表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/298

夏の日、ママの計画で旅行に出かける ⑪

 その日は街を見て回り、楽しく過ごして終わった。

 初めて訪れる街だからどのお店に入っても楽しくて仕方がなかった。

 パパとママも凄く楽しそうに笑っててくれていて、それだけで私も嬉しくなるよね。




「ベルレナ、明日はちょっと変わったところに連れて行ってあげるわ」



 宿に戻った後にママからそんなことを言われた。


 魔導師であるママが言う変わったところってどういうところなのだろう? そう考えるだけでワクワクするよね。




「パパはママの言う変わったところってどこだと思う?」

「分からない」

「パパでも分からないの? びっくりだね!」

「想像するぐらいは出来るが、俺もジャクロナが何処に連れて行こうとしているかは聞いていない」

「そっかぁ」



 パパとママは同じ魔導師という枠組みで語られる。それに似た者同士だとは思う。でも二人とも確かに違う。本当に全てが一緒だったらパパとママの関係性ってなかったんだろうなって思う。うん、わたしは二人の色んな一面を見ると楽しくて好き。

 パパとママはこういう一面があるんだなぁとか、そういうのが分かるだけでも楽しくなるもん。




 ママが変わったところっていう場所、どこなのだろう?

 パパでも知らない場所だったりするのかな?

 どういう場所に連れて行ってもらえるのかと、ワクワクしながらベッドに寝転がる。



 ふかふかのベッドで、楽しくなって飛び跳ねる。

 こうやってベッドで飛び跳ねるのも楽しいよね。行儀は悪いって思われそうだけど!

 パパとママはわたしがそうやって飛び跳ねているのも楽し気に見ている。



 明日はどこに連れて行ってもらえるのだろう?

 精霊の里のような不思議な空間とかだったりするのかな? それともニコラドさんが材料集めの時に夢の大地と言われていたような場所なのかな? そうじゃなくてただ景色がとてもいい場所とか?

 ママがそこまで言う場所だと全然想像が出来ないな。



 ふと、窓の外に視線を向けると台の上にいくつかの檻を乗せたものを引いている男性が見えた。



 ……中に魔物たちの姿が見える。

 使い魔にするために窮屈な檻にいる魔物たち。その光景を見ていると、なんとも言えない気持ちにはなる。わたしが知っている使い魔は皆比較的自由だ。トバイは自由に空を飛び回っているし、わたしの使い魔のユキアは『使い魔のネックレス』の中にはいてもらっているけれど、外に出た時は檻の中とかにはいない。

 ……貴族たちの使い魔だと、ああいう風に檻などの中に普段からいるものなのだろうか?

 『使い魔のネックレス』の外に出すときは自由がなかったりするのだろうか?

 互いに納得して結ばれたものならいいけれど、使い魔を買うってなると関係性って難しそうだなって思う。




「ベルレナ、何を見ているの? ああ。使い魔を販売している商人ね」


 ママがわたしと同じく窓の外を見て口を開く。





「うん。ああいう檻の中にいるんだなって……。捕まえて売ってるってことだよね?」

「まぁ、そうね。珍しい魔物を捕まえて調教して、それで売りに出している形ね」

「魔物を買って使い魔にするって、契約した後、どういう感じなのかな」

「道具のように使っている人もいれば、家族のように過ごしている人もいるわね。結局契約者次第ね」

「そっか。あの子たちが良い契約者と出会えたらいいね」



 どういう人と出会えるか。それ次第で使い魔がどういう風に暮らせるかが異なるって結構大変だ。折角縁を結べるのならば、契約した使い魔たちが和やかに楽しく過ごしてくれればいいなって思う。




「そうね。それが一番良いわ。これから先、ベルレナがそういう見ていて気分が悪くなるような契約者と使い魔の関係を見ることもあるかもしれないけれど……、対応は慎重にね。その契約者がお金を出して購入しているものだから、何か思うことがあってもちゃんと考えてやらないと」

「うん。ちゃんと考えて行動する! というか、ライジャ王国で使い魔を持つのが流行っているなら……、学園に入学したら沢山そういう人たちを見ることになりそうだよね。使い魔と仲良くしてない人には色々考えちゃいそう」

「そういう気持ちを抱くこと自体は自由よ」

「うん。道具みたいに使っている人いたらもやもやはしそうだけど、見たことない魔物たちと出会えるのは楽しみかも。人の使い魔だと討伐する対象じゃないから仲良く出来るだろうし」




 わたしは結構色んな場所に連れて行ってもらっているから、色んな魔物と出会っていると思うけれど学園に行ったらもっといろんな種類の使い魔と仲良くすることが出来るのかな?




 あ、でも貴族ばかりが使い魔を持っているなら平民であるわたしが仲良くするのは嫌がるかな? 使い魔を貴族が持つのが流行っているって話だけど、それ以外の人たちは使い魔を持つことって難しいのかな。

 貴族は使い魔を買うけれど、それ以外だとわたしとユキアみたいに何かの縁があって契約を結んだりとかかな。自分でこの魔物を使い魔にするって決めて、使い魔にしたりとか。

 そういう出会い方も多そうだよね。





 その中でもユキアって珍しい分類だとは思う。だからユキアを連れ歩くときはちゃんと気をつけないとなと改めて思った。

 貴族も商人も「欲しい」って言いだすかもしれないもんね。


 そんなことを考えながらママと使い魔について話していると、眠くなってきた。

 今日は朝から動き回っていたから、もっとママとお話したいなと思ったけれど瞼が閉じる。



「おやすみ、ベルレナ」



 ママの優しい声を聞きながら、わたしは眠りにつくのだった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ