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幕間 悪役令嬢の取り巻きであるはずの少女 ⑥

 私、ネネデリアは今日もじーっとベルラ様の絵を見て幸せな気持ちになっている。毎日好きな時にベルラ様の絵を眺められるのってなんて幸せなのかしら。




 でもベルラ様談議が出来ないことがなんだか不満。

 ……ベルラ様の中身が変わっていることは手紙では書かない方がいいから、アル兄様への手紙にも書いてない。アル兄様も当たり障りのないことしか書かれていないから、アル兄様が実際にどういう学園生活を送っているのかさっぱり分からない。



 基本的にアル兄様は自分のことをそこまで多く語らない。ベルラ様のことは結構喋るけれど、そういう人である。でもそんなアル兄様が私の手紙には返事をしてくれるというだけでも、それはそれで嬉しい。他の家族にはアル兄様はこんなに手紙を送っていないから。

 学園は長期休暇に入っているらしいけれど、アル兄様は帰ってくる気配はない。お父様やお母様はそれで文句を言っているけれど、私も学園に入学したらあんまり帰省しないだろうなとは思っている。

 アル兄様は暇さえあればいつもベルラ様を探しているみたい。私も学園に入学したら一緒に探しに行きたいな。




 家族はアル兄様が居ないうちに私をまっとうにしようってそう動いていて、いつもかまってきて困る。



 私はアル兄様のこと、好きだ。私じゃない誰かが私の身体を使っていた時に気づいてくれた。それにあの人のことが嫌だって気持ちも唯一共感してくれる。アル兄様は確かに人の色が見えるっていう不思議な能力はある。だから他の同年代の子と全然違う。私だってあの一件がある前は何を考えているか分からないと思っていた。でも……アル兄様のことを不気味だって、アル兄様のせいで私が悪影響を受けているって勝手に決めつけられるのは嫌だ。私が大切に思っているアル兄様のことを悪く言われるのが嫌だ。



 ベルラ様のふりをしているあの人のことを称賛する言葉を聞くのが嫌だ。あの人を好ましくないと発言すればそれが間違っているという周りが嫌だ。……全員に好かれる人なんてありえないのだから、あの人を嫌う人がいるのも当然のことだと思う。でもあの人を好ましくないと思う人は一般的ではないから、それでいてあの人を慕う人が多いからこそおかしいって言われる。



 本当に疲れる。アル兄様と話したいなぁって、そんな気分になって仕方がない。



「お嬢様は使い魔とは契約しないんですか?」



 あと、周りからこういうことを言われることが増えた。



 ……これもあの人が使い魔を持ったからだ。



 王太子の婚約者であり、同年代で最も影響力のある人間が行動したらそれだけ周りに影響する。……というか、あの人って結構自分の影響力を分かっていない節はあると思う。まぁ、その影響力はあの人がベルラ様のふりをしているからこそあるものだ。



「私は要らないわ」



 私がそういえば、流行に遅れるとか、周りとの話についていけなくなるかもとかそんな風に言われたりする。

 でもなんだろう、そんな風に影響力がある人が持っているからと持とうとするのもなんだかなって思う。まぁ、流行を追うのは大事だと思う。貴族としてそういうものは知っておくべきだから。



 ただ使い魔って難しいと思う。だって物じゃなくて生き物だから。



 自分がどうしても欲しいというならともかく、あの人が持っているからと持とうとするなんて問題が起きるんじゃないかなって勝手に思っている。

 だってそういうステータスが欲しいだけで、それ以上の何でもなさそうだから。



 あとあの人は何を考えているのか分からないけれど魔物討伐をしているらしく、それもあって益々あの人の評判は上がっているらしい。噂ではその使い魔を連れて魔物討伐に行っているらしいけれど……。

 あの人の影響で、他の貴族令嬢も同じような行動を起こそうとかしそうだななんて思う。



 もしかしたら私が学園に入学する時には使い魔を連れている貴族が多くいる状態になるのかもしれない。

 そうなったら色々学園側も大変そうだな……と思う。

 高価な『使い魔のネックレス』を購入出来ないような下級貴族も購入しているみたいだし。



 色々考えてやっぱり私は使い魔なんて作らなくていいなと思った。将来なんらかのきっかけで持つことはあるかもしれないけれど、今の所いらない。




 ……というか、私の婚約者も使い魔持ちそうな感じなんだよね。この前、会った時に言っていた。あの婚約者、あの人を囲う集まりみたいなのによく顔を出しているので、正直私と会うよりもその集まりの方が多そうな感じ。



 他のあの人を囲う人たちがどうかは分からないけれど、少なくとも私の婚約者は私よりもあの人を優先はしていると思う。私はそれでも別にどうでもいいと思っているし、周りもあの人なら優先されて当たり前って認識みたい。




 ……あの人を囲う人たちの中では婚約者持ちも多い。その婚約者の女の子も含めて一緒にあの人と仲良くしているのは知っている。

 その人たちは婚約者とあの人、どっちを大切にしているのだろう?

 今はそのままでよくても、いつかほころぶのかもしれないってそんなことを思った。




 私の場合、あの婚約者があの人を好きとか言い出して婚約破棄してくれるとか万々歳なんだけどなぁ。そうならないかな?

 でも今の段階で婚約破棄されると、すぐに次の相手選ばれてしまうよね。

 ……独り立ちできるような力が出来てからが一番そうだなぁ。




 アル兄様にそのあたりは相談したい! でもアル兄様は帰ってこないので、そういう相談が出来るのは学園に入学後になるだろう。



 ひとまず、学園入学までは凄く疲れるけれど我慢しよう……。



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― 新着の感想 ―
[一言] 具体的なことは書かなくても「新しい絵を手に入れました」と手紙を送ったら、察したお兄様が飛んで帰ってきそう
[気になる点] ネネちゃんからしたら、あの人は、ベルラになり替わった嫌な女なんだろうけど、ずっとこの視点のまま続くのかな。なんだか成長してない感を感じます。 [一言] ベルレナちゃんと、会うことができ…
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