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パパとママと精霊の里と ⑥

「ディオノレ、ベルレナ、此処にいたのね」



 パパと一緒に珍しい植物の話をしていたらママがその場にやってきた。



「ジャクロナ、ちょっとそこで止まれ」

「あら、何かあるの?」




 ママはそう言いながらあの植物の方を見て、驚いたような顔をする。ママもやっぱりあの不思議な植物のことを知っているみたい。魔導師って凄いよね。そういう、誰も知らないような植物の事も知っているんだもん。




「珍しいわね。精霊の里でもあれは中々見ることが出来ないはずだわ」

「ママも知っているんだね」

「ええ。昔見たことがあるわ。本当に随分昔なのだけど、どうにかその効果を継続できないかって色々試したわね。全然うまく行かなかったけど」

「……ママもこれ食べたりしたの?」

「流石に食べることはしていないけれど……その質問をするってことはディオノレは食べたの?」




 ママはわたしの言葉にそんな風に言って、パパの方を見る。ママもパパと同じで研究者気質というか、調べることが大好きだけど流石に食べてはないみたい。



 口に含むものって、その人の身体に影響を与える重要なものなんだ。悪いものを食べたらそれだけ具合が悪くなるだろうし、最悪の場合は死んでしまうこともある。だからこそ口に含むものについてはちゃんと考えなければならない。




「昔のディオノレは今よりも無鉄砲な部分があったのね。……私は私の知らないディオノレを知れるのが嬉しいわ」




 ママはぼそりとそんなことを言う。パパに聞こえるか聞こえないかぐらいの声なのは、ママが素直じゃないというか、あんまりそういうことを口にできないタイプだからだと思う。




「パパ、ママ、あの植物どうするの?」




 折角見つけたのだから、どうにか活用出来たりするのかななんて思っていった。



 まぁ、パパとママが効果をそのまま維持することも出来ないって言っているものだからわたしじゃ正直どうしようもないものだけど。



 でも折角生えているのだから、保護とかした方がいいのかなって思ってしまう。だってこちらでどうすることが出来なくてもこの精霊の里にやってきたら観察は出来るわけでしょ? パパとママが知らないことを解き明かせたら面白いだろうななんてそんなことを考えているの。



 でもパパとママが答える前に、



『わう(ベルレナ!)』



 その場に元気よく飛び込んできた精霊がその植物の上に元気よく着地してしまった。




「あ」



 わたしは思わず声をあげてしまった。



 わたしのそんな声と、パパとママの何とも言えない視線にその犬の姿をした精霊は『わぅうう!?(何かしてしまった!?)』と慌てている。




「あはは、パパ、ママ、これってこの衝撃だけでもうだめになってる?」

「ああ」

「そうね。とっても弱いから。折角見つけたのに残念だけど仕方がないわ。それだけ効果を失いやすいのだもの」




 パパとママに問いかければ、予想通りの答えが返ってくる。精霊が上に着地しただけでそんな風になってしまうなんて本当になんてか弱い植物なんだろう。それだけすぐにダメになってしまうのに、凄い効果を持っているなんてある意味ちぐはぐな植物だと思う。

 もっと見た目が周りの目を引くような目立つものだったら皆が保護しようとか、特別に思ったりするだろうに。本当に何処にでもあるような植物で、正直言ってわたしは近くに生えているものとの違いがあんまり分からない。

 似ている植物も近くに生えているの。でもそれはその効果を持つ植物とはまた違うみたいだから。





『わうぅう』



 何かしてしまったのだろうかと、落ち込んでいる犬の精霊を撫でた。



「大丈夫だよ。また見つければいいだけだから」



 パパとママが過去に一度か二度しか見たことがないといっているものだから中々見つかりはしないだろうけれど――でもわたしは精霊を慰めるようにそういった。



 本当のことを言ったら落ち込んでしまいそうだから、どれだけ珍しい植物なのかは言わない。



 パパたちがほとんど見たことがない植物をわたしがこの目で見ることが出来て、パパとママからその生態を聞くことが出来ただけでも幸運だって思うべきだよね。だってこれだけ弱い植物なのに、その効果をわたしが見るまで発揮しててくれたんだよ!

 いつか自分であの植物を見つけることが出来たら色々調べてみたいな。それもわたしの目標の一つになった。それにしてもやりたいことって本当にびっくりするぐらいにどんどん増えていく。きっとわたしのやりたいことや知りたいことって尽きないんだろうなってわたしはそう思っている。




 わたしはパパとママに精霊たちと遊んでくることを告げて、その後も沢山遊んだ。



 そして思いっきり遊んだ後に、わたしたちは家へと帰宅するのであった。

 


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