精霊獣に会いに行こう ①
朝からわたしは鼻歌を歌いながら出かける準備をしている。
パパとママとのお出かけはこれまでも何度もしているけれど、いつでも毎回わたしは嬉しくて仕方がない。
だって、家族でのお出かけってとても楽しいもん。
今日はね、精霊獣のいる場所に行くから動きやすい服装にしようと思っているの。
魔法で汚れないようには出来るけれど、自然豊かな場所で場違いな服装をするのもなって思うから。
精霊獣が居る場所も結構寒そうなんだ。
本に書かれていた時期は、冬ではなかったから緑豊かだって描かれていたけれどパパとママが言うには結構な寒さだろうって言っていたの。
それにね、雪も降っているだろうからって。
その森は凄く広いみたいで、わたしたちの住んでいる山ほどではないけれど魔物の数も多いんだって。冒険者や魔法師組合の人達もそこで魔物を狩ったりもするんだっても聞いた。だから精霊獣に会う時はそういう人たちに会わないように気を付けた方がいいって。
わたしは人と会うのは好きだけど、パパとママは違うからね。
それにわたしたち家族が森の中をうろうろしていたら、話しかけられて大変かもしれないからって。
わたしは動きやすいパンツスタイルの服装にしたの。中ももこもこであったかいもの。あとはブーツやコートなども準備する。
「見てみて、ユキア。可愛いでしょ?」
わたしは鏡の前でくるっと一回転して、後ろにいたユキアに話しかける。
《うん。可愛い。ベルレナはお洋服好きだよね》
「うん。だってこうやっておしゃれするの楽しいでしょう? ユキアもコート着せてあげる」
ユキアは服なんて着なくても問題なくて、全然寒くないらしいけれどわたしがユキアに着せたいなと思ったの。
ユキアは最初は乗り気じゃなかったけれど、わたしが着せたいっていったら着てくれた。でも途中で邪魔になったらぬぐって言われたけれど。
「ユキア、可愛い!!」
この前、街で聞いたのだけど使い魔にお洋服を着せるのもよくあることなんだって。
貴族の人達が使い魔を持つのが、ライジャ王国とかではやっているから余計にそういうお店が人気になっているって聞いた。
他の国もそれに乗っかって、お店が沢山増えているんだって。
わたしの着ているものと、ユキアのものは似ているの。完全にお揃いというわけではないけれど、色とか、見た感じとかがね。
なんだかお揃いの服を着ているみたいで、嬉しくなってしまう。パパとママは今日はどんな服かな? そう思いながらパパとママの元へと向かう。
ママはもう起きていたけれど、パパはまだ起きていない。
ママは可愛い服を着ていた。前にお店で一緒に購入したもの。ママによく似合っていて、わたしはにこにこしてしまった。だってね、ママって凄く綺麗で本当に見ていて嬉しくなるもん。
「わたし、パパ、起こしてくる」
わたしがそう口にすると、ママは頷いてくれる。
その間にママはわたしたちの朝食を用意してくれているの。パパの部屋に向かうと、すやすやと眠っているパパの姿がある。
パパは寝顔も綺麗。
気持ちよさそうに眠っているから、たまに起こすのがもったいないようなそんな気分になったりもする。でも今日はお出かけする日だからパパを起こすの。
何もない日だったら寝てもらっていてもいいんだけどね。
「パパ!」
わたしが何度も何度も声をかけると、パパの目がぱっちりと開く。
「朝か……」
寝ぼけた様子で起き上がるパパ。ぼーっとしている。
「うん。朝だよ。パパ。おはよう。今日は精霊獣の元へ行くんでしょ? だから早く起きてほしいな。ママがね、ご飯を用意してくれているからね!」
「ああ。おはよう、ベルレナ。そうか……。今日は精霊獣の元へ行く日か」
「うん。そうだよ。わたしね、楽しみで仕方がなくて早起きしちゃったんだ」
わたしがそう言って笑うと、パパは小さく笑ってわたしの頭を撫でてくれた。
わたしはパパの手を引いて、一緒にママの元へと向かう。そしてママが用意してくれた朝食を机に並べる。パパはまだ少し寝ぼけた様子だったけれど、ご飯を食べていると目が覚めたみたい。
「ママの作ったご飯、美味しいー」
今日はママが朝から、焼き立てのパンと魔物のお肉と野菜をいためたものを用意してくれたの。香辛料で味付けされていて、とても美味しかった。
ママはわたしの言葉を聞いて嬉しそうに笑っていた。パパもママが作った料理を美味しいと言っていたの。
ご飯を食べた後は、パパに着替えてもらってそのままお出かけをすることになった。
パパはいつものローブを着ようとしていたけれど、わたしとママでお出かけ用の服装を選んだんだ。パパは何だかんだわたしたちが「これを着て欲しい」っていうときてくれるの。
それから外に出て、パパの転移魔法でわたしたちは移動した。




