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パパとママと精霊の里と ②


「寝転がると凄く気持ちよいなぁ」



 クイズを行った後、わたしは精霊の里の地面に寝転がっている。

 カラフルなこの精霊たちの世界は、空気もちょっと他の場所とは違う感じがする。




 何回かこの場所に来ているけれど、なんだか来るたびに新しい発見があって楽しいなとは思っている。



 ちなみに小さな精霊はわたしのお腹の上とかに乗っていたりして、くっついているの!

 精霊たちってね、見えない人には見えない、魔力の塊みたいな存在だから触れていると不思議な感覚がする。こうやって精霊たちに触れる人も多くないって聞くもん。

 わたしは精霊の姿を見える人が周りに多いけれど、学園に入学したら見えない人ばかりになるのかな?




「ベルレナは学園っていうのに通うんだよね? 変な人には気を付けて」

「悪い人間も多いって聞くから。ベルレナに何かあったら大変!」

「きゅいきゅい(ディオノレ様、怒る)」




 精霊たちの中では、人間は危険なもの――という認識みたい。わたしも身体はホムンクルスだけど人間だ。だけどこういう風に精霊たちが好意的なのはわたしが魔導師の娘だから。




「世の中、悪い人ばかりでは多分ないよ。悪い人もいるだろうけれどその時はなるべくわたしが対応するもん」




 わたしがそう言って笑えば、精霊たちも笑ってくれた。

 それにしても精霊たちも人と関わる中で嫌な目ってそれなりにあってきているのかな? 




「皆は学園っていったことあるの?」

「ないよ!」



 精霊たちは元気よく答える。


 基本的に精霊たちは人と契約を結んでいる者だったり、こういう別世界のような場所で暮らしていなければそもそも人が多い場所にいったりしないらしい。




「シルヴィー様は昔、人と契約してたことあるんだって」

「へぇ、そうなんだ」




 精霊の里にやってくると、精霊たちと遊んだり、シルヴィーさんとお話したりと……そんな風に過ごしているけれど、シルヴィーさんについて知らないことって沢山多い。



 というか、知っていると思っている人相手だろうとも結局よっぽど仲良くなって、一緒に時間を過ごさないと分からないことって沢山あるんだよね。

 わたしはパパとママについても、全部知っているわけでもないと思う。パパとママだって、わたしのことを全て知っているか? というとそれはまた違ったりするのかな? とは思っている。わたしの世界は確かに広がってて、その分、自分だけの時間も増えているから。



 しばらく寝転がりながら精霊たちと会話を交わした後、シルヴィーさんの元へ向かうことにした。シルヴィーさんが人と契約をしていたのって、どのくらい昔なんだろう? ってそう思ったから。

 わたしはユキアを抱っこして、頭の上には小さな精霊を乗せてシルヴィーさんの元へ向かった。




「シルヴィーさん」




 わたしがシルヴィーさんの家の中に入って声をかける。パパとママはその場に居ない。うん、多分何か気になることを調べにいっているんだろうな。二人とも調べること大好きなんだから一緒に調べたらいいのに、個人個人で調べてそう。まぁ、それがパパとママの距離感なんだろうけれど。




「あら、何か用かしら?」

「今、お時間大丈夫?」

「ええ。大丈夫よ」




 シルヴィーさんが優しく笑ってくれたので、わたしは嬉しくなって話題をふる。



「シルヴィーさんは人と契約したことあるって聞いたの! その時、どうやって過ごしてたの? ずっと昔なの?」

「私が人間と契約を結んでいた頃のこと? そうねぇ、今よりもずっと力が弱かった頃ね。その頃に一人の人間と契約を交わしていたわ。その時のことを鮮明に覚えているわ。私にとってたった一人の契約者だったから」




 シルヴィーさんはそう言って、とても優しい顔をした。

 その優しい表情を見ているだけで、なんだかわたしも嬉しい気持ちでいっぱいになる。

 だってそれだけその時のことがシルヴィーさんにとって、大切な日々だったんだろうなと思う。




「シルヴィーさんはその人が大好きだったんだね」

「そうね。とても好意的に思っているわ」

「どんな人だったの?」



 わたしがそう問いかけたら、シルヴィーさんは笑顔のまま口を開いた。



「そうね。精霊に対してはとても優しかったわね」

「精霊に対してはっていうのは?」

「人のことはあんまり信用してない人だったの。若い頃に人間に裏切られていたから。でも寿命を終える時には、ちゃんと結婚もして子供も出来ていて、私も嬉しかったわ」



 懐かしそうにシルヴィーさんはそんなことを語った。



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