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街へのお出かけと、可愛い女の子との出会い ③

 女の子のことを囲んでいた男の子たちは、わたしの声にこちらを向く。



 そしたら顔が赤くなった。わたしが可愛いからかも。

 にっこりと笑っておく。

 とりあえずいじめは駄目だよね! 泣き出しそうな女の子を放っておくなんてすべきじゃないし。



「いじめちゃ駄目だよ? 仲良くした方がいいよ」

「……そ、そうはいっても」

「なんでそんなことするの? 泣きそうになってるから、駄目!」

「いや、そもそも虐めじゃない!!」

「じゃあなんで?」

「な、なんでって……その」

「あっ」




 言いよどんでいる男の子。その活発そうな男の子は、その男の子たちの中でも発言力のある方みたい。というか、可愛い女の子の方をちらって見ている視線には嫌悪感とかなさそう。それで気づいた。



「この子のこと好きなの? 幾らこの子が可愛いからってかまってほしいからとちょっかい出すのはやめた方がいいよ」



 好きな人に構ってほしいからとちょっかい出すのってよくあることだもんね。

 ママもパパに素直になれなくて、魔法で戦ったりしていたし。



 わたしは好きな人が出来たら、可愛いなとか好きだなとか好意があるならちゃんと伝えた方がいいなと思っている。この目の前の男の子も、可愛い子と仲良くしたいならにっこりと笑ってみたらいいのに。



「ななななっ、お、覚えてろよ!!」



 男の子は顔を真っ赤にして、恥ずかしくなったのかそのまま去って行ってしまった。その後ろを「待って!!」と一緒に居た男の子たちが慌てて追いかけていく。



 ごめんなさいって、泣いている子に謝らなかったな。



 わたしは彼らが逃げていく姿を見た後、泣き出しそうな女の子の方を向く。

 その子はちょっとだけぽかんとした顔をして、わたしの方を見ている。そんな顔もとっても可愛い!



「大丈夫?」

「う、うん。ありがとう」



 女の子はわたしの言葉に小さく笑ってお礼を言う。



 桃色って、とっても可愛い色だよね。力強いっていうよりも、優しい感じの春の色って気がする。

 わたしはパパと出会った春が大好きだから、とっても素敵な可愛い色だなと思うの。それにとてもさらさらなのが見ているだけで分かるもん。



「さっきの子、貴方のこと好きみたいだね」

「嫌なことされて、好きって言われても……」

「ふふっ、そうだよね! 謝らなかったし駄目だよね。でも謝ってきても貴方が許したくないなら許さなくてもいいよ」



 わたしがそう言ったら、女の子は少しだけ驚いた顔をした。



「どうしたの?」

「構って欲しくてちょっかいだしているだけだからって、大人になったら気づいて謝ってくるから許してあげるんだよって言われたことあるから。……貴方はそうじゃなくて、許さなくてもいいっていうから驚いたの」

「だって許すか許さないかは本人が決めることでしょ? 周りが許してあげなさいっていうものじゃないよ。ちょっかいを出された側が我慢して付き合う必要もないし、周りにどういわれても自分の好きなようにした方が楽だよ?」



 少なくともわたしはそう思っている。

 だって結局のところ、何をどう思うか、どうしたいかってその人自身の考えだから他の人がどうこういうものじゃないよね。



 わたしも自分がやりたくないことはやるつもりはないし、仲良くしたくないなって人は今のところあんまりいないけれどそういう人が出来たら仲良くはしないかもしれない。

 わたしがそうやって生きていたら離れていく人もいるかもしれないけれど、それはそれだと思う。



 自分がやりたいように、好きなようにのびのびと生きていく方がきっと楽しい。



 パパもママもわたしを凄く自由に育ててくれている。二人自身も凄く自由だし、そういう風にすべきとか、そうしてあげてとか、そういうことはあんまり言われたことないと思う。

 パパとママが今の形になったのは、パパがママにちょっかい出されても特に気にしない性格だったからなんだなって思う。それでパパがママを嫌っていたら、こうはならなかっただろうし。



「ふふっ、貴方、天使様みたいに可愛い顔なのに凄くはっきりしているんだね」

「ありがとう! 貴方も凄く可愛い!!」




 わたしがそう言ったら、女の子は顔を赤くした。可愛いって、そこまで言われ慣れてないのかな? こんなに可愛いのに!

 わたしはそう思いながらじーっと女の子を見て、やっぱりどこかで見たことがあるようなそんな気持ちになっていた。




「えっと、私の顔に何かついている?」

「ううん。なんか、貴方のこと、どこかで見たことあるなぁって思って。どこでだろう……」



 わたしはそう言いながら、どこで会ったことがあるのだろうかと思考を巡らせる。



 ベルラだったころではないと思う。あの頃の知り合いは基本的に貴族とかばかりだったから、こういう平民の女の子とは知り合いがいないはず。

 パパに拾われてからだと……いろんなところに連れて行ってもらっているけれど……。





「あ」



 わたしは思考を巡らせて、この女の子とどこで会ったのか思い出した。



「何年か前にレンドンの街にいなかった? 貴方に似た子とぶつかった記憶があるの!」




 そう、パパに連れて行ってもらったレンドンの街。ランプで有名な街で、眠かったわたしは可愛い女の子とぶつかった記憶がある。凄く可愛かったから、頭の隅で覚えていた。




「えっと……確かに、昔お母さんとお父さんに連れて行ってもらったことがあるけど、ぶつかったっけ……?」

「うん。凄く可愛い女の子だったなぁって、覚えてたの! わたし、記憶力良い方だから。凄く可愛い女の子で、仲良くなりたいなって思ったのを覚えているもん」



 わたしは結構記憶力が良いほうだ。

 パパとママから教わったことや本で読んだことを結構すぐに覚えている。パパやママ、ニコラドさんにも褒められたことあるもん。




 それにしても前にぶつかって、可愛い子だったなぁと思っていた子とこうして再会が出来るなんて凄く素敵なことだよね!



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