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精霊獣に会いに行こう ③

 頭を撫でる。思ったよりもふわふわで、幾らでも触りたいようなそんな気分になった。

 ただただその触り心地の良い毛を触る。それにしても契約をしていないから何を言っているかはさっぱり分からないけれどそれでも嫌がられてはないみたい。




《ベルレナ、いつまで撫でているの?》

「つい、触り心地が良くて……。それにしてもこの子は?」

《ベルレナが会いたがっていた精霊獣の一種だよ。人のことは嫌いみたいだけど、ベルレナ達の魔力は嫌いじゃないって》



 わたしの疑問にユキアがそう言って答えてくれる。



 確かに本で呼んだこの森に住まう精霊獣の見た目と一致している。でも確かにふわふわと飛んで、普通の魔物とは違う感覚がある存在だなとは思う。



 それにしてもわたし達の魔力を気に入ってくれているのは、とても嬉しい。わたしの魔力は元々のわたしとしてのものと、パパが作ったこのホムンクルスの身体と……二つが合わさったものになっているのではないかなと思う。この子がわたしの魔力を気に入ってくれたのは、ホムンクルスの身体だからかとかあるのかな? それともベルラ・クイシュインだったころのわたしでも気に入ってくれたのかな? わたしはそんなことを考えながら、引き続きその精霊獣の頭を撫でる。





「あなたは何処で過ごしているの? 住処とかに行ってもいい? 嫌だったら首振ってね?」



 わたしはその精霊獣に向かってそう問いかける。

 言葉で通じ合うことが出来なかったとしても、その言動からどう思っているかは知ることが出来る。

 その精霊獣はこくこくと頷いている。




「パパ、ママ、行こう」





 兎の精霊獣が移動し始めたので、わたしはパパとママへと声を掛けて、そのまま精霊獣の住処へと向かうことになった。




 雪の吹いている中をわたし達は進んでいく。それにしてもこういう場所を、すいすいと進んでいけるのも精霊獣だからなのだろうなとは思う。

 それにしても精霊獣の住処はどんなところなんだろう?

 こういう雪の中で暮らしている精霊獣なのだから、ユキアのようにそういう魔法が得意だったりするのだろうか。



 そんなことを考えるだけで何だかワクワクする。

 精霊獣の生態は解明されていないことが盛りだくさんだから、この子がユキアとどのくらい違うのかとかそういうのを知りたい。




 ああ、でも次々と質問ばかりし続けると嫌われちゃうかな?

 精霊獣が頭が良い子だったとしても、聞かれたくないことばかり聞かれたらきっと嫌になってしまうよね。

 何度も会ってくれるのならば、色んなことを情報として集めることは出来るだろう。



 けれど、どうだろう?

 うーん、こんな風に前のめりで沢山問いかけ続けてもあれだしなとそんなことを考えながら、わたし達は精霊獣住処へとたどり着いた。




 その精霊獣の住処は、木々がいくつも生え、それが絡み合って出来ている空間がある。

 その場所は雪の影響をあまり受けない。

 これは精霊獣の魔法によるものなのだろうか? そこに藁などのようなものが敷かれたベッドのようなものが置かれている。それ以外には何もない。

 精霊獣だから、人のような家具とかは基本は置かれていない。そういうものは必要ではないのだろうな。




 そのベッドの上でぽんぽんと飛び跳ねている様子はとっても可愛い。ちなみにユキアも一緒になってその藁のベッドの上へと乗ろうとして、拒否されていた。ユキアの方が大きいから、乗られると邪魔だと思ったのかもしれない。




《むー。僕も乗りたかった》

「断られたなら仕方ないよ。この子のものなんだから。戻ったら秘密基地とか、屋敷の中とかに作ろうか。そしたらユキア専用のものに出来るからね」




 わたしがそう言って、ユキアの頭を撫でまわしたら嬉しそうにユキアは鳴いた。

 わたしもそのベッドには乗らないけれど、触らせてはもらったよ。そのくらいなら大丈夫だと許してもらえたからね。


 ちなみに案外、その住処は大きかったの。





 わたしやパパ、ママが入っても特に問題がないぐらい。

 精霊獣によっては狭くてじっと出来る場所の方が好きなのかもしれないけれど、この子は割とこういう広い場所が好きみたい。

 そもそも広い場所が好きじゃなかったら、森の中で歩き回るということもしなさそうだいね。見た限り、散歩とかもとても好きそうだもん。




 精霊獣は大分、マイペースな性格をしているのかわたし達が此処にいるのを気にしない様子でうとうとし始めた。

 わたしが同じ精霊獣であるユキアと契約しているからというのもあるだろうけれど、安心してくれているのは嬉しいかも。




 あとはこの子はきっとこんなに可愛い見た目だったとしても、とても強いのかなと思う。それこそわたし達を力づくでどうにかすることは出来なかったとしても、何かしらの手段があるとかそういうものなのかも。



 やっぱりなんというか、精霊獣ってこういう子が多いのかな?

 普通とは違うような特別な力を持ち合わせていて、珍しい存在。きっと見た目からは想像していないぐらい長生きしているのかも。それかユキアのように知識を引き継いでばかりだったとしても凄いんだろうなとは思う。



 見た目からは想像が出来ないのが精霊獣だというのは、この子と会って改めて思った。


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