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精霊獣に会ったその後のこと ④

 パパとママと一緒に、地下への入り口を一緒に探している。建物の中は思ったよりもずっと広い。

 それでいて沢山の箱が置かれている。外から見た通り、倉庫として使っているのかな?

 流石に箱の中身などは見ない。ただ見るだけならばれないだろうけれど、そういう話ではないしね。わたしたちはあくまで、精霊の気配が気になって此処に居るだけだもん。




 色とりどりの箱。

 大きさはバラバラで、何が入っているんだろうとはちょっとは思ったけれど。

 生物は地下にいる精霊以外には居ないみたい。

 わたしは倉庫の中を歩きながらきょろきょろと視線を彷徨わせる。




「うーん……?」



 わたしはどこに地下への入り口があるか分からなくて、思わず顔をしかめてしまう。そんなわたしをパパとママは微笑みながら見てる。



「パパとママ、凄く余裕そうな顔してる! もしかして場所、分かったの?」



 わたしはそう言ってパパとママの方を見る。

 二人とも、凄く涼しい顔をしているの。二人ともわたしよりもずっと凄いから、わたしが気づけないところも気づいたのかな?






「ああ。ベルレナ、魔力を使って探してみろ」

「あなたなら探せるはずよ」



 にっこりと笑ったパパとママに、わたしはそんな風に言われる。




 それはパパとママからの信頼の言葉だ。二人の娘であるわたしならば問題なく見つけることが出来るだろうと……。

 きっとパパとママはわたしが見つけられなかったとしても受け入れてくれるだろう。だけど、わたしは大好きな二人からの信頼に応えられないのは嫌だなとそう思ってしまった。

 だってね、出来るって信頼されていることを出来なかったなんて悔しいもん。わたしはこれで見つけられなかったら、自分に怒っちゃうよ。なんで出来ないのって。





 そんなことを考えながら、わたしはパパに言われたように魔力を使う。

 わたしの魔力を、薄く引き伸ばしていくイメージ。周りを探り、違和感を感じとるために……。

 って、こんな風に魔力を垂れ流したら色々問題起こったり、忍び込んだことがバレちゃったりするかな? とわたしは一旦中断してパパの方を見る。







「どうした?」

「わたしが魔力を沢山使ったら、バレちゃうかなって」

「大丈夫だ。外に漏れないようにはしてる」

「流石、パパ!! じゃあ、続けるね」




 どうやらわたしが知らないうちにパパは対処をしてくれていたみたい。そういうのをさらっとしているあたり、パパって本当に凄い!!

 見た目が綺麗なだけじゃなくて、そういうのをさらっとするからこそパパってかっこいいんだなって思う。ほら、ママもパパのことをじっと見てるし。きっと、かっこいいなって思っていると思うの。

 そういうパパを見る視線とかで、ママがパパを大好きなことが分かってわたしはその様子を見るだけで嬉しくなった。



「よしっ」



 わたしは気合を込めるように声をあげて、そしてまた魔力を流す。

 集中をして、少しずつ探っていく。慎重に……、漏れがないように。こうやって細かい作業をするのはわたしは嫌いじゃない。結構疲れたりはするけれど、こういう魔力に関することは、大雑把にやるよりも細かい調整をした方がいいもん。




 わたしは魔力量が多いから、それでゴリ押しして出来ることって沢山あるとは思う。だけどそれでどうにもならないこともあるかもしれないし、きちんとやった方がいいとは思うの。

 わたしはそんなことを考えながら魔力で探り続ける。




「あ」



 そして一か所に違和感を持った。

 とはいっても本当に小さなもので、本当にそこがわたしが探しているものかどうかは分からないけれどね。





 わたしはパパとママの方を見る。

 わたしの言葉を言いて、パパとママは頷く。その表情を見て、嬉しくなってわたしの表情は緩む。




 そしてわたしはその違和感のある場所へと向かう。




 ただの床に見える。……でも確かに違和感がある。さらに魔力で探ってみる。

 そうしたら確かにその下に空洞が広がっているのは分かった。




「ねぇ、パパ、ママ。これ、下に空洞があるのは分かるけれど、どうやって下に降りるのかな?」



 折角空洞がある違和感がある場所を見つけたけれど、下への降り方が分からないよ!!

 わたしはパパとママに助けを求めるように視線を向けた。




「もう少し探してみて」




 ママにそう言われて、わたしは周りを探る。その中で色々探してみると何かのスイッチを見つけた。そこをぽちりと押すと、先ほどの違和感があった個所の床が動いていた。





 おおっ、こんな仕組みなんだ!!

 わたしは少しだけ興奮してしまった。だって、こういう秘密の場所への入り口って少しワクワクする。

 そんな気持ちになって、わたしは反省する。だって精霊が大変な目にあっているかもしれないのに、楽しんでいるなんて駄目だもんね。





 わたしはそんなことを考えて、気を引き締める。そしてわたしたち家族は、その地下への入り口へと足を踏み入れた。


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