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精霊獣に会ったその後のこと ②

 わたしは可愛いものが好き。それにキラキラしたものも好き。だからこうやって新しい場所で、好きなものが沢山手に入るとワクワクする。



「ふんふんふ~ん」



 わたしは嬉しくて、思わず鼻歌が口から洩れる。



 わたしたちは買い物をした後、街中で一番大きな公園に向かった。ここは家族連れも見かける。公園では屋台のようなもので食べ物が売られていて、そこの店番はわたしよりも小さい子もいた。家族がそのお店をやっているみたい。

 あとは小さい子が店番をしていると人が寄ってきやすいというのもあるからだと思う。




 世の中には小さな子供相手にも容赦をしない人は居るには居るけれど、街中だと基本的には子供は守られているものだとは思う。わたしは街で暮らしては居ないから、そのあたりは遊びに来た時に感じたことでしかないけれど。



 わたしもその屋台で、食べやすいお菓子を購入した。家族みんなで作っているんだって。

 わたしたち家族はそれを食べて、それから公園内をぶらぶらする。わたしはパパとママに連れられて、沢山の場所に行ったことがある。それこそ普通に暮らしていたらまず行くことが出来ない場所にだって沢山行ったことがある。それでもこういう公園に来るのもわたしは好き。




 少しだけ肌寒いけれども、それなりに過ごしやすい。




 精霊獣の居た森は、とても雪が降っていてびっくりするぐらい積もっていた。街中はというと、ぱらぱらと雪が降っている程度。

 今日だけかもしれないけれど、やっぱり少し場所が違えばこうなんだなと思う。とはいってもここも積もっているよ。昨日は沢山降っていたのかもね?



 だからその雪でわたしは遊んでいる。

 なんだろう、雪を見ると毎年、わたしはワクワクしてしまう。




 住んでいる屋敷の周りも、冬になるといつも大量の雪が降る。そしていつも積もっている。だけれども遊びに来た先で雪が降っているとまた違うよね。




 買ったばかりの洋服だけれど、魔法で綺麗に出来るってパパとママに言われたから思いっきり遊んでいる。




 ユキアも一緒ならいいのになと思うけれど、ユキアは珍しい存在だからあんまり人前で出さない方がいいことは分かっているので我慢する。

 雪を使って、兎のようなものを作ったり、好きな花の模様を描いてみたり――。



 ただそうやって遊んでいるだけでわたしにとっては楽しいことだった。それにね、わたしがそうやって遊んでいると街の子供達が近づいてきて、「一緒に遊びたい」と言ってくれたの。

 だからわたしは子供達と一緒に思いっきり遊んだ。






 その街で流行っているような遊びを教えてもらったりしたの。こういう雪が毎年降る地域だからこその遊び方ってあるみたい。あとやっぱりこの街でもこれだけ雪が降るのは珍しいんだって。

 今年の冬は、本当に何処でも凄いなと思う。




 ……今年はアイスワンドに行く予定はないけれど、きっとすごいことになっているのかも。

 元々、雪の量が凄まじいところだときっと大変だろうなとは思っている。




 街中は雪が積もっていると歩きにくいからと、それなりに整備されている。それにあまりにも積もりすぎていると危ないしね。滑って転んで、そして亡くなるような子供も居ないわけではないから。

 一緒に遊んでいた子供達の中には、親しくしている子がこけて怪我をしてしまったとかそういう子も居たの。




 安静にしていれば問題ないみたいだけど、わたしもこけたりしないように気をつけないとな。

 子供達との遊びの中で、雪の上を走り回っていた。その中で、わたしは結構俊敏に動いていたから驚かれた。もちろん、こうやって遊んでいる時は身体能力強化は使っていないよ。魔法を使えない子と一緒に遊ぶのに使ったらずるいもん。

 ただ学園に入る予定もあるし、パパとママに時間があるときにいつも鍛えてもらっているからこれだけ動けるの。ニコラドさんもたまにきて、色々教えてくれるしね。




 ただニコラドさんはいつも忙しそうにしているから、全て聞くことは難しいけれど。

 だからいつもニコラドさんに何を聞きたいかなとか、全て纏めているの。そうしたら会った時に聞きそびれることがなくなるもん。





 そうやって思いっきり楽しむわたしの様子をパパとママは穏やかな表情で見ている。パパとママの笑みって、何だろう、静かな笑みなんだよね。ニコラドさんみたいに大笑いしたりはしないタイプ。

 どっちの笑顔もわたしは好きだなって思っているの。




 パパとママと目があって、思いっきり手を振ったら二人とも手を振り返してくれた。

 それに一緒に遊んでいた子達にパパとママがとてもかっこいいって、綺麗だって褒めてもらえた。

 わたしはそんな風に言われると嬉しくなって、「そうだよね。わたしのパパとママは、凄く綺麗なの。それにね――」と二人のことを自慢した。




 わたしがパパとママのことを大好きなことを知った周りは、笑顔で話を聞いてくれた。

 そうして楽しく過ごして――あっという間に時間は過ぎていく。明日もまだ街に居ることを告げると、子供達は喜んでくれた。



 わたしたちはそれから宿へと向かうことになったのだけど――、


「――っ」


 その最中に何かの、声が聞こえた。


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