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精霊獣に会いに行こう ②

 転移魔法で移動した先は、深い森の中だ。

 ここも雪が凄い。

 毎年こうなのかな? それとも今年だけこんなに雪の量が凄いのかな? 風も吹いているから魔法を使っていなかったら立っているのもやっとだったかも!




「パパ、ママ、思ったよりも雪が凄いねー」



 わたしはそう言いながら、パパとママの方を振り返る。

 今日もパパはかっこよくて、ママは可愛い。こういう場所でもパパとママは輝いているというか、どんな場所でだって二人は素敵で、いつだって目を引くんだよね!





「そうだな」

「ええ。そうね。……やっぱりここも例年よりもずっと凄い雪なのよね」




 やっぱり今年の雪は何処も凄いものみたい。

 ここの景色も、去年来ていたらまた違ったのかな? そう思うと、何だか楽しいね。

 やっぱり何度も来ないと分からないものがあるんだなって思う。あとは季節とかも!




 今の季節は冬だからこそ、これだけ真っ白で幻想的な世界が広がっている。――でも違う季節だと、また変わった姿が見られるんだろうなぁ。どんな色で染まった世界が広がるんだろう? 想像するだけでワクワクしてくる。



《これだけ雪が降っているといいなぁ》




 ユキアはやっぱりこういう雪の世界になじみ深いからか、こういう所に来ると嬉しいみたい。

 はしゃいでいることがよく分かって、わたしも同じように走り回りたくなった。





「パパ、ママ、精霊獣に会いに行く前に走り回っていていい?」



 わたしがそう問いかけると、パパとママは頷いてくれる。



 精霊獣に会いに行くことが一番の目的だけど、他のことだって楽しみたい! それに精霊獣にわたしが会いたいといっても会ってくれない可能性もあるもん。ママが言っていたみたいに、人に会いたくないという子も当然いるかもしれないもん。

 そういう時はね、諦めるよ。嫌がることは無理にさせようなんて思わないもん。

 わたしだって会いたくない人から、会いたいって言われたら――ちょっとどうしようと思ってしまう気がするの。

 でも今のところ、この人と会いたくないって人はあんまりいないのだけど。




「ユキア、行くよ」

《うん》





 わたしの言葉にユキアは頷いてくれて、そのまま魔法を使って思いっきり走り回る。





 風を切る感覚が、何だか気持ちを高ぶらせる。

 冷たいから、寒さは感じないように魔法は使っているけれど、うん、それでもすごい。




 走りながら気分がよくなって敢えてその魔法を切って、実際の感覚を経験してみたりする。流石に寒すぎて鼻水が出そうになったり、大変なことになったからすぐに魔法はかけなおした。

 わたしが風邪を引くと、パパとママは凄く心配すると思う。だからそれが嫌だから、ちゃんとそのあたりはするの。




 雪を思いっきり踏んで、気持ちよく駆け回る。

 周りに誰も居ない状況だからこそ、こうして自由に出来るんだよね。

 わたしは街も大好きだよ。だって出会ったことない人と出会えて、楽しいことが沢山あるから。

 だけどわたしはパパとママと一緒に、暮らしている屋敷に似た場所も大好き。





 人があまり寄らなくて、ただ自然の世界が広がっているのも――とてもいいものだよね。

 両方の良さは、ベルラだった頃のわたしだったら知ることが出来なかったからそれもまた嬉しいことだなと思うの。



 走って、走って――そしてある程度満足したらパパとママの元へと戻る。

 パパとママは驚いたことに椅子と机を出してくつろいでいた。うん、本当に二人ともマイペースだなと思わず笑ってしまう。




「わたしも混ざるー!」




 その様子を見ていると、わたしも一緒に混ざりたいなと思った。




 そう言って駆け寄ると、パパとママは笑ってくれる。

 精霊獣に会いに来たけれど、こうして雪の中でのんびりとお茶をするのもパパとママと一緒だから出来ることだからね。




 それにわたしはこうやってパパとママとゆっくり過ごす時間も好きなので、精霊獣には少し待ってもらうことにする。約束はしてないけれど!

 ゆっくりとお菓子を食べて、お茶を飲んで……パパとママと会話をする。ユキアは話を聞くのは退屈みたいで、結構走り回っていた。




 それにしてもこのクッキー、とても美味しい。

 甘くて、食べているだけで幸せな気持ちになる。





「それでね、パパ……」



 わたしがパパやママに向かって沢山話しかけていると――突然、その場に大きな声が聞こえてきた。








《ベルレナ!!》



 それはユキアのわたしを呼ぶ声だった。



 ――そしてそちらを見れば、ユキアの後ろには小さな真っ白な生物が居た。




 見た目的に言えば、小さな兎みたいな感じかな? でも不思議なことにふわふわと浮いているの。

 兎がこんな風に飛ぶって、わたしが知っている限りないけれど……。

 わたしはそんなことを考えながらその鳴き声をあげている生物を見て、目が合う。

 黒くて丸々とした瞳。思わず可愛いと、撫でたいとそんな気持ちでいっぱいになる。



「ねぇ、撫でてもいい?」



 わたしがそう問いかければ、その生物は頭を差し出してくれた。可愛い!!


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