表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
267/298

魔法大国へと向かう ⑤

「わぁ、大きな会場」



 クレマガリとの一件があった数日後、ようやく目当てにしていた魔法の大会が行われる日がやってきた。



 わたしは思わず感嘆の声をあげてしまう。だって思ったよりも広い会場だった。



 真ん中に舞台があって、その周りを傾斜になっている客席で囲んである。わたしたちはゆったり座れる席! でもなんか安い席だと椅子もない場所もあるらしい。それにしても凄い人。

 こんなに大会を見るためだけに皆やってくるなんてすごいよね。それだけ皆の関心が強いものなんだなというのがよく分かる。



 これだけの見物人たちに見つめられながら魔法を披露するのって緊張するだろうな。

 ベルラだったころにわたしは公爵家の娘だったから周りから注目は浴びていた。でもまだ子供で社交界デビューなんてものもしてなかったわたしはこんなに多くの人たちに注目される場には出たことがなかった。そう考えるとこの大会に出場するというだけでも凄いことだと思う。



 自分の魔法がそれだけ多くの人たちの目に曝されて、そして評価される。

 良い評価もあれば悪い評価もあるだろう。ここで評価されたら道が開けるからってそう思って挑戦しているってことだろうし、うん、凄い。




「今回はどんな掘り出し物が見つかるかしら?」

「良い人材が居ればいいけれど」



 周りでそういう会話を交わしている人たちの声が聞こえる。



 お眼鏡にかなうなら援助をしたりするのかもしれない。この大会に参加する人たちはそういう援助をされることを望んでいる人が多いみたいだから、余計に参加者は張り切って参加しているんだろうな。

 大会に参加するためにこの街を訪れている人たちは見かけたけれど、わたしが見かけた以上に多くの人たちがこの大会に参加する予定なのは分かっている。何日もかけて行われる大きい大会だしね。



 というか、今日はまだ初日なのだ。



 もしかしたら後半の方がもっと見物人も多くなったりするのかな? これ以上増えるとなるとあまり想像は出来ない。




 開幕の挨拶はこの国の王族が行っていた。

 まだ若い二十代ぐらいのその男性のことを周りがキラキラした目で見ていたので有名人なのだと思う。

 周りが話している言葉からその人のことを知ることが出来る。魔法が得意な第一王子で、次期国王という立場の人らしい。こういう国だからこそ、王様になる者も魔法を得意でなければ認められないらしい。……他のことで王様として相応しい能力があっても、魔法の才能がなければ認められないって凄く極端だと思う。

 この国は魔法を使える人の発言力がとても強そうだから、色々と大変そうだと思った。




「パパ、ママ。どんな魔法が見られるかな?」



 わたしは魔法が好きだ。



 だって魔導師であるパパとママは魔法を日常的に使っていて、わたしにとって魔法は身近なものだから。使っていて楽しいしね。

 大会でどんな魔法が見られるかなと思うだけでワクワクした気持ちになる。




 始まりを告げる合図も魔法で行われていたんだ。

 パーンって空を光が舞って、綺麗だった。



「綺麗だね!!」



 わたしがそう言ってパパとママを見れば、二人は笑ってくれた。




 パパが「家に帰ってからも似たような魔法を見せてやる」と張り合っていた。多分、わたしがあまりにも興奮していたからだと思う。そんなパパにわたしもママもくすくすと笑ってしまう。




 まだ大会は本格的に始まっていないのに、それでもこれだけ楽しいのだ。はじまったらもっと楽しいのかな?




 早く始まらないかなとそういう気持ちでいっぱいなのだけど、その前に色々あるみたい。

 このフェアラーシェを称える歌が披露されたり、いかにこの大会が歴史があるかなどが語られる。

 初めて聞く話が多くてわたしは楽しかった。

 でも二回目だと少し退屈しちゃうかもしれない。この国が如何に素晴らしいかみたいなのを延々と語っている感があるから。




 ちなみに魔導師の話もしていた。




 魔導師というのは、この国にとってやっぱり神様みたいな存在であり、その言葉は絶対だとそういう風に言っていた。

 その魔導師が二人もこの場にいるなんて全く想像もしていないだろうな。事前に聞いていた通り、知られたら大変なことになるだろうな。

 うん、わたしも魔導師の娘だってばれないようにしないと。

 そんな風に改めて思った。






 ――そしてそんなことを考えているうちに大会が始まった。





 最初は子供たちの部門からだ。大人と子供では魔法をどれだけ使えるかも違うだろうから。子供の参加者の数は思ったよりも多かった。




「パパ、ママ。この子たちが全員魔法が使えるんだね。凄い!!」




 これだけ魔法が使える子供たちが揃っているというだけでも凄まじいことだと思う。

 大会は魔法による戦闘部門と、魔法を使って何が出来るかという技術部門に分かれているみたい。最初は魔法での戦闘が行われるようだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ