夏の日、ママの計画で旅行に出かける ⑦
「ん」
目を覚ました時、いつもと違う天井に少しだけどこだっけと頭が働いていない状況で思う。
ママが旅行に連れて行ってくれているのだと思い出して目を覚ます。横を見るとパパがすやすやと眠っている。ママはもう目を覚ましているみたい。
わたしたちの泊っている宿は貴族の人たちもよく泊まる場所というだけあって、広い。泊まる場所は一部屋だけってわけじゃないので、ベッドの並べられた部屋から出るとママが身だしなみを整えていた。
「ママ、おはよう!!」
「ベルレナ、おはよう」
ママと挨拶を交わして、わたしも顔を洗ったりする。
「パパ、ぐっすり寝てるね」
「そうね」
「パパ、眠るの好きだもんね」
「朝食は運んできてもらう? それとも外に食べに行く?」
「んー。どっちでも楽しそう!! パパを起こして聞こう! ちょっと起こしてくる」
朝食、何処で食べるのでも楽しそう。
持ってきてもらったものを食べても美味しいだろうし、外で行ったことのない飲食店に行くのもきっと楽しいよね。
わたしはそんなことを考えながら、寝息を立てて眠るパパを起こしに行く。
パパって眠っている姿もとっても綺麗。こうやって気持ちよさそうに寝ているパパを見ると、起こすの悪いかな? って気にもなる。
でも折角旅行にきているのに眠って過ごすのはもったいないので起こす。
「パパ、おーきーて」
パパの身体を揺さぶり、声をかける。
パパは一瞬だけ目を開けた後、また目を瞑った。……本当にパパは眠ることが好きだなぁ。
「パパ!! 朝ごはん食べるよー?」
「ん」
「パパ!!」
何度か声をかけると、パパがようやく起きた。
「おはよう、パパ」
「おはよう、ベルレナ」
「朝ご飯どうする? 持ってきてももらえるけれど、外で食べる? パパ、どっちがいい?」
「どっちでもいいだろう」
「んー。それだとどちらにしたらいいか悩んじゃって困るよ! パパ、どっちか決めて!」
「……じゃあ、外で」
「うん! じゃあ、外に食べいこう。ほら、パパ、出かける準備して」
パパの言葉で宿ではなく、外に朝食を食べに行くことになった。パパはわたしの言葉に頷いて、魔法で身だしなみを整え始めた。
準備が終われば三人で部屋の外に出る。
宿で働く人たちに「いってらっしゃいませ」と送り出されて、街を歩く。ちなみにね、美味しい朝食のお店も宿の人たちに聞いたよ! 色々朝から開いているお店があるみたいなので、どこで食べるか悩むよね。
この街は漁師が多いから、びっくりするぐらい朝早くからお店が開いてたりするみたい。わたしが眠っているような時間から開いていたりするって話だから凄いよね。
「色々教えてもらったけど、何食べる?」
いくつか教えてもらったお店。それのどれも美味しそうなお勧め料理があるみたいで、どれも良いなぁって悩んでしまう。それにちょっと街を歩いているだけで美味しそうなお店が沢山あるんだよ。
教えてもらわなかったお店のご飯も美味しそうで正直悩んでしまうよね。
何人も朝から並んでいるお店もあって、そこの料理も美味しいんだろうなと思った。でもお腹がすいているから並ぶのは……という話になって、ちょっとすいているところに入った。とはいっても朝から店内は混雑していたけどね!
このお店は前にパパと一緒に食べたおにぎりが置いてあるお店だった。あとお味噌汁っていう、スープもあったよ。
「美味しいね」
美味しくてにこにこしながらパパとママに話しかければ、二人とも笑顔で頷いてくれる。
朝食を食べ終わった後、お店の外に出る。
「じゃあ行きましょう」
ママがそう言ってわたしたちを連れて行ってくれたのは、一つの建物だった。
漁で取られた魚が沢山あって、それを買っている人たちも沢山いる。とれたてのものをこうやって欲しい人が買っていくシステムらしい。ママはそれを目的としてここに連れてきてくれたわけではないみたい。
その横に、釣り体験と書かれている建物があった。
釣りって、本で読んだことはあるけれどやったことはないなぁ。
ここではそれを経験出来るってことなのかな?
「ママ、釣りが出来るところ?」
「そうよ。釣り竿を貸してくれるから、実際に釣りをしてその魚の調理法も学べるところらしいの。ベルレナは料理をするのも好きでしょう? だから楽しんでもらえるかなと思って」
「わぁ! そうなんだ。凄く楽しそうだね。ママ、ありがとう。わたし、やってみたい」
わたしがそう言ったら、ママが笑ってくれる。
パパにも一緒にやろうって誘ったら頷いてくれたので、三人でまずは釣竿を借りて釣りをすることになった。




