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街へのお出かけと、可愛い女の子との出会い ⑤

「ここね、沢山お花が咲いているの」

「わぁ、とっても綺麗!!」



 エルシーに案内されて辿り着いた先は、綺麗な花々が植えられている花壇だった。街の人たちが育てているみたいで、色とりどりの花が咲いていてとても綺麗。

 こういう花って素敵だよね。

 売り物でもあるらしいので、触らないようにとは言われた。たまに悪戯でこの花壇の花をダメにして怒られる子もいるらしい。先ほどエルシーにちょっかいをかけていた男の子たちはそういう悪戯もたまにしているんだとか……。




「エルシーのお気に入りの花はどれなの?」

「私は……これ。お母さんが前にこの花のワンピースをプレゼントしてくれたことがあって。今はもう小さくて入らないけれど、お母さんが好きだった花だから私も好きなの」

「そうなんだ。とっても可愛い花だね!」



 エルシーの指さした花は、真っ白な花びらの可愛い花だった。



 お花って可愛いよね。沢山の種類の花がこの場にはあって、とってもワクワクする。錬金術で香水を作る時にも花は使うから、わたしは花にそれなりに詳しいつもり……なのだけど世の中には沢山の花があるから全部は覚えられていない。

 エルシーの指さした花もわたしが見たことがないものだったから、余計に楽しかった。



「ベルレナちゃんはどんな花が好きなの?」

「わたしは花はなんでも好き。可愛いもん。でも一番は赤い花かなぁ」



 パパがわたしに似合うって言ってくれた赤色。パパにも似合う花。

 それがやっぱりお気に入りかなって思った。



「ベルレナちゃんは赤が好きなの?」

「うん。パパがね、わたしに赤が似合うって言ってくれたから。わたしの髪に赤い花って凄く似合うんだよ!」

「確かに凄く似合いそう」

「エルシーには何色が似合うかなぁ。白とか黄色とか似合いそうだよね」

「そうかな?」

「うん。凄く似合うと思う! エルシーは凄く可愛いから、なんでも似合いそうだよね!」



 エルシーって、見れば見るほど可愛い。

 だから色んな可愛いものが似合いそうだなって思う。



 わたしが保管庫に入れている洋服、色々着せたら楽しそうだなとか思うけれど……、出会ったばかりでいきなり色々着てなんて頼むのはどうかと思うので我慢する。

 色々着せ替えしてほしいなぁなんて思ううずうずは、家に帰った後にパパとママに色んな服を着てもらってすっきりしようかななんて考える。




「ベルレナちゃんも可愛いから、色んなものが似合いそう」

「うん。色々似合うから、わたし、色んな服買うの大好き」



 わたしがそう言ったら、エルシーはおかしそうに笑った。




「ベルレナちゃんは色んな服もってそうだね」

「うん。パパとママに買ってもらったものと、自分で買ったものと沢山あるの。パパとママに色々着せるのも大好き」

「ベルレナちゃんは大好きなものがいっぱいだね」

「うん。いっぱいあるの!」



 エルシーとそんな会話を交わしながら、わたしは大好きなものに囲まれて生活をしているなぁと改めて思った。

 ベルレナとしての暮らしは、周りに大好きなものしかない。




 わたしが大好きなものについて語れば、エルシーも自分の好きなものについて沢山語ってくれる。



 エルシーはなんというか、聞き上手な感じがする。自分の話もするけれど、わたしの話をにこにこしながら聞いてくれてとっても楽しかった。

 凄く穏やかな雰囲気なんだよね。

 にじみ出ている優しさみたいなのがあるというか。

 例えばパパやママだと、一見すると冷たく見えて誤解されやすいタイプだと思う。ニコラドさんは見るからに明るい感じ。人によって雰囲気とかって違うけれど、エルシーって凄く穏やかな感じ!




「ベルレナちゃん、ごめんね。もうそろそろ時間だから私もう行くね」

「うん。今日はありがとう。エルシー。パン屋さん行くね!」

「うん。またね、ベルレナちゃん」

「またね、エルシー」




 わたしはそうしてエルシーと別れて、パパとママを探すために歩き出した。



 パパとママ、二人でどう過ごしていたかな? 仲良く過ごしているといいなぁ。なんて思いながら二人を探す。




 街の人にパパとママを見なかったか聞きながら歩いていたら、すぐに情報は集まる。

 パパとママって凄く目立つもんね。



 食堂にいるみたいなので、その食堂を目指して歩く。

 目的地の食堂に辿り着いて中に入ると声を掛けられる。



「お嬢さん、一人か?」

「ううん。パパとママが此処にいるって聞いてきたの」



 そう言ったら中に通してくれたので、パパとママを探す。奥まった席に二人は座っていた。



「パパ、ママ」



 わたしが声をかけると、二人はこちらを向いて笑ってくれる。


「ねぇねぇ、聞いて。今日ね、昔一度だけあった女の子に再会したの。とっても可愛い女の子で、仲良くなれて凄く楽しかったの! もっと仲良くなりたいから、明日エルシーがいるパン屋に一緒に行こう」



 わたしはそう言いながら、パパの隣の席につく。

 パパとママは頷いてくれたので、明日早速エルシーのパン屋に顔を出してみることになった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 聞き上手スキルは乙女ゲーム主人公の標準装備よね
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