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ニコラドさんと一緒に材料集め ①

「ベルレナ、おはよう」

「おはよう、パパ」




 パパに朝の挨拶をする。今日のパパは寝坊せずに早起きしていたみたい。パパは時々早起きしているんだよね。昨日、早く寝たのかな? って思っている。

 今日はママの方が起きるのが遅い日みたい。大抵ママの方が早いのだけど、こういう日もたまにあるの。




「パパ、朝ご飯、何食べたい?」

「なんでもいい」

「パパはご飯適当だよね。そんな風に言うからご飯、わたしとママが好きなものばっかりになっちゃうんだよ」



 パパは中々食事に無頓着なので、何を聞いてもこんな感じである。思えばわたしがパパに見つけてもらってすぐ、この屋敷にやってきたころはパパはもっと食事は適当だった。今みたいに起きてくることもなかったみたいだし、そう考えるとパパの生活は規則正しくなっている気はする。




「パパ、ママのこと起こしてきて」

「……あいつ俺が行くと挙動不審だ」

「ふふっ、ママはパパのこと大好きだもん。好きな人から起こしてもらったらきっとドキドキするんだよ! そう本に書いてあった。だから大丈夫、パパ、いってきて」



 わたしがそう言えば、パパはママを起こしに向かった。



 ママがパパを起こしにいくことはよくあるけれど、逆は時々しかない。ママはまだ慣れていないのか、いつも様子がおかしくなる。でもそれってママがずっとパパにドキドキしているってことだから良いことだと思っているの。



 わたしは誰かに恋をしたこともないから、ママの気持ちをちゃんとは理解出来ていないかもしれないけれど、ママがパパのことを大好きだって様子は伝わってくれるからなんだかその様子を見ているだけで楽しい気持ちになってくる。



 パパとママの関係性って、一般的なものでは多分ないと思う。パパは契約だとかいってママを家族として受け入れたから。でも一緒に家族として過ごしているからこそパパとママって徐々に仲良くはなっていると思うからそのうちパパがママに恋しないかなーって期待しているの!

 誰かから好意を向けられることって嫌な気持ちにはならないと思うの。パパは本当にママが嫌なら一緒に家族としても過ごさないし。

 だからいつかそういう日が来ないかなってわたしは毎日楽しくパパとママを見ている。



 それからママが食卓にやってきたのだけど、ちょっと様子がおかしかった。やっぱりパパが起こしにきたことでドキドキしているんだろうか? ママって可愛いよね!




 今日はパパも起きていたから、三人で朝ご飯を作ることになった。大体わたしとママでご飯は作っているけれど、パパも時々は混ざってくれるんだ。

 こうやって一緒に家族で何かをするのって凄く楽しいの。





 パパとママとわたしと朝食をとった後は、わたしはママに見守られながら魔法の練習をしている。




「ママ、見て見て」



 わたしはママと一緒に魔法の練習をすることが楽しくて、いつもそういってママに魔法を見せびらかす。




「ベルレナは本当に筋がいいわね」




 魔導師であるママがそう言ってわたしを褒めてくれることがわたしは嬉しい。パパとママってわたしに甘いけれど、嘘は言わないんだよね。わたしが間違っているところはちゃんと指摘してくれるもん。

 そんなパパとママがわたしに魔法を教えてくれているから、わたしも魔法を使うのが上手になっていると思う。それに褒めてもらえると凄くやる気が出るよね。




「ねぇねぇ、ママの一番の魔法ってどんなの?」

「一番の魔法……そんなのは考えたことがなかったわ」

「じゃあちょっと考えてみて。今度、教えて。わたしも使えるようになってみたい!」

「……ちょっと考えてはみるけれど、私の魔法の中には物騒なものもあるからそのあたりを教えるとしたらディオノレと相談してからね」



 ママはわたしの言葉にそんな風に答えた。



 それにしてもママが言う物騒な魔法ってどういうものなのだろうか? 思えばわたしはパパとママの本気の魔法って見たことがないんだよなぁ。ニコラドさんとかのも。

 一緒に過ごしていれば魔導師という存在がどれだけ凄いかは知っているけれど……。



 パパとママが初対面の時に戦っていた時は魔法を沢山見たけれど……、そもそもパパとママが凄い人たちだからそうやって本気になる機会もないのかもしれない。

 ママと一緒に過ごす時間も多くて、沢山話して、ママについて知っていることは増えているけれどまだまだ知らないことも多いなって思った。



 そうやってママと一緒に魔法の練習をして、魔法の話をしていれば急にその場にききなれた声が割り込んできた。




「ジャクロナの魔法は物騒だぞ。全てを破壊するみたいな感じだし」

「ニコラドさん!」



 やってきたのはニコラドさんである。それにしてもすべてを破壊って物騒なこと言っている。




「ニコラド、そういう危険な魔法はベルレナの教育によくないわ」

「大丈夫だろ。ベルレナはそういう危険な魔法を習っても、本当に必要な時以外使わないだろうから」




 ニコラドさんはママの言葉にそう返事をして、わたしの方を見る。




「ベルレナ、日程調整出来たから数日素材集めするか? もちろん、今回だけでは素材集め終わらないだろうから何度か行くことになるが」

「そうなんだ。ありがとう、ニコラドさん。行きたい! パパに言ってくる」




 忙しいニコラドさんがわたしのために時間を作ってくれたことが嬉しくて、わたしは笑った。



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