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魔法大国へと向かう ⑩

 大会を見終えた後、もう少しの間だけこの国に留まる予定なので国内をぶらつくことにした。パパとママが居るから、一瞬で帰宅は出来るしね。それに魔導師を特別視しているこの国にこの先何度訪れるか分からない。




 そんなに沢山は来ないと思う。

 だから今のうちに見ておきたい部分は、見ておこうかなって。



 それに何でも変わっていくものだから。きっと今、この瞬間のこの国は今しかない。

 そう考えると見たいところは見ておきたいなって。




「本当にベルレナは魔法が好きね」

「うん。わたし、魔法が大好き。パパとママが一番得意なことだしね。わたしも魔法をもっと学んでいたいなってそう思うもん」




 わたしは魔法が大好き。

 わたしが此処に居るのは、パパが魔導師だったから。

 だからわたしとパパを繋いだのは、魔法なんだ。それにパパとママが一番得意なこと。わたしにとって自慢のパパとママの、大部分を占めるもの。

 わたしも二人の娘として、魔法がもっと使えるようになりたいとずっと思っている。





「ベルレナ、あそこには魔法が組み込まれているぞ。分かるか?」



 パパが右斜めの方を向いてそんなことを言う。

 わたしはその言葉を聞いて、パパの視線の先を見る。

 そこにあるのは、大きな時計台。ただのどこにでもあるものにしか見えない。一見するとそうにしか見えないものにも、魔法が組み込まれているのだと思うとワクワクした。





「ちょっと近づいてみたい!」



 私がそう言うとパパとママは頷いてくれた。




 二人と一緒に時計台の真正面まで歩く。そこは広場になっていて、露天とかが出ていたりするエリアだ。

 この街で暮らしている人たちも、外から観光のために訪れた人たちも――沢山の姿がある。

 時計台は一般公開されていないみたいで、中には入れないみたい。

 その状況でどうやってその時計台に魔法が組み込まれているか、確認することが出来るかな?



 魔法陣が組み込まれているか、魔力回路が内蔵されているかそういう感じかなとは思うのだけど、実際にそれを見ないことにはどういう風な魔法が組み込まれているのか正直わたしの技量では分からないというのが正直な感想だった。



「全然分かんない……」



 パパとママはきっと、あの時計台にどんな魔法が組み込まれているかすぐにわかるんだろうなと思う。だけど、わたしは全然だ。

 そのことに落ち込んでしまう。

 わたしは少しずつ魔法が得意になっていると思っているけれど、まだまだだなと思ってしまう。

 逆にパパとママはどうやってそこに組み込まれている魔法が分かったんだろうか?

 そんなことを思っていると、パパに頭を撫でられる。





「落ち込む必要はない。ベルレナ、周りに気づかれないように魔力を流していいか?」

「うん、もちろん!」




 周りには人はいるけれど、パパとママはこの国の魔法師たちに気づかれないようにさらっと魔法を使う。そういう風に誰にもばれないように魔法が使えるというのもパパとママの凄さだと思う。

 パパが私の体に魔力を流す。

 そうしたら私の脳内に直接、組み込まれた回路が目に映った。






「パパ、これって……!」

「魔法で時計台の中身を見た。これでどういう魔法が分かるか?」

「パパ、これってどうやるの?」

「ベルレナにはまだ難しいかもな。それに外から読み取られないようにはしているようだから」

「パパはそれでも見えちゃうの?」

「あの程度の妨害で見えないわけがないだろう」



 パパが不敵に笑ってそんなことを言う。




 やっぱりわたしのパパって凄い!! 本当に、これ、どうやって見ているんだろう? 私にはまだ難しいみたいだけど、いつか使えるようになりたいなとそんな風に思う。

 あとやっぱりこういう公の場だときっちり、外からは見られないような対策を沢山しているんだろうな。



 パパにもママにも、きっとそんな対策は全て意味をなさないのだろうとそう思う。

 だけど見てはいけないものをさらっとのぞき見しているけれどいいのかな? と少し心配にはなった。ただ悪用しているわけではにから、いいのかな……?





「パパ、わたし、ちょっと考えるね」



 頭の中に見せてもらった、回路。

 それを私は読み解くことにした。とはいえ、わたしは杖を作った際に魔力回路を習い始めたばかりだから、分からないことも多い。

 だけど、少なからず魔力回路を学んできたからなんとなくどういう効果か想像をすることは出来る。





 音を鳴らす、というのは分かる。

 時間になったら音が鳴るだけ? いや、それだけじゃない気がする。ええと、となると音がなるタイミングがいくつかありそう? あとは別の効果も組み込まれてそうな気がするけれど……ちょっとだけ、物騒な効果もある?

 おどろおどろしい感じのものがこういう街中に組み込まれているって普通ならありえないと思うのだけど……。





「ねぇ、パパ。これ、ちょっと怖い効果ない?」

「あるな」

「……なんでこんな効果が? わたし、細かく何が起こるかは分からないけれど、怖い効果だなってのは分かるよ」



 ちょっと心配になって、パパにそう問いかけてしまった。




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