ニコラドさんと一緒に材料集め ④
「ベルレナが燃えないように魔法をかけておく」
「ありがとう!」
ニコラドさんは火山に入る直前に、わたしに魔法をかけてくれた。
わたしは知識でしか知らないけれど、火山は熱くて、マグマっていうのはすべてを溶かしてしまうようなものなんだって。人が落ちたら間違いなく死ぬって書いてあったから結構危険な場所だと思う。
でもそういう場所でもニコラドさんと一緒なら心配いらないかなってわたしはそう思っている。
「わたしもその魔法使えるようになれる?」
「ベルレナなら使えるようにはなると思う。ただあれだな、生物にかける魔法は結構難しいからちゃんと出来るようになってからするようにな」
「うん!」
わたしはニコラドさんの言葉に笑って頷いた。
その目的地の火山は、洞窟があってそこに冒険者の人たちもよく訪れるみたい。魔物は多いし、熱いしで、結構危険だけれども名誉とか、お金とかを求めて皆行くらしい。
冒険者として成功すると有名になれて、お金も沢山手に入って、幸せな人生を歩めるみたい。
その洞窟の中へと入るときにわたしが子供だからこそ、入り口の門番からまた止められた。ニコラドさんが身分証見せたら入れたけれど。
わたしが前にパパに連れて行ってもらった採掘の山だとこういう風に守っている人はいなかった。それはあくまで手付かずの場所だったからなのだなと思う。こういう風に人の街から近い場所は、こういう風にちゃんとしているんだなって思う。
洞窟の中に入ると、ニコラドさんの魔法のおかげで全然普段と変わらない。けれど、魔法がなければ熱くて仕方ないのだろうなっては思う。
ニコラドさんは自分にもその魔法をかけているからか涼しい顔をしている。
「とりあえず魔石のある場所まで向かうか。一気に進んでもいいけど、ベルレナが魔物倒したりとかしたいならゆっくりでもいい」
「折角だから倒しながらがいい! 見たことないものとか沢山あるんだもん。魔石のある場所って奥の方?」
「そうだな。奥の方にある。長くても半日か一日ぐらいの滞在にしよう」
「うん。ありがとう。ニコラドさん。それにしてもぐつぐつしてるね」
「マグマだからな」
「それに魔物も結構いる」
「こういう火山は魔力が満ちているから魔物も多いんだよ。純度の高い魔石が育つ場所っていうのは生物も生息しやすいから」
ニコラドさんはそんな風に説明してくれる。
ぐつぐつしている赤い液体。触ったら危なそうな雰囲気。それが川みたいに、その場を流れている。人が歩ける範囲の場所にも赤色の鱗を持つ魔物とかがうろうろしている。
わたしとニコラドさんの姿を見てすぐに襲い掛かってくる魔物と、様子見をしているのか興味がないのか襲い掛かってこない魔物もいる。
急に襲い掛かってこられてわたしはびっくりしていたら、ニコラドさんがその魔物を倒してくれた。
ニコラドさんは鮮やかに魔法を行使していて、綺麗な魔法だなって思う。なんというか、此処に住んでいる魔物って見るからに火耐性があるのに火の魔法で倒していた。威力とかが弱いと、こういう耐性のある魔物には同じ属性の魔法は通じないみたい。でもニコラドさんはそういうの関係なしに倒せるんだよね。
パパとママもきっとそうだと思う。
そうやって対峙している魔物とかがどういう存在か関係なしに倒すことが出来るのってかっこいいなぁって思う。わたしもそんな風にいつかなれたらいいな。
大好きな人たちと同じことが出来るようになったら嬉しいもんね。
「ニコラドさん、ちょっとわたし、倒してみる」
「ああ。やばそうなら手をだす」
「うん」
わたしはニコラドさんの言葉に大きく頷いた。
わたしがニコラドさんから少し離れて、マグマの水たまりみたいな箇所の近くによればその奥から長い舌のようなものが飛び出してくる。わたしはパパから武器の扱いも少しだけど習っているので、収納庫から出した長剣ではじいてみる。よし、上手くはじけた。
それにしても顔は出しているけれど、身体全体は飛び出してこないんだよね。いざ、剣や魔法で狙ってもすぐ奥に隠れちゃうし。
マグマの中から身体全体を出さないのは防衛のため。わたしはニコラドさんから魔法をかけてもらっているからマグマに落ちても問題ないけれど、普通の人はマグマの奥にいる魔物って倒すのは難しいもんね。
そう考えるとニコラドさんたちみたいにこういう魔法使えない人ってどうやってこの洞窟で戦っているんでろうね? なんだかどんどん疑問が湧いてくる。それを全部知りたいなって、わたしはそういう気持ちでいっぱいになっている。
「ベルレナが命ずる。水の神の加護を持って、その身を拘束せよ。《ウォーターレストレイン》」
水の魔法を使ったのは、属性的にその方がいいかなって思ったから。
魔力を練り、魔法が完成する。その形成された水が一気にマグマの中へと入っていく。思ったよりこれ魔力が吸い取られていくのにびっくりする。あれかな、マグマの中に無理に入れているから?
その魔法で、魔物が身体全体を拘束してマグマの中から出させる。バタバタしている魔物にわたしはとどめをさした。




