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ニコラドさんと一緒に杖づくり ③

「パパ、ママ、おはよう」



 杖づくりを始めた数日後、わたしが朝、起きてパパとママに挨拶をしたとき、朝早くなのにニコラドさんがいてびっくりする。



「あれ、ニコラドさん。早いね。もう来てたの?」

「ああ。今日は時間が出来たからな。ベルレナは朝から元気だなぁ」

「うん。わたし、元気だよ!」



 こんなに朝早くからニコラドさんがいるとは思っていなかったけれど、ニコラドさんもわたしとの杖づくり楽しみにしてくれていたのかなと嬉しくなった。



「ニコラドさんも朝から元気だよね。あんまり眠たそうじゃない」

「俺はなるべく規則正しく起きるようにはしているからな」



 パパは朝からよく眠たそうにしている。あんまり規則正しく起きたりしない。ニコラドさんもそういうタイプなのかなと思っていたけれど、なんだかこんな朝早くからシャキッとしている。



 朝ごはんを皆で食べて、にこにこしてしまう。

 だっていつもいないニコラドさんも一緒なんだよ。なんだか、特別感があっていいよね。



 朝ごはんを食べた後は、さっそくわたしはニコラドさんと一緒に杖づくりを再開することになった。

 ニコラドさんの作ってくれた小屋の中に二人で入る。




「わぁ、ニコラドさん。これ結構色が変わっているね」



 魔石を浸した液体をしばらく放置していたわけだけど、数日ぶりに見たその液体は色が変わっていた。透き通るような綺麗な黄色に変色している。




「綺麗に出来ているな」

「この状態だとマジックインクに使えるの?」

「ああ。これなら使えるだろう」

「ならよかった! 駄目だったらもう一回やり直しになっちゃうもんね!」



 ひとまず最初の作業が上手くいったことにほっとした。

 まだ学園に入学までは時間があるからやり直そうと思えばできるけど、わたしは早く杖作りたい! って気持ちでいっぱいだもん。




「次はこれをすりおろす作業だな」

「うん。やってみる!!」

「すりおろしながらさっきの液体入れていけよ。ただ入れすぎても問題だから少しずつな」

「うん!!」



 わたしはニコラドさんに見守られながらさっそく作業を進めていくことにする。



 植物をすりおろす。

 その最中に少しずつ液体を入れていく。

 恐る恐る入れていたらもっと入れていいと言われて、入れる量を増やした。

 それにしてもどのくらいの量を入れたらいいか、見ているだけで分かるの凄い。こういうものって作り慣れていないとこのマジックインクに相応しい液体の量も分からないものだと思う。


 わたしはニコラドさんに言われるままにやっているけれど、いつか自分一人で杖づくりを一から出来るようになれるかな。そうなれるように頑張りたいな。





「ニコラドさん、こんな感じ?」

「良い出来だと思う。魔力が通りやすく出来ている。ベルレナも注意してみてみれば分かると思う」



 そう言われて見てみる。うん、確かに凄く魔力が通りやすそうな感じがする。寧ろ、魔力が通りやすすぎて大丈夫かなって思うぐらい。



「ねぇ、ニコラドさん。このマジックインクで魔力回路を描くのは分かるけど、魔力が通りやすすぎて大丈夫?」




 これだけ魔力の影響を受けやすいものだと、思ってもないことが引き起こされたりするのではないかと不安になった。



「よく気づいたな。このままただこれで魔力回路を描くだけだと問題が起こる。どういうことが起きるか想像できるか?」

「ええっと、何かの魔力に触れたら壊れちゃうとか?」

「そうだな。それもある。魔石につながっているものだとその魔石の魔力が暴走して、建物が壊れたりとかな。最悪、使い手の命も奪う」

「怖いね……」

「ああ。市販のマジックインクは暴走しないように処置はしてあるし、購入する際にきちんと説明を受けるが、それでもたまにやらかすやつもいる」



 ニコラドさんはそう言いながら、一つの瓶をわたしに渡してくる。それは外からの魔力の影響を受けないように加工されているものらしい。保管する場合もちゃんとしておいた方がいいからなんだって。



 それにしても暴走かぁ。

 わたしはパパに魔法を見てもらっているのもあって、そういう暴走はしたことがない。

 でもそういう魔力の暴走してしまう人って世の中にはそれなりにいるらしい。わたしが学園に通うようになったら、皆、杖を持っているわけで……。その中には杖や魔法の扱いを誤って暴走してしまう人に出会ったりするのだろうか?




「ねぇ、ニコラドさん。そういう状態になっているときってどうしたらいいの? 杖を壊すの?」

「そうだな。一番は杖を破壊することだな。大元を壊せば一旦収まるからな。まぁ、杖の所有者自身の魔力が暴走していたら大変だが」

「人は壊すわけにはいかないもんね。でも本人が制御が出来なくなっているものだと、おさえるの大変そう」

「その魔力が尽きるまで相手にしてやるとか、気絶させるとか色々方法はあるぞ。もしベルレナが一人でそういう相手を対処しなければならなくなった時は焦らないようにな。対応を間違えると互いに危険だからな」

「うん! そういう人の対応もわたしが学園に入学する前に教えてもらえると嬉しい」



 わたしがそう言ったら、ニコラドさんは頷いてくれた。



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