今年もお祝いをする ⑤
街への滞在中に時々、お姉さんのお店には行った。
流石に食事処の組合の人たちも旅人として外からやってきたわたしたちの行動までは制限出来ないみたいだった。
そうやって過ごしているうちに洋服のイベントの日になった。
わたしは朝からご機嫌であった。
だってわたしは服が好きだもん。その服のイベントがあると思ったら楽しみでワクワクしている。
わたしはパパとママに連れられて、色んな場所を訪れている。住んでいる人や住んでいる環境が違えば服装も異なっていて、見ているのも凄く楽しい! 自分でも服を作ってみたりしているけれど、洋服のイベントって凄く楽しそうだよね!
「ふんふんふ~ん」
「ベルレナ、ご機嫌ね」
「うん。だって凄く楽しみだもん」
宿の部屋で鼻歌を歌っていたらママに声をかけられる。
どんな可愛くて素敵な服があるのかな? って考えるとワクワクして仕方がないよね。
宿で朝食を食べた後にパパとママと一緒に宿の外に出た。パパは洋服に興味ないけれど、わたしが興味津々だからって一緒に行ってくれるんだって。
その洋服のイベントがあるエリアは、舞台が組み立てられていて人が沢山いた。
これだけ多くの人が洋服に興味あるんだね! そんな風に思うとなんだか楽しくなった。
おしゃれな人も沢山いるの。
こういうイベントにやってくる人たちは、生活に余裕がある人たちが多いみたい。キラキラした宝石のアクセサリーを身に着けている人とかが多くて、宝石って綺麗でいいなぁと思った。
「ベルレナ、宝石が気になるのか?」
「うん!」
「後でアクセサリーも見に行くか」
「うん!」
洋服屋は見て回ったけれど、アクセサリーは見て回ってないので頷いておく。
わたしはキラキラしたものも好きだから、宝石って見ているだけで幸せだよねって思うの。
「ママはどういう宝石が好きなの?」
「そうね。私は……《竜の瞳》はお気に入りね」
「《竜の瞳》?」
「ええ。瞳が宝石で出来ているドラゴンが居るのよ。その瞳は本当に綺麗なの」
「へぇ……わたしも欲しいなぁ」
ママがお気に入りだという《竜の瞳》。
その宝石を私は見たことがないけれど、ママがお気に入りなぐらいだからきっと綺麗なんだろうな。
そうやってパパとママとこそこそ話しているうちに、その洋服のイベントが始まった。
綺麗な人たちが、美しい服を着ているのってそれだけで見るのが楽しいよね。
わたしが見たことがないような服がたくさんあって、わたしもそういう服が欲しいなぁってそんな気持ちになる。
わたしは欲しいものが沢山ある。
お出かけするたびにいつも、これが欲しいなってそういう気持ちがいっぱいになる。多分、わたしの欲しいものって尽きることなくどんどん増えていくんだろうなってそんな気分。
そのイベントではわたしと同じ年ぐらいの可愛い女の子と男の子もいた。
にこにこしている子も、ぶすっとしている子もいる。
ぶすっとしている子は見た目は綺麗だけど、ああいう顔をしていたらなんだかなぁってなるね。やっぱりにこにこしている子の着ている服の方がなんかいいなって思う。
それにしても洋服をよく見せることが仕事だからか、凄く素敵に見せているよね!!
中にはね、男装っていうのかな。
男の子みたいな服装を綺麗な女の子がしているのもあったの。
騎士の人が着るような黒いかっこいい服。それになんていうか、どこからか借りてきたのか剣も腰にさしていて、うん、騎士って感じでかっこいいよね。
あとは王子様とか、お姫様みたいなキラキラしたような服を着ていたり。なんだかペアルックの衣装もあって、そういうのも素敵だよね。
そういえばベルラだった頃は、パーティーのドレスにも意味があったりとかもあったなぁ。
こういう意味があるのも面白いよね!
わたしはそんなことを考えながら目を輝かせながら舞台を見る。
「ねぇねぇ、パパ、ママ。とても綺麗だね! 綺麗な服が沢山見れて凄く楽しい!!」
わたしがにこにこと笑ってそう言ったら、パパとママも笑ってくれる。
イベントが終わった後、出入り口付近で資料を配っていたのでそれを受けとった。
その資料は結構しっかりとした本で、表紙もね、綺麗な絵だったの。その中にね、どこで買えるかとかも書いてあった。
イベントで舞台に立っている人たちが着ていた服ってこれから発売されるものなんだって。イベントで紹介されていたのは沢山買ってもらうための紹介のためなんだって。
「わぁ、これ欲しいなぁ」
なんだろう、見ると凄く欲しくなる。だって素敵な服を綺麗な人たちが着ていて、凄く素敵なんだよ。そういうの見ると欲しいなってなるよね!
それにね、大人のお兄さんやお姉さんが着ていたものもパパとママに似合いそうだし。
あと、わたしも騎士みたいな服装したりしたら楽しいのかな? とか思ったりもしたの。
アクセサリーも合っていて、いいなぁって思った。




