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魔法大国へと向かう ⑬

「んー?」




 さて、わたしはパパとママと共に引き続き、フェアラーシェ国内をぶらついている。



 魔法大国というだけあって、様々な場所に魔法というものが組み込まれている。ただやっぱり魔法を上手く使えない人に対する差別みたいなのは強いみたいなの。

 そういうことばかり続けていると、そういう人たちがどんどん国外に出てしまうのではないかなって思う。




 なんだろう、一つの考え方の人だけしかいない世界ってわたしはあんまりおもしろくないなって思う。

 違うからこそ、話していて色んな発見がある。

 大切な人と一緒であることは嬉しいことだとは思うけれど、全てが一緒だったらそういう大切だって気持ちもわかないんじゃないかな?

 だってすべてが一緒って、わたしがもう一人いるような感じだもん。わたしはわたしのことが好きだけど、わたしのような子がもう一人いてパパとママに可愛がられていたら嫌だなって思う。二人に可愛がられるのは娘であるわたしの特権だもん。





「ベルレナ、どうしたの?」

「あのね。あそこに細かい魔法が組み込まれているでしょ? あの規模のものだと国が組み込んだっていうより、個人的なものだとは思うんだけど……」





 わたしはそう言いながら一軒の家を見る。

 それは街から少し離れた山の麓に存在する家。それも、木々によってほとんど隠されているような家。





 ……その家に施されている魔法が危険なもので、誤ってその魔法によって傷つけられる人がいるんじゃないかなと少しだけ心配になった。なんていうか、凄く攻撃力が高いの。

 誰かを脅すだけならばもっと殺傷能力の低いものでいいと思うのだけど、その魔法は近づいた人に重傷を負わせるような――下手したら死んでしまうような魔法が組み込まれているの。





「そうだな。あれは中々危険だ」

「……この国としてはああいう危険な魔法を個人で使うことに関しても放置する感じなのかな。わたしはフェアラーシェの国でどういう決まりがあるのか全然知らないから上手く判断つかないなって。例えば、他の国だったら真っ先に危険だって報告できそうだけど……」





 国によって、決まりごとは様々だ。

 例えば一つの国にとっては当たり前に行ってよいことでも、外の国ではそうでない可能性も十分にある。そういう決まりはこの国だとどうなっているんだろう?



 そんな風にわたしは考える。

 そういえばニコラドさんがこの国にも魔法師組合は存在していると言っていたから、そこに報告するのが一番いいのかな?





「なら、魔法師組合に報告だけしておこう。俺が知っている限りは少なくともこの国でもああいう魔法は個人で意図的に使用すべきではないはずだからな」

「私もこの国の取り決めは詳しくは知らないけれど、魔法師組合に報告はありだわ。私達魔導師がやりたいようにやっても、魔法師組合は受け入れそうではあるけれど……ベルレナの親としてそういうルールを破ってばかりではいけないもの」




 パパとママはわたしの言葉にそんなことを言う。




 わたしと会わなかったらパパとママはもっと好き勝手に周りのことを気にせずに生きていたんだろうなと思う。そうやって好き勝手しているパパとママもちょっと見てみたいなと思うのは、わたしがパパとママのどんな姿でも見たいなと思っているからかも。

 ああ、でも二人に悲しんでほしいわけじゃないからそういう気持ちで行動を起こしてほしくはないな。





 そんなことを思いながらわたしはパパとママと一緒に他にも危険な魔法がないかを調べて回ることにする。

 その結果、結構田舎の方とかでひっそりと危険な魔法を研究している人とか沢山いた。

 ……なんだろう、此処が魔法大国と呼ばれるような場所だからこそそういう風に魔法の研究をする人たちが多いのは分かる。





 でも国の許可も得ずにそういうことを行おうとしている人たちはよく分からないなと思う。

 やっぱり危険視されるのが嫌だから? 拒絶されるから?

 うーん、それならばまずはその駄目だっていうルールを変えるとか、そういう風に正当な手段で進めばいいのになとそう思ってしまう。




「パパ、ママ、あれって危ないことしてるよね? 子供に酷いことをするのは駄目かなって思うんだけど」




 その中で子供に酷いことをしているような魔法使いもいた。




 本当に信じられない。

 わたしたちはそれらの危険な魔法使いに関する情報を全て纏めると、魔法師組合に報告した。といっても直接ではない。

 だって直接報告でもしたら、パパとママが魔導師だって分かって大変なことになるもん。




 ニコラドさんも自分が魔導師だって知られていて騒がしいから近づきたくないって言ってたもんね。

 だからパパとママだってこの国にいるのが知られたら本当に面倒なことになると思う。

 わたしだって魔導師の娘として興味を持たれて、大変なことになるかもしれない。

 そんなことはわたしは嫌だなって思う。





「パパ、ママ、報告したら帰ろう?」



 だからさっさとこの国からずらかることにする。

 だってね、このまま長居しても良いことなさそうだなって思ったから。



 目当ての大会は見終えたし、様々な魔法について調べることも出来たから良かったかなって満足している。

 ああ、でも次にこの国にくるのはずっと先になるかな? とは思っている。



 そんなことを考えながらわたしたちは魔法大国を後にするのであった。


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