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ニコラドさんと一緒に杖づくり ④

「ニコラドさん、次は何をしたらいいの?」



 マジックインクが完成したので次の作業に移ることになったので、ニコラドさんに問いかけた。

 マジックインクの完成だけでも結構達成感はあるけれど、まだ杖づくりは始まったばかりだもん。




「取ってきた素材を加工して、杖に埋め込むのと同時にマジックインクで魔力回路を描く作業だな」

「同時作業かぁ。出来るかな?」

「最初は難しいから失敗することもあるかもしれないが、焦らずゆっくり進めればいい」



 ニコラドさんはそう言って笑ってくれる。



 なんというかニコラドさんって人を安心させるというか、落ち着かせることに凄くなれているように見える。わたしもニコラドさんの言葉を聞いていると落ち着くことが出来るから。

 まずは魔力を回復させる植物の処置を始める。



 このままだと杖に効果を埋め込めないんだって。ちなみにこの植物、空気中の魔力を常時吸収する性質を持つらしいの。杖にその効果をつけるってことは植物のためこんだ魔力を、使用者の魔力を回復させるようにするってことだよね。

 うーん、考えただけで難しそうだ。これって一歩間違えれば大変なことになりそう。きちんとした魔力回路を描けれないと事故につながると思うし、気を引き締めて頑張らないと。




「ベルレナ、そんな難しい顔しなくていい。何かあったら俺が対応するから」

「でも杖ってちゃんと作らないと大変なことになりそうだもん。ちゃんと気をつけてやらないと」

「ははっ、そうやって身構えられるなら大丈夫だ。めったなことじゃ変なことにはならねぇよ」




 ニコラドさんは気合を入れる私にそんなことを言う。



 それから、まずはその植物を液状に変えた。植物のままだと杖に入れ込むとか出来ないしね。腐っちゃうし。



 その液状にしたものに火竜から摂った牙を丸く加工したものを浸して、魔力をしみこませる。火竜の牙って上手く切りぬいて、ピカピカに磨くと凄く綺麗な宝石みたいだったの。

 こういうのって装飾品にもよく使われているんだって。ちなみに他の物に浸しても大丈夫らしいけれど、私は出来る限り可愛い杖にしたいのでそれに浸したの。

 学園用のものに入れ込むのは小さくて目立たないものにした。

 逆に個人用のものは簪の装飾として可愛くしたいので、綺麗な緑色に染まったその牙に小さな石の欠片をちりばめて装飾したりした。




「ベルレナは色々こだわっているな」

「うん。だって可愛いものにしたいもん」



 わたしは装飾をつけたりとか、多分杖づくりにおいては無駄だと言われるような作業もしていると思う。ただ杖の効果だけを求めている人からしたら馬鹿らしいものかもしれない。うん、ニコラドさんってわたしみたいに杖を装飾することにそんな興味はないみたいだけど、でもわたしがそういうのに時間かけているのを見ても馬鹿にしたりとかそういう様子は全然なくて待っててくれてるんだよね。



 それらの作業を終えた後は、杖のどの部分にそれを埋め込むかとかの相談をニコラドさんとした。それに杖の魔力回路って、全部つながるものになるらしいの。杖の効果が全て一本の回路でつながっていて、それでいてそれぞれの効果を邪魔しないようにしないといけないのだ。

 そういうわけで他の素材――火の魔石とかも加工して杖の材料に使えるように進めていく。




「あつっ!」



 その最中に火の魔石から熱が出てびっくりした。

 加工する時にちょっと失敗してしまった。



 ニコラドさんが隣に居たから問題なかったけれど、あのままだと火傷してしまっていたかもなので魔石の扱いも大変だなと思った。

 これだけ強い火の魔石だから魔力回路もちゃんとしないと駄目なんだよなぁ。



 ひとまず学園用の杖の内側に埋め込んでみる。この素材の間に魔力回路を描く感じだよね? ちょっとスペース狭いけれど、そこにちゃんと効果が出るようにしていくのかぁ。

 学園用の杖でこの難易度だから、個人用の杖だともっと大変なんだろう。うん、でもちゃんと納得のいくものを作りたいな。

 そんなことを思いながらニコラドさんに聞きながら早速マジックインクを使って魔力回路を描き始めたわけだけど……小さく爆発した。




「うわっ、ニコラドさん。なんか描くの間違えたみたい……」

「そう落ち込むな。最初だとそういうこともある」



 杖の一部が欠けてしまったので、樹人の素材をまた削ってからやり直す。

 ……ただその日は結局一日うまく行かなかった。

 魔力回路って、本で読むだけだとこれだけ難しいと思えなかったけれど、やっぱり実際にやってみるとこれだけ難しいのだなとびっくりした。



「うまく行かなかったー!!」

「最初はそんなもんだ。また次来た時に続きやろう。それまでに普通のインクで練習していてもいいかもな」

「うん!!」



 わたしはニコラドさんの言葉に元気よく答えるのだった。



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