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わたしの魔法適性 ①

「なら俺が教えよう」



 魔法を習いたいと口にしたわたしの言葉に、パパはすぐにそう言ってくれた。



 一緒に過ごした時間が短くてもパパが凄い魔法使いであることは分かる。だからこそ、そんな凄い魔法使いであるパパに魔法を教わることが出来ると思うと嬉しかった。



 パパはどんなふうに魔法を教えてくれるのだろうか。

 パパのようにわたしも凄い魔法使いになれたりするのだろうか。

 そう考えるとわくわくしてきた。




 わたしはパパが我儘を言ってもいいと言ってくれてから、時々こうしたいあれが欲しいと口にするようになった。最初は恐る恐るだったけれど、パパはわたしの我儘を頭を撫でて受け入れてくれる。




「——まずはベルレナの魔法適性を調べないとな。まぁ、身体は俺の作ったホムンクルスだからある程度基本属性は全部使えるだろうが」

「魔法適性?」



 わたしは魔法について学ぶ前に身体から追い出されてしまった。

 その後二年間、わたしの身体を奪ったあの子や家族たちのことを見ていたけれど、ずっとあの子のことを見ていたわけではない。あの子が魔法について学んでいることは分かっていたけれど、いいなぁと思って見ていただけだった。



 それに何でわたしが習うはずだったものを、わたしがやることをあの子はわたしの身体を使って行っているのだろうって悲しいって気持ちで一杯だったのだ。だからあまり魔法についての説明はちゃんと聞いていなかった。



 苦しい、悲しい、どうして――そんな気持ちしかわたしはあの時、考えていなかったのだ。

 あとあの子はわたしより頭が良いみたいで、すぐになんでも理解していた。わたしが一度聞いても分からないことを、あの子は一度で理解して――、お父様とお母様に褒められていたのだ。




「そうだ。魔法が使えるかどうかはその人自身の適性にもよる。それに魔力量もだ。幾ら魔力があったとしても適性が低ければ結局魔法を上手く使えない。逆に適性があったとしても魔力量が少なければやっぱり魔法は上手く使えない」

「両方ある人が凄い魔法使いってこと?」

「そうだな」

「じゃあ、パパは両方多い?」

「ああ。そうだな。俺は基本属性は全部使えるし、魔力量も多い。というか、魔力量が多いからこそ魔導師で、色々やっているうちに年を取らなくなったんだが」



 パパはそう言いながら紙に羽ペンで何かを書く。それはわたしでも読める字だ。我儘の話をした日からパパとわたしの距離は近づいたと思う。わたしは結構パパに話しかけていて、その中でパパはわたしがどの文字を読めるかなども知ったのだ。



「火、水、風、土、雷、光、闇。基本的な属性はこれだな。あとは属性がなくても使えるような無属性や、俺が使っている空間属性みたいにまた別の属性もあるが」

「属性沢山あるんだね」




 それにしてもやっぱりパパってすごいなと魔法属性について学ぶと感じてしまった。それに昔お兄様が口にしていた言葉だけど、属性って確か多いほど凄いはずだから。それにしてもさっきわたしがパパの作ったホムンクルスだから基本属性を全部使えると言っていたけれど本当だろうか? 本当にわたしもそれだけ魔法が使えるのだろうか。……もしパパの期待通りに魔法適性がなかったらパパは失望するだろうか。そんな風に考えて少しだけ落ち込んでしまった。





「ベルレナ、どうした?」

「なんでもない」

「何でもなくはないだろう。何か思っているならちゃんと言え」




 パパは真っ直ぐにわたしを見て言う。パパの綺麗な黄色の瞳に見つめられるとわたしは嘘なんてつけなかった。





「パパはわたしが基本属性を全部使えるって言ったけど、使えなかったらどうなるんだろうって……ちょっと考えちゃった」

「使えなくてもどうもしないだろ。それはそれだ。そもそも俺が作ったホムンクルスの身体で使えないってなるとベルレナのせいっていうより俺の配合が間違っていたってことだしな」

 




 パパはわたしの心配に対してそんな風に告げて、何も心配しなくていいとでもいうようにわたしの頭を撫でてくれた。

 やっぱりパパはわたしのことを甘やかしすぎだと思う。わたしはパパが甘やかしてくれると嬉しいけれど……。




「もし魔法適性がなかったとしても、魔法適性について学ぶのは良いことなんだぞ。例えば自分が持っていない適性について学ぶことで、そういう相手と戦う時には役に立つからな。魔法が使えなかったとしても、道具を使ったりすればやりようはあるし」

「……パパ、そういう経験あるの?」

「そうだな。俺はそれなりにそういう経験はあるな。魔導師になるとその知識を奪おうとするやつもいるものなんだ。ベルレナも自分が望まなくてもそういう荒事に巻き込まれることもあるかもしれないから、最低限は自分の身を守れるようにはなったほうがいいだろう」

「そっか」




 人と戦いたいとは思わないけれど、何かが原因で攻撃をされることがあるというのは分かる。

 貴族の社会でも目立てば目立つほど、敵も増えるって言われていたし。パパはこれだけ魔法が使えるからそのことで色々あったのだろうと思う。




 

 それからパパはわたしに魔法適性のことを教えてくれた。

 そしていよいよわたしの魔法適性を量ることになった。




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