精霊獣に会ったその後のこと ①
精霊獣に会いに行った後は、わたしたちは周辺の街で遊ぶことにした。行ったことがない場所だもん。周辺の街とはいっても、精霊獣が住まう森からはかなりの距離が離れている。
パパとママが魔導師でなかったら、簡単には移動出来なかっただろうなと思う。
「ねぇ、パパ。ママ。この洋服のお店、入ろう?」
街をぶらぶらしていて、洋服のお店を見かける。外から綺麗にコーディネートされた衣装が見えて、ワクワクする。わたし、こういうの見るの好きなんだよね。
パパの娘になってから、沢山の洋服をわたしは持っている。家の中でこういう風に飾る場所を作って並べても楽しそう。秘密基地にそういう場所を作るのもいいかもね。
女性向けのものも、男性向けのものも沢山並べられているの!
少しだけ寒い地域なのもあって、そういう服装が多い。
それとこのあたりで多く生息している魔物達の素材がよく使われている。あとはね、このあたりで有名なデザイナーさんのものも沢山並べられていた。
この街内だけでなく、周辺の街とか、国中に結構広まっているんだって。
そういう風に沢山の人達に知られていて、頑張っている人たちって凄いよね。わたし、そういう人のこと、とても好きだなってそう思う。だって凄いもん。
「見て、これ、とても可愛い!!」
わたしはそう言いながら、赤色のスカートを手に取る。わたしはスカートも大好き。もちろん、パンツスタイルの物も好きだけどね。色違いのものも全部欲しくなるな。
なんだか柄が好きだなって思う。
こうやって新しい街のお店に来ると、欲しいなってそういう願望ばかりわいてくる。
少し大人っぽいデザインなのもポイントだよね。わたしは子供だから、可愛らしいものもよく着る。似合うし、そういうのも好きだなって思うから。
「そうね。ベルレナによく似合いそうだわ」
「ママにもきっと似合うよ! ね、お揃いで買おう? ママ、どの色がいい? わたしはね、全部素敵だなって悩んでいるの」
「もちろん、お揃いにするのは構わないわ。私はそうね……どの色にしようかしら。ベルレナは選べないなら全て買うといいわ」
ママがにこにこ笑いながらそう言ってくれる。
わたしは可愛いから、どんなものでも似合うと思っているの。髪型とか、他にどの洋服と合わせるかで印象も全然違うもんね! ママもとても綺麗だからどの色も似合いそうだなって思って、いつもこうやって洋服を買いにくるとワクワクする。
結局スカートは全部買った。わたしが大人買いをしたからか、店員さんは驚いた顔をしていた。購入した物は全部ママが格納してくれた。スカートを全部買ったから、わたしたちのことをお金持ちと認識したからか、色んなものを勧めてくれるようになった。
奥の方から、表に出ていない商品も出してくれた。
お得意様にはそんな風に、出してくれるみたい。わたしはなるべくそういう特別扱いよりも、素敵なものは全員に出した方がいいのではと思う。とはいえ、お店の方針が色々あるだろうから、その辺はもちろん口出しなんて出来ないけれども!
出してくれたものは、希少な糸が使われているものらしい。特定の魔物が吐き出すもので、あんまり手に入らないんだって。
わたしも、こういう糸欲しいなぁ。そうしたら自分で好きなような洋服を作ることが出来るもんね。わたしはどういう魔物なのか分かってないけれど、パパとママに聞いたら手に入れにいけるかなぁ。そうやって考えるとわたしは楽しみな気持ちになる。
その高級な糸で作られたワンピースをわたしは購入することにする。合わせて、同じ魔物からとれる素材で作られたブーツも買うことにした。こんな風に、一体の魔物で様々な服の素材になるのってびっくりだよね。
わたしは洋服が好きだから、素材になりそうな魔物のことは結構調べている。自分で狩って、洋服を作りたいと思っているから。
でもまだまだ知らない素材も沢山あるんだよね。
折角だから奥から取り出してもらった洋服やブーツに着替える。それとね、それに合う上着なども購入したの。
新しい洋服って本当に嬉しい!
こうやってその場で着替えて、新しい洋服でまた出かけると二度おいしいようなそんな気分になるよね。
パパとママの分も奥から出してくれた。
それも全部購入していたから、お店の人は凄く喜んでくれた。こうやって売上が上がるとやっぱり嬉しいんだろうな。
そのお店を出た後、次も他のお店へと向かった。
この街は沢山のおしゃれなお店があって楽しい。あの精霊獣に関する言い伝えなどもこの街にはあるのか、あの精霊獣と似ている小物とか色々あった。でも完璧に一緒ではないのは、間近で精霊獣を見たりしていないからなのかな。
アイスワンドのすぐ傍で、ユキアは生まれ落ちた。そしてその親は人に害されて亡くなった。アイスワンドではあんまり精霊獣に模したもの、なかった気がするなぁ。あの精霊獣の子は時折気まぐれに人前に姿を現すことはあったのかな?
とはいっても精霊獣は長生きするから、あの子にとっては最近でも人々にとっては昔のことなのかもだけどね。
それにしてもこういうあの子に模したものも、可愛くていいなと思って購入してみた。パパとママはそれは買わなかったので、そこはお揃いではなかったけれど!
それにしてもこういう可愛いものが手に入るとやっぱり嬉しいね。