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魔法大国へと向かう ⑧

 大人の大会はさらに見ごたえ満載だった。



 戦闘部門は死んでしまうのではないかと思うぐらいに過激な魔法が使われていて凄くハラハラする。こういう大会で命を落としてしまう人も中にはいるらしいと聞いたので、自分の命を落とす可能性があったとしても……そこまでしてもこの大会に出たいものだろうか? と少しだけ疑問に思った。



 苛烈な魔法を笑顔のまま使っている人はちょっと怖かった。なんていうか、自分の魔法で誰かを追い込んでいるんだよ。

 そういう魔法の使い方は、なんだかなぁって思ってしまう。



 わたしもそういう風にならないように気をつけないと。だってなんだかそういう風になると、周りから見て可愛くないもん。

 わたしは目の前の戦闘部門の大会をハラハラしながら見ている。

 怪我をする人を見ると心配な気持ちになる。




「あんな大けがをするなんて大丈夫かな」

「治るまではしばらくかかるだろうな」




 こういう魔法大国でも簡単に人を治す魔法を使うことは難しいのかもしれない。そう思ったけれど、単純に怪我を治すためのお金を渋っているからというのもあるらしい。

 わたしにとって魔法はとても身近なもので、パパとママの凄い魔法をいつも見ている。けれどそんな風にお金を払わなければ使ってもらえないものなんだなと思った。そういう仕事をしているからということなんだろう。




「なんだか進めば進むほど怖い魔法使っているね。皆、周りも興奮してて、ちょっと怖くなっちゃう」

「怖いなら見るのやめてもいいぞ?」

「そうよ。ベルレナ。私もあなたに魔法自体を怖がらないで欲しいと思うもの」




 わたしの言葉にパパとママが左右からそういう言葉をかけてくれる。



 本当にパパとママはわたしに甘いなと嬉しくなった。わたしが怖いことがあれば、二人とも全力で守ってくれるというのが分かる。もし何か恐ろしくて仕方がないことが降りかかっても、問題がないのだ。



「ううん。大丈夫! ちょっと怖いけれど、こういうのを見るのも経験だもん」



 二人がいるから、わたしは大丈夫。

 それにこうやってちょっとだけ怖い魔法の戦闘を見るのもわたしにとって良い経験だと思うから。

 わたしは嫌なこととかを全部見て見ぬふりをし続けるのも嫌だって思うもん。



 怖いという気持ちもあるけれど、なんて綺麗な魔法だろうってワクワクもしたりする。だってね、魔力の練り方とかが上手い人が多いんだよ。

 子供部門の子たちの魔法よりも洗練されている感じだもん。




 そういえば国家の滅亡にママは関わったことがあると言っていた。そういう一つの国が滅びるぐらいだと本当に凄いことが起きたんだろうな。そういう時だとわたしが見たことないぐらいの凄い力の魔法などが飛び交っていたりするんだろうか? でも一つの国が亡ぶだと単純に魔法で亡ぶとかは考えにくい気もする。そもそも国が一つ亡ぶって全然想像がつかないんだよなぁ。

 戦闘部門の決勝戦は負けた人はもう瀕死ぐらいの状態になっていた。……大丈夫かな? と思ったけれど、ちゃんと治療はしてもらえるだろうから大丈夫かな。

 大人の人たちの戦闘部門は結構な時間がかかっていたのもあり、技術部門の方は翌日行われる予定みたい。

 わたしたちが会場を後にする時、大会を見ていた観客たちの興奮した声が聞こえてくる。






「凄かった。あんな風に魔法が使えるなんて」

「あの火の魔法が素晴らしかった」

「決勝戦で披露された魔法はあの年で使えるものでないというのに。あの男はこの国の英雄になれるかもしれない」



 ――興奮した様子の彼らは、自身で魔法を使えない人も多いだろう。

 だからこそなのか、魔法に関する興奮ばかりなようだ。

 この国にとって魔法と言う力が特別だからこそなのかもしれない。




 わたしは魔法が好きだから、これだけ魔法を大切にしている国はいいなとは思う。でも魔法を好きだって気持ちが暴走しすぎて、魔法を使える人たちが一番偉いみたいになっているんだよね。何事もきっとほどほどがいいのかもね。




「こういう大会って凄いね。子供部門に参加した子たちが、大人になってから参加したりするのかな? こういう大会で王族とか貴族から能力を認められて、活躍していくんだなと思うとなんだか物語みたいって思うもん」

「そうだな。ただ王族や貴族に仕えることが良いことばかりではないからな……」

「ディオノレの言う通りよ。権力者に関わるとそれだけ危険なこともあるから。だからベルレナがそういうことに関わる場合はちゃんと相談してね」



 パパとママの言葉にわたしは頷く。




 パパに拾われる前のわたしは、二人の言う権力者の娘っていう立場だった。



 ベルラ・クイシュインの周りには、沢山の人が集まっていた。周りからの悪意とかも知らずにわたしは過ごしていたけれど、そういう二人の言う危険なことも起きていたりするんだろうか?




 わたしが学園に入学したら、そういう権力者たちともただのベルレナとして関わっていくことになるだろうから……、二人に心配かけないようにしないと。ニコラドさんから先にニコラドさんやその弟子に相談するようにって言われたなぁという言葉を思い出した。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 奪われた子メインで、たまに奪った側の話出てきて、面白く読んでたら読み切っちゃいました… [一言] 続き気になるので待ってます。
[気になる点] タイトルが今回⑦ですが⑥が2つあるのでズレているのかな?と思います。 [一言] 更新ありがとうございます!また続きが楽しみです♪
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