杖の図案を描く ②
「可愛いものにしたいなぁ」
個人的に自分で使う杖に関しては、目立たないようにとか何も考えずにいいと思っている。なるべく誰かに見せることなく、自分で個人的に使おうと思っているものだしね!
色をつけたいなぁ。
木の色のままとか、シンプルな感じではなくて……うん、可愛くて明るい色にしたいなぁ。
赤色とか、桃色とか、パパとわたしの目の色の黄色でもいいなぁ。それで可愛い飾りとかもつけて、それがただの飾りじゃなくて効果を増やせるものとか。
杖って一般的に形は決まっているというか、同じような形のものが多いけれど別にそれにそろえる必要もないんだよね。
そもそも杖って、そういう形のものじゃないと上手くいかないとかあるのかな? ないのならば可愛いものに出来るよね。
あと大きさも、大きいと効果を色々と埋め込めたりもするみたいだよ。なんか、大きな魔法を使いたい際は大きいのにしたりするみたい。冒険者とかが使う持ち運ぶ用の杖はコンパクトなものがいいってなってるみたいだね。
あんまり大きいのは持ち運び面倒だよね。収納の魔法具があるとはいえ、あんまり大きいと使いにくいよね。
いっそのこと、アクセサリーに出来そうな感じの小ささにしてみる?
髪飾りに見えるけれど、実は……みたいなのも面白いかもしれないよね。
おしゃれで可愛くて、素敵なものがいいなぁ。うん、折角自分で作るんだからわたしが一番お気に入りの満足できるものにしたいよね。
大元の素材は木材でいいかなと思うけれど、金属とかでもいいのかな? とりあえず可愛い色にはしたいなぁ。
効果も学園用のものよりも使い勝手が良いものにはしたいよね。ただ小さい杖にすると、色々入れ込むの大変なのかな?
「ひとまず、理想の杖を描いてみて……それでニコラドさんに聞いてみようかな」
あくまで今は、図案を描く時間。
実際に作成する杖は、もっと可愛くないものになってしまうのかもしれないけれど……でも可愛い杖が作りたいからね。
それにね、どういう杖が作りたいかって考えることは大事だもん。
最初から出来ないって思って、無難なものを作りたいってするのってつまらないなぁって思っちゃう。ニコラドさんって沢山の知識を持っているから、杖作りの作成を手助けしてもらえるなら理想の杖が出来るんじゃないかって思う。
これにも魔力を回復させるものとか、魔法が使いやすくなる効果とかそういうのはつけたいなぁ。
学園用の杖と違って、偽装する必要もそこまでないと思うんだよね。一人でか、パパとママと一緒の時に使うぐらいだしね。
パパとママとニコラドさんが驚くぐらいの凄いものに出来たりしないかな? パパたちに凄いって言われたいなぁ。あんまりパパたちを驚かせることって出来ないからね。
杖づくりはニコラドさんに教わりながらすることになりそうだけど、ニコラドさんのことも驚かせたいからなるべく一人でやりたいな。でもそれって結構難しいのかな。
錬金術も危険だからって、慣れるまでは一人でやらせてもらえなかったし、今もパパとママが見守れる時は一緒に見てくれるし。杖も一種の魔法具みたいなものだって話だし、見守られそうだなぁ。
うん、まぁ、それは仕方ないか。
いつか、一人でもそういうの作れるようになれたらかっこいいだろうななんて思う。
そんな風に考えながら、わたしは色んなパターンの可愛い杖を考えてみる。
前にね、パパと一緒に出掛けた時に簪っていう髪飾り買ったの。それみたいな感じのもいいかなって。あとは羽ペンみたいな感じのものとか。
「普通に杖ではなくて、飾りに見える棒状のものみたいな感じにしてもいいのかな?」
どういうものを作ったらわたしはもっとワクワクするかな?
可愛いキラキラしたものとか、明るいものがいいとか、そういうことばかり考えているの!
それを考えながら、わたしは沢山の図案を描いてみた。
パパとママにはまだ見せないの。杖が作成出来てから、パパとママに見せてびっくりさせたいもんね。
チェックとかにしてもいいかも。
二色とか使って、可愛い感じにするのもありだよね。
「はっ」
そうやって杖の図案を沢山考えていると、気づいたらいつもご飯の準備をする時間が過ぎていた。
慌てて台所に向かったら、ママが一人で昼ごはんの準備をしていた。
「ママ、ごめん。集中していたらこんな時間になってたの! わたしも今から手伝うね」
「珍しいわね。何をしていたの?」
「えっとね。杖の図案を考えていたの。ニコラドさんがね、どんな杖を作りたいか決まったら教えてって言ってたから、どんなものにしようかなって思って」
「まぁ、それは楽しそうね」
「楽しいよ! あ、でも完成するまでは秘密だよ!!」
「ふふっ、そうなのね」
ママはわたしの言葉に、楽しそうに笑っている。
「ママに凄いって言ってもらえるような杖作るからね!!」
「楽しみにしているわ」
ママがそう言って笑ってくれて、わたしも嬉しくなった。
ママと会話をしながら頑張って杖を作るぞ! と私は気合を入れるのだった。




