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ニコラドさんと一緒に杖づくり ⑤

 ニコラドさんがまたやってくる時まで、魔力回路を描く練習を普通のインクでしている。少しでも間違いがあれば正しく杖の効果が発揮されないので、何とも大変な作業だ。

 世の中には直感でこういう魔力回路をすいすい描けてしまうような天才もいるらしいと聞いてそれはもう驚いた。




「ねぇ、ユキア。こんな難しいの、何も考えずに描いて、ちゃんと効果を発揮できる人がいるんだって。凄いよね!!」



 ユキアに向かってそう話しかける。



 わたしは魔力回路に関しては本で覚えたり、ニコラドさんが教えてくれるままに描いて……それでもちょっと失敗してしまった。そう考えると本当に凄いなと思うの。



《そうだね。凄いと思う。複雑なものを瞬時に理解して、それで描いていくってことでしょ?》

「うん!! 自分でやってみると魔力回路を描くのって凄く大変なの。それをぱぱっとやっちゃうなんて本当にすさまじいよね」



 そういう天才と呼ばれるような人はどういう考え方をしているのだろうか? わたしでは思いつかないようなことを考えていたりとかするのかな?

 学園に通うようになったらそういう人たちと出会えたりするかな? そうしたらきっと楽しいだろうな。そう考えるとワクワクしてくる。



「あ」



 ユキアとおしゃべりしながら練習していたら少し失敗した。……魔力回路って少し間違えるだけで違う効果を発揮してしまったり、魔力が上手く通らなかったり、なんというか本当に細かい作業だ。



《失敗したの? 集中してやった方がいいかも》

「うん。ちょっと無言になるかも」

《僕はベルレナが一生懸命やっているの見るだけで楽しいから、気にしないでいいよ。》



 ユキアがそう言ってくれたので、わたしは隣のユキアを一旦放置して集中して練習を始める。



 やっぱり難しい。

 何度も何度も練習で魔力回路を描くのだけど、平面に描くのも難しい。

 杖に描くのって立体だから余計に描くのが難しいんだよね。ええっとこの魔石はこっちとつなげて……所有者の魔力に反応するようにって、本当に細かい!!

 なんだかずっと同じ作業をしていると、他のことをやりたくなったりする。でも集中しないと……。



 わたしはなんでも最初から出来るような天才ではない。だからちゃんとした自分の杖を作るためにもこういう練習は大事!




 これが所有者と杖を繋ぐ回路で……、取られた時に追跡できるようにするのがこっちで……。

 なんだか普通に魔法を自分の力で使うよりも、杖にそういう効果を埋め込むのって本当に複雑。

 ただ魔法を行使するのはもっと楽なのに。なんて思ったけれど、杖を使わずに魔法を使える人ってそこまで多くないらしいので、そう考えるとわたしは魔法を使うことは得意なことなんだろうなって改めて思った。




 杖に実際に描いた時、失敗した部分の練習を特にする。でも他の場所も間違えたりする。

 ニコラドさん曰く、もっと簡略的な効果がそこまでついていない杖の魔力回路だともっと簡単に描けるらしい。わたしが諦めたらそれはそれでニコラドさんは簡略的なものを教えてはくれるとは思う。でもわたしは作ると決めたのだから思い描いている杖をちゃんと作りたいって思う。

 こうやって杖づくりを進めていると本当に大変だけれど、少しずつ上手になっている実感がわいてそれは嬉しい。



 熱心にずっとそれを続けていたら、ママがやってきた。




「ベルレナ。それずっとやっているでしょう? 少し休憩した方がいいわ。喉乾いてないかしら?」



 ママはわたしがずっと書庫にこもっていたから心配してきてくれたみたい。



 はっ、気づいたら凄く時間が経っている。ユキアはちょっと離れたところですやすや眠っている。




「ありがとう、ママ! 上手く出来るようになりたいなって熱中していたら凄く時間が経ってた」

「熱中するとどうしてもそうなるわよね。ベルレナがいつも魔法の研究でついついこもりがちな私たちに休んだ方がいいと言っているでしょう? それと一緒で私たちもあなたが心配だから適度に休んで欲しいわ」

「うん! 無茶しすぎると大変だもんね。ちゃんと休むようにする。ね、ママ。今からちょっと一緒におやつ食べようよ」

「もちろん、いいわよ」



 わたしの提案にママが頷いてくれたので、それからおやつタイムに入った。



 魔力回路の練習をした紙は全部片づけた。だってどういう効果があるかもパパやママには出来てからのお楽しみにしたいもん。

 二人が凄いって思ってくれるような杖が作れたらなとか、良い杖作ったら褒めてくれるかなとかそういうことを考えるだけで大変だけど杖づくり頑張ろうとわたしはそんな風に思うのだった。






 ママと一緒におやつを食べているとユキアが起きたので、ユキアも一緒におやつタイムを満喫した。

 ずっと同じ作業をしていても気が滅入るので、おやつタイムの後は魔法の練習をしたり別のことを行うのだった。


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