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パパとママと精霊の里と ④

「もし外で捕らわれている精霊を見かけても一人で助けようとしないように」




 シルヴィーさんは、そんなこともわたしにいう。



 昔シルヴィーさんが捕まりそうになったみたいに、今、この時も捕まって利用されようとしている精霊もいるかもしれない……ってことなのかな。

 自分の意思ではなく、自分の身に何かが起こるって本当に怖いことなんだ。

 わたしは精霊たちが不自由な状況にあるのは嫌だなって思う。そういう目に遭っている精霊がいたらなんとかしてあげたいなってそんな気持ちになるけれど。





「下手に一人で動いたら危険な目に遭う可能性も高くなるもの。精霊を捕らえられるなんて存在はろくな奴らじゃないわ。基本的に精霊は人に捕まるほど軟ではないの。それでも捕まってしまうというのは、それだけの何かをその人が持っているということだわ。そういう存在は正直言って危険だわ。精霊を害し続ければ、それだけ色んなものに影響があるわ。それを気にせずに精霊を害し続けるなんてまともじゃないもの」




 アイスワンドで、精霊獣が害された影響で天候が荒れ果てている。……それと同じようなことが世界のどこかで起きている可能性もあるのだろうか。突然その土地が荒れてしまうというのは、そういう精霊たちのことが関係あるのかもしれない。


 わたしは自分の好きなことを好きなようにするのが大好き。やりたいことをやりたいようにやって、それでのびのびと生きるのが一番楽しいから。誰でもそうやって生きられるのが一番良いってわたしは思っているんだ。




「うん。そういうの見つけたらパパとママに真っ先に相談する!」



 今はまだ、わたしは子供でそこまで力がないから大人に頼らなければならない。でもそうだな、いつかパパとママみたいになんでも自分で解決できる大人になれたら――わたしはそういう自由を奪われている存在が居れば助けられるようにはなりたいななどと思った。

 そうやってシルヴィーさんと話していると、パパがわたしを呼びにきた。



「ベルレナ」

「パパ!!」


 わたしはパパの姿を見かけると嬉しくなって、すぐにパパに駆け寄る。

 パパはわたしが駆け寄ると笑ってくれて、パパの笑顔を見ると本当に嬉しくなる。



「ベルレナ、シルヴィーと話をしていたのか」

「うん。シルヴィーさんから色んな話を聞いていたの」



 わたしが笑えば、パパも笑う。



「ベルレナ、ちょっと向こうに面白い植物が生えているから見に行くか?」

「面白い植物?」

「ああ。魔力が満ちている場所にだけ時々咲く植物がある。それが咲いているのを見つけた」




 パパはわたしがそういう珍しい植物とかを見るのが大好きなのを知っていてくれているからこそ、そうやって声をかけてくれるのだ。それにしても植物も色々と不思議だよね。その場所の土地の気候とか、条件とかが色々異なるとどんな植物が咲くかって違うもんね。

 それに魔物たちだって、その場所の環境によってどんな魔物が生きているかって違って、わたしはそういう知らないことを知ると本当に楽しいもん。




「じゃあ、シルヴィーさん、行ってくるね!」

「ええ。行ってらっしゃい」



 わたしがパパと植物を見に行くためにシルヴィーさんに声をかければ、笑顔で送り出してくれる。

 パパと手を繋いで、精霊の里を歩く。



 この場所って、シルヴィーさんの力が影響している場所だからっていうのもあるけれど基本的に穏やかな風が流れていて涼し気な場所だ。基本的に緑に溢れていて、アイスワンドとは正反対な感じ。

 こういう涼し気で明るい場所って心地よくて大好き。




「ねぇ、パパ。その植物ってそんなに珍しいの?」

「そうだな。俺もあまり見たことがない。過去に見たのは、三十年以上前か」

「そんなに昔なんだ。それだけ中々見られない植物って珍しいね」



 本当にたまにしか見ることが出来ない植物ってそれだけ貴重だよね。植物ってそうやって何十年とか、何百年とかに一度しか花が咲かないものとかもあるんだよ。

 パパはそういうものを沢山知っているし、実際に見たことあるんだよね。

 図鑑とかで絵や説明文を見ることは幾らでも後から出来るかもしれないけれど、実際に目で見て、そして触れて、においをかいだりするのってまた違うもんね! パパとママって研究とかも大好きだけど、ずっとこもってそれをやっているわけでもなくて外の世界に足を延ばして見にいっているんだよね。


 わたしも学ぶことは好きだけど、自分の目で見るのも楽しいもんね。

 パパと一緒に手を繋いで歩いて、家の立ち並んでいる場所から少し離れた場所――木々が生い茂っているところへとたどり着く。




「なんかどれが珍しいものなのか全然分かんない」

「これだな」



 パパはそう言って一つの植物を指さす。



 その植物は、縦に長く細く伸びているものなのだけど、あまり目立つものではない。月光花ルナティシアみたいに一目で見て分からない感じ。パパに面白い植物って言われなかったらわたしもただ生えている植物にしか見えないなって思った。



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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読ませて頂いてます!いつか学園に通うのが待ち遠しいです! [気になる点] 少しシルヴィーの語尾に「〜だわ」みたいに、「わ」が多いと思います。「〜なの」とか、「〜ね」とかをもっと…
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