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杖の材料について ②


「ニコラドさん!!」



 わたしがニコラドさんの名前を呼んで駆け寄ると、ニコラドさんは笑った。




「ははっ、俺のこと待っていたのか? ベルレナは本当に可愛いな」

「うん。だって杖の図案を考えたから、ニコラドさんに見せたいなって思って」

「ディオノレが何とも言えない表情をしているが、何かあったか?」

「えっとね、パパとママにはまだ内緒で、杖は出来てから見せようって思っているからそれをパパに言ったからかな」

「ははっ、あいつ本当に親バカになったなぁ」



 ニコラドさんは心の底から楽しそうに豪快に笑った。

 揶揄うような視線をパパへと向ければ、パパに睨まれている。うん、パパとニコラドさんは本当に仲良しさんだなって思う。



 ニコラドさんと一緒に書庫へと向かう。



 事前に杖に関する本を沢山机に取り出しているの! 

 ニコラドさんの前に、わたしの描いた杖の図案を見せてみた。



「ベルレナは沢山図案描いたんだな」

「うん。学園にね、持っていくものはひとまずこういう形かなって一つ考えたんだよ。それでもう一個のわたしが個人的に使うものをどうしようかって考えると楽しくて色んなパターンを考えてしまったの!」

「そうか。まぁ、楽しく杖づくりが出来るのはいいことだな」

「楽しくない杖づくりとかあるの?」

「こういうのを作るのに向かないやつは幾らでもいるぞ。良いものを作ろうとしてプレッシャーに負けてしまうやつとか、こういう何かを作ることは自分の仕事ではないって思ってるやつとか。ベルレナの何事も楽しめるという点は一種の才能だからな」



 向かい側に座るニコラドさんはそんなことを言う。



 わたしにとってパパやママ、ニコラドさんが教えてくれることは何だって楽しいことだ。

 考えるだけで楽しくて仕方がないから、それを才能だと言われてもよく分からない。




「嫌々やるよりも、楽しんでやった方がいいってことだな。特にこういう杖づくりとかは楽しみながらやった方が発想が伸びる」

「なんか今の言い方、ニコラドさん、先生っぽい!」

「ぽいじゃなくて、俺はそういう仕事をしているんだって」



 ニコラドさんはわたしの言葉におかしそうに笑った。



 ニコラドさんが言うには結構嫌々何かを学ぼうとする人って多いらしい。わたしにとっては新しいことを学ぶことは楽しいことで、出来ないことを出来るようになることはとても嬉しいことだ。




「ベルレナは才能があるからな。やってみたら大抵のことが出来るだろ? 世の中には幾ら挑戦しても上手くいかない奴も沢山いるからな。そういう奴らは才能のなさに絶望して悪い方向にいったり、学ぶ意欲をなくしたりするし」

「わたしが大抵のことが出来るのってパパがくれたこの身体のおかげだと思うの!」

「ディオノレの作ったホムンクルスの身体は確かに優秀だろうけれども、中身がどうしようもなければ結局何も出来ないだろ。だからベルレナは色んな才能がある」

「そう言ってもらえると嬉しい!」



 ニコラドさんに才能があるなんてほめてもらえて、なんだか嬉しくなって笑った。

 そういう会話を交わした後、杖の話に戻る。





「それでベルレナはどういうものを材料に使いたいとか考えているか?」

「んー。それが調べてもいまいち分かってないの。メインの材料は木材になるのかなと思うんだけど、どういう素材を使った方がいいとニコラドさんは思う?」

「そうだな。ベルレナは樹人たちとも知り合いだろ。もらってきたらどうだ? 樹人の素材はそういう材料にはぴったりだぞ」

「ええ!? ニコラドさん、杖のために倒すなんて出来ないよ」

「いや、倒さなくていい。知り合いなら一部使いたいから欲しいって言えばくれると思うぞ。樹人は大元の核を壊されなければ杖に使うだけの素材ぐらいは特に命に問題はない」




 ニコラドさんから言われたことにびっくりしたけれど、どうやら樹人は一部の素材を切り取っても問題ないらしい。

 わたしがパパと一緒に樹人の所へ行くときは、いつも遊んでもらって会話を交わすだけでその身体の一部をもらうとか考えたことなかったから、ニコラドさんの話は初めて知った。

 やっぱり知っている種族でも、知らない情報って沢山あるんだなと思った。




「そうなんだ。わたしが欲しいって言ったらくれるかな?」

「仲良くしているならくれると思うぞ。ただそれを杖にするのはいいけれど、あんまり樹人からもらったというのは広めない方がいいだろうな。あまり出来が良いと樹人から素材をもらうではなく、その命を狩ろうとするやつらも出るだろうから」



 確かに樹人たちは大元から狩られてしまうことがあるって前に言っていたもんね。森の奥地でひっそりと暮らしている樹人たちが誰かに倒されてしまって、お話も出来なくなるのは悲しいもん。



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