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街へのお出かけと、可愛い女の子との出会い ⑦

 わたしたち家族が食べるスペースでゆっくりしている間、お客さんの入れ替わりが激しかった。



 このパン屋がこれだけ皆に人気なのは、とてもいいことだなとそう思う。だってお店って人気がなくなったらつぶれてしまうものだもんね。わたしは難しいことはよく分からないけれど、都会とかだと結構お店の移り変わりも激しいらしいと聞いたこともある。


「パパ、ママ、お客さんが沢山で素敵だね」


 わたしがそう言って笑えば、二人も笑ってくれる。



 パパとママが笑っていると皆が視線を向けてきて、パパとママの笑顔は本当に素敵だものなぁって思った。



 パン屋でご飯を済ませた後、エルシーと少し遊びたいなと思った。

 でもエルシーは結構パン屋のお手伝いで忙しいらしい。

 両親が亡くなった後、引き取ってもらった恩があるからとそういう気持ちらしい。

 残念だけど無理に遊びに誘うことなんて出来ないので、「頑張ってね」と応援してパン屋を後にした。




 わたしはパパとママに養われてのびのびと好きなことだけして過ごしているけれど、そういう風に生きていくために働かなければいけないものなんだなって思った。そういうことを考えるとお金は大事なんだなってそんな気持ちにもなった。



 それからパパとママと一緒に街をぶらぶらした後、屋敷へと帰ることになった。



 エルシーにも挨拶をして、他のお友達たちと同じようにお手紙のやり取りが出来るようにしてくれた。



「此処にいれたらベルレナちゃんに手紙が届くの? 凄い」



 エルシーは知識欲が結構あるみたいで、他の子たちよりもパパの設置した箱に関して凄く興味深そうにしていた。わたしと同じように何かを学ぶことが好きなのかもしれない。



 パパがどれだけ凄い魔法使いか自慢したくもなったけれど、流石にそれは自重した。ちょっと過ごしただけでエルシーは良い子だと思うし、わたしは可愛くて良い子であるエルシーと仲良くなれてとっても嬉しいと思っている。

 でもだからといって、パパとママやわたしのことを全部話せるわけではないのだ。



 いつかもっとエルシーと沢山会って、喋っても大丈夫だなと思える日がきたら沢山話すかもしれないけれど。まぁ、それは出会ってすぐに語るにはいろんなリスクがあるから。



 今まで出会ってきたお友達たちとも手紙のやり取りはしているし、時折街に出かけて遊んだりはしているけれど――パパとママが魔導師なこと、それにわたしがホムンクルスであることとかは誰にも話していない。元からパパとママが魔導師だって知っている人には別だけど、そうではない人にそのことを喋るのは大変なことになってしまうかもしれないから。


 でも他の、エルシーが知りたいって言ったことは手紙で教える約束をした。



 エルシーは手紙のやり取りが出来ることを「文字の練習にもなるから嬉しい」と喜んでいた。エルシーは元々両親が商人だったからか、文字はある程度習っていたらしい。でも両親が亡くなった後はあまり文字に触れる機会がなかったんだって。




「またね、エルシー。この街に来た時、また遊んでね」

「うん。またね、ベルレナちゃん」



 さようならではなくて、また会おうと約束をする。それはとても嬉しいことだった。


 わたしはそれからパパとママと一緒に屋敷に戻る。

 お出かけは楽しいけれど、やっぱりこの屋敷がわたしの家だなと出かける度に思う。

 なんていうか、ほっとするというか、帰ってきたなぁってそんな気持ちでいっぱいになるから。



 街中ではユキアのことを宿の部屋でしか出してあげられなかったので、戻ってからすぐにユキアを出してあげた。



「ユキア、出してあげられなくてごめんね」

《全然気にしなくていいよ。僕はベルレナがお友達が出来て嬉しいって楽しそうにしているだけで嬉しいし》

「なら、良かった。今日は沢山遊ぼうね」

《うん!!》



 お出かけ中だとユキアのことをあまり出してあげられない。でもユキアは特に嫌な気持ちにはなっていないみたいで良かったと思った。


 ユキアの頭を撫でながら、いつかわたしはパパやママのことやわたしのこと、それにユキアのことなども話せるようなお友達が出来るかななんて考える。

 そういう色んなことを話しても大丈夫だっていうぐらい、今いるお友達たちと仲良くなれたらそれはそれで嬉しいなってそんな気持ちにもなった。




「ねぇ、ユキア。いつかユキアのこともお友達に紹介出来るようになったらするね。ユキアは珍しい存在だから、すぐには紹介出来ないかもしれないけれど」

《うん。子供のうちはあんまり僕と契約しているなんて言わない方がいいよ。それだけ目立っちゃうから》



 ユキアはわたしの言葉にそんな風に言う。



 ――わたしがもっと大人になったら、ユキアのことももっと皆に紹介出来たりするのだろう。そういう日がいつか来ることをわたしは楽しみで仕方がない。



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