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ニコラドさんと一緒に材料集め ⑫


 夢の大地を歩き回ることはとても楽しかった。

 なんというか、本当に夢のような綺麗な光景で、幻のように消えてしまいそうな雰囲気もある。そんな不思議な感覚を与える場所。

 それでいて見たことがないものが多くてはしゃいでしまう。




「ニコラドさん、これは?」

「これはあれだな、《天空の雫》と呼ばれるものだな」

「なんだか、名前かっこいいね!!」



 崖のすぐ傍。採りにいこうとしたら落ちてしまいそうなほどにギリギリのところに生えている植物。その植物は花の部分が袋みたいになっていて、そこに透明な液体が入っている。

 《天空の雫》というその名前は、その花の部分から連想されているのかな?




「あれは時折、崖の下に落ちるんだよ。そしてそれを手に入れた人がそうなずけたんだ」

「……こんなに高いところから落下してもこのままの状態なの?」



 見下ろしても地上が見えないぐらいに、ずっと下なのだ。なのにその下までその状態で落ちていくってことなのだろうか? なんだか凄く不思議で面白い植物だと思う。




「たまに落ちたものはそのままのはずだと思う。珍しい植物だから博物館に標本にされたまま保管されてたりするな」

「へぇ」

「落ちてきたものしか皆知らないと思うぞ。こうして土から生えている状況の《天空の雫》を見れる人は少ないしな」

「すごいねー。珍しいものが沢山あるの、楽しい!」

「楽しんでいるのは何よりだけど、本来の目的を忘れるんじゃねーぞ?」

「うん! 目的の材料手に入れなきゃね!」




 興味を引くものが沢山あって、ついついそれを見てしまうのだけど本来の目的を忘れないようにしないとね!

 崖の下らへんに霧が立ち込めていて、下からも上は全然見えなさそう。



 ニコラドさんに案内されて、魔力を回復させる効果のある薬草や土などを手に入れる。それにしてもこういうものをどうやって杖に効果を練りこむんだろう? 植物とかだと枯れてしまったりするものだし、その効果をそのまま続けさせるのって凄く大変なことだと思う。

 杖づくりって本当に色んな作業が必要なんだろうなって思った。




「わぁ、とてもキラキラした石!」




 あとはキラキラした小さな石が落ちているエリアにも連れて行ってもらった。




「これも魔力を回復させる効果があるから持って帰ろう。ただ魔力回路に組み込むの難しいから、杖につかえないかもだが」

「そんなに難しいんだ……」

「ああ。これは干渉するのが難しい素材だ。こういう扱いにくい素材にいきなり手を出すと大変なことになるからなぁ。ベルレナは俺とかディオノレやジャクロナが見てない場所では勝手に扱おうとしないようにな」

「うん!!」

「特にこの夢の大地にある素材は大体が全部扱いが難しいからな」

「うん!! ちゃんとこの素材で何かする時はちゃんと見てもらうよ」



 わたしが元気よく答えたら、ニコラドさんは笑った。





 必要なものを手に入れた後も、ニコラドさんと一緒に夢の大地をぶらついた。パパとママへのお土産に何か持ち帰りたいなって思って、ニコラドさんに相談してその場所に生えている植物で押し花を作ってみることにした。

 ニコラドさんには「ここの植物で押し花って贅沢だなぁ」なんていいながら笑っていた。



 パパもママもよく本を読んでいるの。

 その本を読むときのしおりに出来たら素敵かなって思ったんだ。




「ニコラドさんには花冠あげるね!」




 一緒に材料集めをしてくれているニコラドさんには感謝の気持ちを込めて、花冠を作ってあげた。

 ニコラドさんの赤い髪に、色とりどりの花を使った花冠って似合う。




「ありがとうな。娘っていいなぁって思う」



 頭に花冠を身につけたまま、ニコラドさんが嬉しそうに笑った。



「ニコラドさんは息子さんだけなんだよね?」

「ああ。俺には息子しかいない。娘が居たらベルレナみたいに可愛かったんだろうなって」

「そっかぁ」

「孫まで男だからな」



 ニコラドさんはそんなことを言いながら笑っている。



 ……ニコラドさんって魔導師だから凄く若く見えるのに孫までいるって何度聞いても凄く不思議な気持ちになる。いつかニコラドさんの家族にも会うことがあったりするのかな?

 そういう未来の出会いのことを考えるとワクワクした気持ちになった。





 ニコラドさんと楽しく夢の大地を歩いた後、今度は魔力回路を描くために必要な材料を手に入れるために別の場所へと向かうことになった。




 どんな材料で、どんなふうに魔力回路って描けるようになるんだろう?

 本を読んでもわからないこと。なんとなくしか理解できないことをこれから出来るようにニコラドさんが教えてくれるんだと思うと、やる気が増した。



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