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杖の材料について ⑤


「あとは個人的に作るほうの杖だよな。面白い形のものを作ろうとしているな」

「可愛いものを作りたいなってそう思っているの! 簪みたいにして、髪飾りにしながら実は杖っていうのかっこよくない?」

「ははっ、確かにそれは面白そうだよな。ベルレナは可愛くて実用的なものが好きだよなぁ」

「うん!! だってね、可愛いものを持っていると凄くワクワクするでしょ?」



 可愛いものが大好き。そういうものを持っているだけで凄くワクワクする。



「ねぇ、ニコラドさん。簪型の杖って作れるかな?」

「作るのは難しいだろうけれど、作れないことはないな。ベルレナはそういうものを作ろうとする発想力が女の子だなぁって感じだな」

「作れるなら難しくても作りたいなぁ。簪のね、飾り全部が効果があるみたいにしたらきっと楽しいと思うんだよね。可愛いけれど実は凄いっていいよね。かっこいい! って思うもん」



 わたしがそう言ったらニコラドさんは楽しそうに笑った。



 ニコラドさんがこれだけ楽しそうなのは、今まで簪型の杖は見たことがないかららしい。魔導師というのはパパたちにも言えることだけど、何かを知りたいってそういう気持ちが強いからこそそういう存在になったのだ。

 だからこそこういうわたしが他にないようなことをいうと喜んでくれる。ニコラドさんが楽しそうでわたしもなんだか嬉しくなった。




「小さな魔石とかつけても効果つけれる?」

「小さくても良質なものを使えばつけれるぞ。ただ杖自体が小さければ魔力回路もその分描きにくいし、効果を沢山つけるなら複雑になる。だから作成は時間かかるだろうな」

「まだ学園に入学するまで時間があるからそれまでに頑張って作る!」



 杖が小さいと言うことは、それだけその魔力回路を描くことは難しいのだろう。面積が広ければ広いほど、そういうの描きやすいだろうし。あれなのかな、魔法陣とかと似たような感じなのかな?

 学園用のものよりも、自分の個人用に作る杖の方が時間かかりそう。





「材料集めに関してはどうする? ディオノレたちと行くか? 俺と一緒に行くなら、予定合わせるが」

「パパとママには秘密にして出来てからびっくりさせたいから、ニコラドさんと行きたいかなぁ。ニコラドさんは忙しい?」

「春はそこそこ忙しいから、ちょっと時間調整する」

「春って忙しいんだね」

「魔法師組合に新しい人材が入ってきたり、弟子とか息子に色々頼まれたり、後は春は変な連中も湧くしなぁ」

「変な連中?」

「ああ。はっちゃけてやらかすやつとか。雪が降っている時期に動けなかった連中が動き出す時期でもある。そういう連中をとっちめたりとか。弟子に頼まれて魔法師の面倒見たりとか」

「ニコラドさんって本当に色々やっているよねぇ。凄い!」

「ははっ、褒めても何も出ないぞ?」



 そんなことを言いながらもニコラドさんは嬉しそうである。



 それにしても暖かくなるとはっちゃける人多いのかぁ。わたしだったらニコラドさんから怒られるようなことは絶対したくないな。ニコラドさんって魔導師で、凄い人だから。




「そういう変なことした人たちってどうするの?」

「とらえて処罰か、殺すかだな。収容所も春の時期は人が多いな」

「収容所って悪い事した人を捕まえておくところ?」

「ああ。軽犯罪なら数日で出たりもするが、一生その収容所にとらわれたままになるぐらいのやらかしをする奴もいる」

「へぇ……国によって捕まってしまうことって違うよね。わたし、色んな国には行っているけれど、どういうことが駄目なことかって全部は分かってないんだよね」

「その辺もちゃんと教えるよ。まぁ、知らなくてちょっとしたことをやってしまったぐらいなら特に問題はないけどな」



 ニコラドさんはそういうどういうことが犯罪かとかも詳しいみたい。

 それにしても魔法師組合って色んな仕事をしているみたいで、それだけ周りからも信頼されている組合なんだなって思う。




「ありがとう! ニコラドさん、材料集めに行けそうな日があったら教えてね」

「ああ。一旦帰って日程調整するから、わかったらトバイに手紙を届けさせる」

「うん! どこに素材集めに行きたいかとかも調べておくね」

「俺の方でもベルレナの杖の素材になりそうなものがどこにあるか調べとく」




 そういう会話を交わして、ニコラドさんは一旦帰って行った。






 パパとママにはニコラドさんと一緒に今度、杖の材料を集めに行くっていうのを言った。パパは自分も行きたそうにしていたけれど、納得はしてくれた。ママはわたしのことを優しい目で見て頷いてくれた。

 パパとママがびっくりするような凄い杖を作ってみせる! ってわたしは一人で気合を入れるのだった。



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