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魔法大国へと向かう ⑦

 技術部門の大会は、戦闘部門ほどの苛烈さはなかった。ただ見た目が綺麗なものが多い。わたしはそういう魔法を見るのも好きだから、楽しい。



 なんだろう、結構魅せる感じの魔法が多めだったように見える。もちろん、実用性の高い魔法も多いけれどね。実用性の高いものも、見る者が楽しめるような派手なものが多かったりする。

 なんていうか、審査員の人たちもそういう派手な魔法が好きな人たちばかりみたい。



 どれだけ便利なものでも、見た目が良くない子の魔法は落とされたりしていた。そういうのは少しもったいないなぁと思う。

 確かに見て楽しめる魔法は重要だし、わたしもそういう魔法は好き。でも魔法ってそれだけが全てではないよね。派手でなくても凄い魔法というのはあるのになと思う。

 ああいう落とされた側の魔法使いの子供だってこれから凄い魔法使いになるって可能性も十分あるのにちょっともったいない。



「技術部門の審査って分かりやすいね」

「そうだな。明確に基準がはっきりしている」

「そうね。だからこそ、参加者はどういう魔法を使うか下調べをする段階から重要なのかもしれないわ」



 パパとママの言葉に、わたしはもったいないなと思ったけれどそういう審査員が好む魔法を使うかどうかも大きな審査点になっているのかもしれないと思いなおした。

 そういう事前の情報を集めることって大事だよね。



 技術大会でも優勝した人は本当に嬉しそうに喜んでいた。

 悔しがっている子たちはまた来年参加するのかな?

 そうして子供たち部門が終わった後は、大人たちの部門のものが行われる。でもその前に休憩の時間になったのでわたしたちは食事を食べることにした。



「ねぇ、パパ、ママ。ご飯、何食べる?」



 わたしはパパとママの手を引きながらそう問いかける。



「ベルレナは何を食べたい?」

「んーとね」




 わたしは周りに立ち並ぶ飲食の屋台を見ながら考える。



 大会が行われる影響か、大会の行われる会場の周辺にはお昼時に飲食店の屋台が立ち並んでいる。

 わたしはその中から食べたいものを選ぶのが難しいなと思った。

 だって本当にびっくりするぐらいの種類があって、どれも食べたいなというそういう気持ちになるから。



「パパ、ママ、これ食べよう!!」



 結局わたしが決めたのは、串焼き。赤いソースのかかっているものだったのだけど、美味しそうだなと思って口にする。



「辛い……」



 勢いよく食べたら思ったより辛くて、顔をしかめてしまう。

 こんなに辛いとは思わなかった。前にアイスワンドで食べたものもちょっと辛いなと思ったけれどそれ以上。口の中がひりひりする。




「ベルレナ、これを飲みなさい」


 ママにそう言われて冷たい飲み物を渡される。ごくりっと飲みこむ。




「わたし、これ以上辛くて食べれないかも……」

「じゃあ俺が残りは食う」



 わたしが辛くて食べきれなかったそれはパパが食べてくれた。

 別のものを食べることにして、今度は辛くないかちゃんと確認してから買った。

 甘みがある具材の入ったお団子を食べているの。とても美味しい。




「これ、美味しいよ!!」




 わたしがそう言って進めるとパパとママは笑って、それを口に含む。

 家族でこうやって食事を摂るのって幸せなことだなって思う。

 食事が終わった後はまた会場へと戻った。大人たちの大会ってどんな感じかな? なんて思いながら席に戻ったのだけど、何故かわたしたちの席なのに他の人が座っていた。




「そこ、わたしたちの席だよ?」



 そう言って声をかけたら睨まれる。



「あぁ? なんだ? ここは俺たちの席――」



 声を上げようとしたその人の頭が急にたたかれる。



「違うぞ。私たちの席は向こうだ。酔っ払いが。子供に絡むんじゃない」



 後ろに立っていたお姉さんがそう言って、その睨んできた人をそのまま連れて行った。何か騒動になるかなと思ったけれど、大事にならなくてよかったと思う。

 そのお姉さんは「すまない」と謝罪をして、会場近くのお店で使える商品券をくれた。



「大事にならなくてよかったね」



 パパとママは凄い魔法使いだから、どういう相手がいても対応は出来るだろう。

 でもこの国では魔導師が神様のように崇められているから、魔法はなるべくこういう場面で使わない方がいいもんね。



 ばれないように使うことは出来るだろうけれど、魔導師の存在に気付く人がもしかしたらいるかもしれないし……。




 それにしてももらった商品券、何に使おうかな?

 折角だから記念になるようなお土産でも買おうかなぁ。

 そんなことを考えるだけでわたしは楽しくなっていた。



 何を買おうかと考えている間に、大人たちの大会の始まりの合図がなった。


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