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夏の日、ママの計画で旅行に出かける ⑩

「ニコラドさんが対応しなければならない状況ってどんな状況なのかな?」

「あら、ベルレナは魔法師組合の仕事が気になるの?」

「うん。ちょっと。だってニコラドさんも偉い人だっていうのは知っているけれど、実際どういうことしているのか分からないんだもん」



 ママの言葉にわたしはそう答える。



 わたしの知っているニコラドさんは、気の良いお兄さんだ。学園に入学する準備だって色々教えてもらって、一緒に材料集めをして少しはニコラドさんのことを知っているつもりだけど知らないことの方が多い。

 魔法師組合の人たちのことを見かけたからか、気になった。




「悪い魔法師を捕縛したりはしているはずね。それこそ国を乗っ取ろうとした奴とか」

「……なんか思ったよりも悪い人を相手にしているの?」




 ちょっとした悪いことではなく、国を乗っ取ろうとしたってかなり悪いことだと思う。

 それこそ書斎で見た歴史書にのるような人たちだよね。ニコラドさんってそういう人の対応しているだと、大変そう……。




「そうね。でもそんなにいつでもそういう相手がいるわけではないわよ。常にそういう連中が沢山いたらもっと殺伐とした世界になるわよ」

「そっか。パパとママもそういう人を相手にしたことあるの?」




 わたしはそういう国をどうにかしようって人を相手にするとなると恐ろしいと思う。

 わたしの大好きなパパとママが幾ら凄い人でもそういう危ない人を相手にしてたのかなと思うとちょっと心配になる。





「俺は数回あるな」

「私も何度か」

「そうなんだ……。わたし、パパとママに怪我はしてほしくないから、もしそういうことがあるなら気をつけてね」





 出来ればそういう危ないことはしてほしくないなと思うけれど、そういう人を相手にしなければならないことはもしかしたらあるのかもしれない。パパやママだけではなくて、わたし自身もそういう危ない人と対面することもあるのかも。

 パパとママは凄いからそういう人相手でも負けないんだろうなとは思うけれど、もしそういうことがあるなら怪我しないで欲しいなと思う。




「ああ。もちろんだ」

「ええ。ベルレナももし危ないことをする時はちゃんというのよ」

「うん!」



 わたしが頷くと、パパに頭を撫でられる。




「もし仮にベルレナが何か事情があって国を相手にすることがあったら俺は迷わずベルレナの味方をするからな」

「ふふっ、パパは過激だね。わたしはなるべく誰かと喧嘩しないようにしたいなって思っているから大丈夫だよ。でも本当に何かあったらちゃんというよ」




 喧嘩はあんまりしない方がいいとは思うけれど、何か理由があって誰かと対峙するってことがあるなら何か本当に助けが必要な時は二人に言おうと思っている。




「パパ、ママ、あれ見て」




 三人で話しながら歩いていると、魔法の実演をしている人を見かけた。わたしと同じ年ぐらいの濃い茶色の髪の男の子。



 そういう見世物をして金銭を稼いでいる人みたい。でもなんていうか、戦闘系の魔法じゃなくて人を楽しませるような娯楽系の魔法。

 うん、ちゃんと操作をしている綺麗な魔法だなって思う。





「凄く綺麗だねぇ。あれでお小遣い稼ぎをしているのかな?」

「杖を買ったばかりで使いたいんじゃないかしら。魔法の練習にぴったりだもの。あとは単純にお金を稼ぐ目的もあるのではないかしら」




 その魔法はキラキラしていて、わたしは見ていると楽しくなった。



 魔法ってやっぱり凄く楽しいものだよね。わたしは毎日、魔法に触れて生きているけれどもっと魔法を知りたいってそういう気持ちでいっぱいになっている。




「ああいう魔法も色んな使い勝手がありそうだよね。人を楽しませるのって凄く素敵だよね」

「そうね。世の中には戦闘系の魔法以外は意味がないと言う人もいるけれど、どういう魔法だって意味があるものだもの」

「そういう意味を調べるのも楽しそうだよね!」




 一つの魔法でもどうやって生まれたのかって意味があるものだよね。何かをしたいって気持ちがあるからこそ、魔法が生まれて、それでそれを日常的に使用するために詠唱が出来て。皆が使えるようになるまで色んな歴史があったんだろうし。

 うん、やっぱりそういうことを知るのもきっと楽しいだろうなって思う。

 こうやってわたしの知りたいことって本当にどんどん増えていくのだ。



 わたしが熱心にその魔法を見ていたらその魔法を使っている子と目が合った。



「君、魔法に興味あるの?」

「わたしは魔法大好きだよ」

「へぇ、そうなんだ。一回、杖持ってみる?」




 わたしが魔法が好きだけど、魔法を使えない女の子って見られていたみたい。

 杖を持ってみるか聞かれたけど、「ううん、大丈夫!」と断った。



 ちょっと残念そうな顔をされたけれど、自分のお小遣いからお金は渡したよ! だって素敵な魔法を見せてもらったんだもん。

 杖を見物人に触らせたりしていた。あと魔法の話を楽しそうにしていたので、魔法のことが好きなのだと分かる。

 好きな物でお金を稼げるのって素敵だなって思った。



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