街へのお出かけと、可愛い女の子との出会い ④
「ねぇ、貴方のお名前は? わたしはね、ベルレナっていうの!!」
「私はエルシー」
「わぁ、可愛い名前!」
「ベルレナちゃんの名前も、可愛い」
「えへへ、そうでしょ?」
可愛い女の子の名前は、エルシーっていうみたい。
とても可愛い響きで、この子にぴったりだと思った。それにしても可愛い名前と褒めると、照れたような様子でそれも可愛い!
それにしてもパパが元の名前からもじってつけてくれた名前を褒められると嬉しいな。
「こうして再会したの、凄く素敵なことだと思うの! だからわたし、エルシーと仲良くなりたいと思うのだけど、いい?」
この広い世界で、沢山の人が生きている中で、こうして仲良くなりたいなと思えるエルシーに会えたことはとても素敵な奇跡だよね!
これで断られた悲しいなぁ。仲良くなれたら嬉しいなぁ。
わたしはそんなことを思いながら期待したようにエルシーを見る。
「うん。仲良くなりたいと言ってくれるの、嬉しい。私もお友達出来たら嬉しいから……」
「やった! 嬉しいなぁ。ね、今から時間ある?」
「ちょっとなら……」
「ふふっ、じゃあその時間、わたしと遊ぼう!」
わたしはエルシーをそうやって誘った。
エルシーはその言葉にうなずいてくれた。
「エルシーはこの街で長く暮らしているの? おすすめの場所あったら教えて欲しいな!」
「えっと、私、まだこの街にきて少ししか経ってないの。……お父さんとお母さんが、事故で死んじゃったから」
一緒に街を歩きながら会話を交わしている中で、そんな話を聞いた。
悲しそうに眼を伏せて言われた言葉にはっとする。
「そうなんだ……。ごめんね、悲しいことを思い出させてしまって……」
誰か親しい人が死んでしまうことってとても悲しいことだと思う。
わたしは身体を奪われたことで、ベルラだったころの家族はいなくなってしまったけれど……。死んでしまうって、話すことも、笑いかけてもらうことも出来なくなってしまうってことだよね。
うん、凄く悲しいことだと思う。
お父さんとお母さんが死んだって、わたしの場合だとパパとママと二度と会えなくなってしまう……ってことだよね。
うん……、想像しただけで凄く悲しい。
「そんな顔しないで、ベルレナちゃん」
「……でも凄く悲しいことだよね」
「……うん。凄く悲しいことだよ。でもお父さんもお母さんも、私が笑っていると笑ってくれてたの。だからあんまり落ち込んでばかりはいられないなって思うの」
そう言って笑うエルシーはとても綺麗だった。なんていうか、エルシーはとても可愛らしくて、か弱そうに見えるけれど――、そうではないんだなと思った。
芯の強さみたいなのはあるのかなって。
悲しいことがあった時に悲しくて縮こまっているではなくて、落ち込んでいるばかりではいられないって前を向いているの、なんだかかっこいいなって思った。
わたしはあの子に身体を奪われた時、家族が自分に気づいてくれなかった時、悲しくて仕方がなかった。エルシーはこういう時でも前を向いていて、うん、そういう人いいなぁと思う。
「エルシー、かっこいいね! 楽しいこと、沢山しよう!」
わたしがそう言ったら、エルシーも笑ってくれた。
それからエルシーと一緒に街を歩いた。わたしもエルシーも可愛いからか、結構視線を向けられたの!
エルシーは両親が亡くなった後、その両親の知り合いの夫婦に引き取られているらしい。
そこはパン屋を営んでいるらしく、そのお手伝いをして過ごしているみたい。
そのパン屋に連れて行ってもらった。
「新しいお友達が出来たんだね。良かった」
そう言ってにこにこ笑っていた夫婦は、エルシーによくしてくれてるんだろうなと思う。
こうやってエルシーに友達が出来たことを喜んでくれているのって素敵だなと思う。
そこで購入したパンを公園で一緒に食べた。こうやって天気が良い日にのんびりと外でパンを食べるのも楽しいなと思った。
立ち上がって、二人でお店を巡る。
「ベルレナちゃん、結構勢いよくお金使うね。凄い……」
「欲しいものを見つけるとすぐ買っちゃうの! わたし、買い物大好き」
わたしが勢いよく買い物をしているのを見て、エルシーには驚かれてしまった。
自分で稼いだお金をわたしは当たり前みたいに使っているけれど、同年代の子からしたら驚くことみたい。
「パパとママにあげようかなって思っているの!」
「ベルレナちゃんのお父さんとお母さんなら、凄い綺麗そう」
「うん。凄く綺麗だよ! 二人とも綺麗だから、なんでも似合うの。パパとママにね、服とか選ぶの大好きなんだ」
わたしとエルシーはそんな会話を交わしながら買い物を楽しんだ。
でも買い物だとわたしが楽しむばかりになっちゃうから、少し買い物した後は別のことをすることになった。




