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夏の日、ママの計画で旅行に出かける ③


「海の匂いがするね」



 移動した先で、鼻に入ってきたのは潮の香。

 海が近くにあることが分かる。日差しが強い。



 魔法を使っているから日焼けすることはないけれど、暖かいエリアなのだと思う。



「海の近くだもの。まずは近くの街に向かいましょう」

「うん!」



 パパとママと手を繋いで少し歩いたら、海が見えた。

 日差しを受けてキラキラと輝いていて、視界の奥の方では水しぶきがあがっている。何か魔物でもいるのかな?

 海は全部つながってるけれど、このあたりにはどんな魔物がいるんだろうか?

 わたしが見たこともない、知らない魔物も世の中には山ほどいるだろうからどんなものと出会えるのか考えるだけでワクワクした気持ちになっている。



 しばらくしてから一つの街に辿り着いた。



 その街は海の浅いエリアに家を建てていたりした。家の窓を開けたらすぐ傍が海みたいなそんな感じ。あとは船もいくつも並んでいる。

 このあたりは暑いからだろうか、その街の人たちの服装は結構軽装だった。肌を見せている面積が多いというか……わたしがベルラとして生きていた貴族社会だとはしたないと言われてしまいそうな感じだった。



 この街を訪れる旅人はそこまで数がいないみたいで、わたしたちは結構注目を浴びていた。

 ママと同じ黒髪の人はそれなりにいるけれど、わたしとパパの真っ白な髪の人はこの街にはいないからというのもあるみたい。

 ママは先にこの街に事前に訪れて、わたしとパパが楽しめるように色々動いてくれていたみたい。



 初めて来る街なので、わたしはきょろきょろとあたりを見回してしまう。新しい街は見たことがないものが溢れているから、周りを見渡すだけでも楽しい。



 それにしてもただ歩いているだけで凄く注目を浴びている。あまり外から人が来ないから目立っているのだろう。

 そういう街だからこそあんまり旅人向けのお店なども少ないようだ。街の人たちが生活に必要なお店が揃っているようだ。




 わたしたち以外にこの街にきている外からの人は、商人ぐらいしかいなかった。

 お店に商品を卸しに来ているようだ。わたしたちは転移でこの街に来たけれど、この街に来るのは割と大変らしい。というのも隣の町から此処に来るのも山を一つ越える必要があり、わざわざこの街までやってくる人はあまりいないんだとか。



 そういう街だからこそ、結構閉鎖的なのかもしれない。

 一部の人たちにはひそひそとされている。あんまり人が来ない場所だからこそ、外から来たわたしたちのことをちょっと警戒しているのかな?

 商人の人は、よくこの街に来るからかそこまでひそひそはされてなかった。




 でもパパとママが言うにはもっと閉鎖的な集落とか沢山あるといっていた。それこそ、他の集落と全く関わりがないような人たちとか、周りを全部敵だと認識している人とかもいるんだって。

 わたしはそういう攻撃的な人たちがいる場所は行ったことがないけれど、いきなり敵認定されたらびっくりするだろうなぁ。わたしは魔法が使えるからまだ反撃出来るだろうけれど、そういう戦う力がない人だと何も反論できないまま死んでしまうなんてこともあるのかもしれない。



「ねぇ、パパ、ママ、美味しそうだよ。食べよう」



 美味しそうなお菓子のお店があったので、早速買おうとする。




 ただ思ったよりも高い値段を提示されてしまった。この街ではそれが普通なのかなと思ったけれど、どうやらそれはわたしたちがよそ者だからこそそういう値段を言ってきたみたい。一旦、そのお菓子は買わなかった。



「わたしたちは旅行で此処にきているだけだからいいけれど、外から来た人は大変そうだね」



 わたしたちは旅行にきているだけだから、ずっとこの街にいるわけではない。

 だからちょっとそういうことをされてもそういうものかと驚くだけだけど……、外からきてこの街で暮らすってなると大変なのかもしれない。

 ちなみに高い値段を言ってくる人ばかりというわけではない。一部の人たちが外から来た人を警戒しているのか、嫌がっているのか、そういう風にしているだけだ。

 ちょっと値段を高めに言うとかそのくらいで、それ以上のことは特にない。




 街をぶらついて、買い物をして――そうやって過ごした後、ママが「連れて行きたいところがあるから行きましょう」というのでそこに向かうことにする。



 ママが連れて行ってくれたのは、船の立ち並んでいるエリアだった。




 それにしても船にも色んな種類と大きさがあるなぁ。

 小さいものだと本当に数人しか乗れないもので、大きいものだと何十人も乗れそうなものがある。

 あと柄も色々と違って、文字が書かれていない、何も描かれてなかったり色々あるみたい。それぞれの船長の好みなのかもしれない。

 わたしだったらうんと可愛くする。

 可愛い色と絵柄の船だったらきっと、素敵だもん。

 ただ並んでいる船の中には可愛いものはなかった。それは男の人ばかりが船を動かす職業についているからなのかもしれない。




「ベルレナ、これから船に乗って移動するわよ」

「船に乗れるの?」

「ええ。数日かけて違う街まで船で行くわよ。乗せてもらう交渉はすんでいるから」

「わぁ! すごく楽しそう!」



 わたしはママの言葉に嬉しくなった。



 だってわたしは船に乗ったことはないもん。数日かけて移動するってどこに向かうんだろう?

 そういうことを考えただけでワクワクするよね。

 それにそれだけ長い時間移動するってことは大きい船に乗るってことだよね? なんだが楽しいことが沢山待ってそう! 



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