夏の日、ママの計画で旅行に出かける ②
「わぁ! パパとママと一緒に旅行に行けるの? いつでも行けるよ!」
わたしはママの言葉に嬉しくなって、即答した。
だってね、パパとママが連れて行ってくれるのならばどこだってきっと楽しいに決まっているもん。
「どこに連れて行ってくれるの?」
ワクワクしながら問いかければ、ママは笑いながら答える。
「秘密よ。ついてからのお楽しみにしようと思うけれどいいかしら? ベルレナとディオノレが楽しめるように考えたつもりなのだけど」
「わぁ! ママが旅行計画立ててくれたの? パパも知らないの?」
「ええ。ディオノレが私が決めていいと言ってくれたから。……あまり誰かと一緒に旅行なんて行かないから、楽しんでもらえるかはちょっと分からないけれど」
「ママが一生懸命考えてくれたものでしょ? 楽しくないはずないよ。パパだってそうだよ」
ママはこういう旅行計画を立てたことがないからなんていって不安そうだけど、ママが一生懸命考えてくれたことで楽しめないはずがないと思う。
だってママがわたしとパパを楽しませるためだけに考えてくれたものだよ? それにしても行くまでどこに連れて行ってもらえるか分からないなんて、どんな場所に行けるんだろうって凄くワクワクする!
「ねぇねぇ、ママ。それいついくの? 今すぐ?」
「ふふっ、泊りがけだから準備をしてから行きましょう。それにしてもこうやって旅行計画立てるの初めてだったけれど楽しかったわ」
ママは優しく笑いながら、パパの方を見る。
「ディオノレ、いついく?」
「俺はいつでもいい」
「ええっと、じゃあ、明後日からにしましょうか」
そういうわけで明後日からママが計画した旅行に出かけることになった。
収納庫があるし、転移魔法ですぐにかえってこれるから特別な用意というのはいらないけれど、旅行でどの服着ようかなとかは考えなきゃだよね。
ママとパパにも何を着てもらおうかとか考えよう!
一応ママに「こういう服とかで大丈夫な場所だよね?」とかの確認はしてから、まずは旅行初日にどの服を着るかを選んだ。ママと一緒に、ママの初日の服も選んだ。ママはパパに似合っていると言われると嬉しいからと、一生懸命選んでいてその姿が可愛かったの。
「ベルレナはまだ旅行が始まってもないのに楽しそうね」
「楽しいよ! ママが何処に連れて行ってくれるのかなって考えるだけで凄くワクワクしてるの。先に行く場所を決めて目的地に行くのも楽しいけれど、こうやってどこに行くか分からないっていうのも凄く楽しいね!」
「……本当に期待はずれだったらごめんね?」
「ママが選んでくれたところだから楽しくないはずがないよ。わたしは大好きなママが選んでくれたところならばどんなところでもきっと楽しめるもん」
わたしが改めてそういう本心を伝えたら、ママは嬉しそうに笑った。
「本当にベルレナは可愛いわね。それだけ喜んでもらえると本当に何でもしてあげたくなるわ」
血の繋がりなどがなくても、家族になってまだ短くてもそれでもママがこんな風にわたしのことを娘として可愛がってくれているのが嬉しいなぁと思った。
「わたしも転移魔法が使えるようになったら、いつかパパとママのことを二人が知らない場所に連れていったりしたいなぁ」
「私たちが知らない場所に連れて行ってくれるの? それは楽しみだわ」
「いつになるか分からないけどね! でもいつか、わたし、転移魔法をちゃんと使えるようになる予定だからその時はパパもママも知らないところ探して連れて行きたいの」
わたしはどんどんやりたいことが芽生えてくる。
毎日毎日、ああしたいこうしたいとそういう気持ちばかりで、一つ一つそれを叶えていきたいなと思っているけれど、多分こういうやりたいことってどんどん増えていくものだから。
転移魔法をわたしが使えるようになれたら、今回ママが旅行計画を立ててくれたみたいにわたしもパパとママに内緒で旅行計画も立ててみたいなぁ。
二人が喜ぶように……って考えてみるだけで凄く楽しかった。
ママも今回の旅行計画を立てるの楽しかったんだろうなと思う。こういうのって考えている時から楽しいよね。
大人になったらもっとわたしも魔法が得意になって、パパとママを喜ばせることが沢山出来るようになるかな?
そんなことを考えながらわたしは楽しく旅行の準備を進めた。
――それからあっという間に二日経って、旅行に向かう日になった。
わたしもパパもママも夏仕様! パパの服はママとわたしで二人で選んだの。わたしたちが選んだ服をパパが着てくれるのも嬉しいよね。パパもママも凄く綺麗だからどんな服でも似合うし。
「じゃあ行くわよ」
「ああ」
「うん」
ママの言葉にパパとわたしは頷いた。
そして転移魔法が紡がれて、その場の景色が一気に入れ替わる。




