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杖を使ってみたり、秋の近づきを感じたり ③

 わたしが一番好きな季節は、パパがわたしを拾ってくれた春。わたしのベルレナとしての人生が始まったのが、その季節だったから。

 だけど、他の季節も好きだよ。寧ろ、嫌いな季節なんてない。だってどの季節も楽しい思い出でいっぱいなんだもん。パパとママに沢山のところに連れて行ってもらって、素敵な光景を沢山見れるんだもん。というか家族で一緒に過ごせるだけでどの季節も楽しいしね!



 もうすぐ秋がやってくるの。

 少しずつ山の景色も変化している。それを感じるだけでわたしはワクワクしている。



「今年は何をやろう?」



 今年の秋は何をしたいかな。そう考える。

 目の前には白紙の紙。これにね、これから何をしたいかを書いていくことにしたの。



 まずは今年、やりたいことをどれだけ出来るかだよね。



 これまで秋に何をしていたかな? と考えると、一年目はパパと一緒にのんびり過ごした。パパの娘になったばかりで不安も多かったなぁって思う。二年目はパパとニコラドさんと一緒に紅葉巡りにいったりした。あれも凄く楽しかった。それで三年目はママがわたしのママになってくれたのが丁度冬になる前だった。秘密基地を作ったり、お出かけしたりしたよね。

 まだ食べたことない秋の美味しいものだったり、行ったことない景色を見に行ったりはもちろんしたい! パパとママに一緒に行こうと誘うつもりなの。ニコラドさんとも遊びたいなぁ。

 他に秋に楽しいことってなんだろう? きっとわたしが知らない秋の楽しみ方って沢山あると思うんだよね。




 書庫にある本をいくつか手に取る。

 書庫には本がたくさんありすぎて、全然読み切れないの!



 パパが昔から持っている本と、わたしがこの前買った本。両方ともわたしが行ったことない国について書かれているものなの。色んな場所に連れて行ってもらっているけれど、まだまだ行ったことのない国って多いんだ。全部の国にいつか行けたら面白そうだよね?

 あ、でも国も永遠にあるわけじゃなくてつぶれたりとかもあるから、行きたい場所には先にいっていた方がきっと楽しいかも。




「わぁ、これ楽しそうかも」



 わたしが目をとめたのは、魔法が栄えている国の催しである。

 魔法の大会みたいなのが行われているんだって。子供から大人までが参加するみたい。

 あとは魔法使いたちが発表会をする場とかもあるみたい。これも大々的に発表しているから聞けるみたい。ちょっと聞いてみたいな。

 大会に関しては参加をしようとは思っていない。パパとママが言うにはわたしは同年代の子たちより魔法がよく使えるから、目立ってしまうって言ってたから。だから見に行きたいなと思っているだけだったりする。



 パパとママならわたしがちょっと目立って、何か厄介なことがあってもどうにかするだけの力はあるだろうけれど、でもそういう面倒なことはない方が楽だと思うから。




 国によって何を一番としているかは違うわけだけど、わたしが産まれる前に出版されたこの本によるとその国は魔法がどれだけ使えるかが一番みたい。

 今も同じ考え方だというのならば、ちょっと居心地が悪そうな国だなとは思う。

 わたしは魔法が大好きだけど、それだけが全てだっては思ってないもん。考え方は人それぞれだけど、わたしはそれだけを一番に考えている場所だと思うと疲れてしまいそうだとは思う。

 魔法を使えない人の数も多いけれど、使える人たちから嫌な思いをさせられたりするって書いてあって悲しい気持ちにもなった。



 ちょっと旅行に行くぐらいなら、そこまで疲れないかな? どうなんだろう?

 パパとママに聞いてみて、問題がなさそうなら行ってみたいって言ってみようかな?

 そんなことを思ってわたしは早速パパとママに聞いてみることにした。




「パパ!」



 パパは今日もいつも通り研究ばかりしているので、声をかける。

 相変わらずパパのやっていることは、わたしにはまだ理解出来ない。もっとわたしが魔法が得意になったら、分かるようになるのかな?

 ちなみにママは何処にいるか分からなかった。もしかしたら山を散歩とかしているのかもしれない。




「ベルレナ、どうした?」

「あのね――」



 わたしはパパに早速、先ほど読んだ本に載っていた国のことを話す。パパは少し嫌そうな顔をした。




「……パパにとって、嫌な思いのある国? だったら行きたいっていうのやめる」

「いや、随分前だから今行く分には問題はないだろうが……、少し面倒な国だから行くなら気をつけた方がいいな」

「行っちゃ駄目ではないの?」

「少し行って、大会などを見るぐらいなら問題はない。面倒なことになるならさっさと出ればいいだけだからな」



 パパはそう言って笑ってくれた。

 それにしても随分前に何があったんだろう? 



「パパ、嫌なことって何があったの?」



 わたしはその話を聞いた上で行きたいか判断しようと思って、問いかけるのだった。



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