ニコラドさんと一緒に材料集め ⑦
ニコラドさんからアドバイスはもらったけれど、どんなふうに倒そう?
ただ倒すだけなら多分、あんまり考えずに魔法をぶつけるだけでも出来ると思う。パパに連れられて魔物と戦うことは結構経験している。そうやって経験を積めば積むほど、対峙している魔物がどれだけ強いかってなんとなく分かるものだ。
あとその魔物が身体に蓄えている魔力に関してもなんとなく分かる。
あの火竜の魔力量はわたしが想像していたよりは大きくなさそう。もっと長生きしている火竜ならわたしがおじけついてしまうぐらいに大きな魔力を持っていたりするんだろうか?
そういうの想像するだけでワクワクするよね。
って、違う違う、今はそんなことを言っている場合じゃないよね。
目の前の火竜に集中しないと!!
「ベルレナが命ずる。水の神の加護を持って、その身を拘束せよ。《ウォーターレストレイン》」
先ほど魔物を拘束した魔法を使ってみる。翼に巻き付けて、ぐるぐる巻きにするイメージ。翼をはばたかせることが出来なければ飛べないんじゃないかなって思ったから。
だけど驚いたことに翼の動きをとめても浮いた!
よく見てみると翼に魔力の流れがあったから、翼をはばたかせてというより翼に魔力を流して飛行しているとかそういう感じなのかな?
凄く面白い仕組みしているなぁって思った。
その火竜は魔力で宙に浮かんで、わたしにとびかかってくる。わたしよりも大きな身体なのに素早くてそれも驚いた。鋭い爪がわたしに襲いかかるけどそれは結界を張ってしのいだ。
どうするのが一番良いかな? と考えて、火竜が空を飛んでいるのは翼を通してなのだから翼ごと切り落としてしまってもいいのかもしれないと思った。
あれだよね、多くの人が杖を通して魔法を使うように、あの翼が火竜にとっての飛行魔法の杖の役割みたいな感じかなって思ったの。
それがなければ使えないものだったら、切り落としてしまおうという決断に至ったので身体強化を自分の身体にかけて飛び上がり、長剣に魔力を流してそのまままずは右の翼!
その火竜はわたしが飛び上がってくると思わなかったみたいで一瞬怯んでいた。
わたしの方が火竜よりも身体も小さいし、その火竜はわたしのことを侮っていたのかもしれない。
わたしが右の翼を切り落とせば、火竜が悲鳴をあげながら落ちていく。
片方の翼を落としただけで飛行出来ないのかな? 両方落とさなければだめかと思っていたので、わたしはちょっと驚いた。
落ちながら口から火を噴いてきたのは驚いたけれど、避けれたので問題なかった。
でもそうやって火竜が、地面へとたたきつけられた時に別の魔物も襲い掛かってきた。わたしと火竜の戦いを様子見していたみたい。わたしが油断していると思ったのか、わたしに向かって襲い掛かってくる。結界で大体の魔物をはじく。突然魔力の壁のようなものにはじかれた魔物達は混乱していた。
魔力の流れとか、そういうのを見ることは出来ない魔物みたい。
中にはびっくりしたまま逃走する魔物もいた。そういう魔物は必要もないので追いかけなかった。
他の魔物の相手をしている間に、地面にたたきつけられた火竜も片翼がそがれたため体力をどんどん失っているようだけどわたしに向かって来ようとする。
ええっと、どこから片付けた方がいいかな?
あんまり大勢の魔物を相手にしたことがないので、ちょっとだけ思考する。でも不思議と落ち着いているのはパパとママに沢山のことを教わっているから大丈夫という自信とニコラドさんも見守ってくれているからというのがあるだろう。
それにしてもこうやって次々と襲い掛かってくるとちまちまと魔法を行使している暇はない。
一気に片付けちゃおう!
わたしはまず剣で魔物の相手をしながら、少しずつ削る。そうしながら魔物をなるべく一か所に集めるように誘導する。
なかなか思った通りに移動してくれなくて、難しいなって思った。わたしがもっと戦闘の経験を詰めたらこういうのも上手くなるのかな? そもそもパパたちみたいに凄く強くなれたらこういう風に一か所に集める必要もないんだろうけどね。
「ベルレナが命ずる。光の神の加護を持って、光の矢を形成せよ。《ライトアロー》」
なんとか、火竜を含む魔物たちを一か所に集められたので一つの魔法を形成する。それは光の矢を放出するもの。魔法の練習を沢山したのもあっていっぱい出せるようになったの!
今はね、十個光の矢を魔力で生み出した。
その魔法を魔物たちへと放つ。といっても、あとから解体した時に素材がボロボロになっていたら嫌なので狙う場所もちゃんと決めて放つ。こういうのってどこを狙うとか決めずに放つだけなら簡単なのだけど、十個も狙いを定めてやるのって結構大変!
でもいつもの練習の効果が出ているのか、ちゃんと狙い通りにその矢は放たれてくれた。
そして火竜たちを倒すことが出来た。
「ふぅ……」
「ベルレナ、お疲れ様」
わたしが一息吐けば、見守ってくれていたニコラドさんが笑いながら駆け寄ってくる。
「なんとか自分で対応出来て良かった! でもやっぱり一人で全部やるの難しいね……」
ある程度思った通りには動けたと思う。冷静に対応も出来たとは思う。でもなんというか、まだ万全ではないなってそんな感じ。
わたしの不満そうに言った言葉にニコラドさんはおかしそうに笑う。
「ベルレナぐらいの年でこれだけ出来る奴なんていねーんだからちょっとぐらいは慢心して満足していいんだぜ?」
「んー。でもなんか全然だなーって思うの。わたしはパパやママやニコラドさんに色々教えてもらっているからわたし凄い! ってよく思うけれど、そんなわたしだからこそもっと出来たなーって思うから! だから次はもっと上手くやるの」
わたしがそう言って笑えば、ニコラドさんはまたおかしそうに笑った。




