用しようとしてくる人たちも出てくるだろうし、そのあたりが色々と難しいよね。



「わたしもね、本を読むの好きだよ。知らなかったことを知ることが出来たら、パパとママに近づけるようなそんな感覚になるんだよ」



 パパとママはわたしにとっての憧れの対象だ。だってかっこいいもん。それに凄く素敵。

 本を読むだけではもちろん、二人に近づくことって出来ない。それでも近づけるようなそんな感覚にはなれる。

 ちょっとした自己満足。それに役に立つか分からないような情報も沢山ある。けれど本で読んだ情報だって役に立つって思うの!! だからどんなものだって真剣に学ぶの。

 わたしはそんなことを考えてにこにこしてしまう。



「そうなのか。魔導師に近づくことは難しいと思うが」

「うん。難しいのは知っているよ」



 わたしはね、まだ魔導師になりたいかなりたくないかも分からない。そもそもそんな存在はなろうとしてなれるものでもないって知っている。

 ただいつか大好きなパパやママのようになれたら嬉しいなっていうのは本心。



 精霊であるシミーレの目から見ても、やっぱり魔導師って凄い存在みたい。というか、精霊って本を読んだりするのかな? あんまりそんな印象はない。わたしはこれまで精霊の里には行ったことはあっても本を読んでいる姿は見たことはない。

 シミーレみたいな力が強めの精霊だと、人と同じように思考したりはしてそうだけど。小さい精霊は逆にあんまり何も考えていなかったりする。

 でも精霊は精霊だから、人とは違う感覚を持ち合わせてはいると思うけれど。


 そんな精霊たちからしても、魔導師って存在は特別なんだから凄いよね。





「それでもわたしはね、いつかパパとママと同等の存在にはなりたいっていうか、いつか助けられるようにはなりたいかな。わたしはね、パパとママに助けられてばかりなの。今はまだわたしが子供だから、どうしようもなかったりするけれど大人になってもそうはいってられないもん」



 わたしが大人になったとしても、パパとママはわたしのことを子供として扱ってはくれるとは思う。うん、いつまでも甘やかしてくれたりはきっとする。

 それでもわたしは大人になったらパパとママのことを助けたいし、支えられるようにはなりたいな。



 もっとも、パパとママのような魔導師が困る事態ってなかなかないかもしれない。

 ただやっぱりパパとママのことを狙う人だっているだろうしね。魔導師的な意味でも、綺麗な二人に近づきたいって人もいるって意味でも。




 だからそう言う相手にはわたしがちゃんとどうにかするの。パパとママにはいつまでも仲良しでいてほしいから。



 パパは相変わらずママに対しては、家族としての役割しか求めてないけれど……それでも二人とも仲良しだからもっと距離が近づけばいいなってそう思う。


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